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コンサートツアー

アーティストまたはアーティストのグループによるさまざまな会場での一連のコンサート ウィキペディアから

コンサートツアー
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コンサートツアー: Concert Tour)とは、ある歌手音楽グループなどによって、異なる場所、都市、国で開催される一連のコンサートのことである[1]。単にツアー(英:Tour)と呼ばれることもある[1][2]。また、コンサート・ツアーを開催する歌手や音楽グループなどは、ツアーアーティスト(英:Touring Artist)と呼ばれる[3][4]

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エド・シーランが開催した『+–=÷× Tour』(2022–2024)のコペンハーゲン公演

同じアーティストによる他のコンサート・ツアーと区別する際、あるアルバムや製品と関連づけた名称を付けられることがしばしばである[1]ポピュラー音楽の分野においては、数ケ月や数年に渡って行われる大規模な事業となることもあり、数十万、もしくは数百万もの人々を動員し、数億円規模のチケット収入が生じるものも見られる[1]

長いコンサートツアーの中における区分は、レッグ(英:Legs)と呼ばれている[1][5]。レッグは、ツアーの形式やアーティストの分野によって分け方が異なるが、レッグを分ける時点として一般的なのは、日程(特に長い休暇を挟んだ時)、国や大陸を跨いだ時、オープニングアクトの変更時である[1]

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開催目的

コンサートツアーの大多数は、アルバムの発売を支えるプロモーション企画の一部として行われる[6][7]。したがって、そのアルバムに収録される新しい楽曲がセットリストに含まれている場合が多い[8]。アメリカの歌手・ジャスティン・ビーバーが開催した『ビリーヴ・ツアー英語版』(2012年–2013年)がその例として挙げられる[9][10]

新しい商品や特定のアルバムの発売に関連しない「グレイティスト・ヒット・ツアー[注 1]」(英:greatest hits tours)や「リユニオン・ツアー[注 2]」(英:reunion tour)といった類のツアーも存在する[11][12]イギリスロックバンドフリートウッド・マックが開催した『Unleashed Tour』(2009年)や[13]、アメリカのロックバンド・ノー・ダウトが開催した『2009 Summer Tour英語版』(2009年)などがこれに当たる[14]。 また、テイラー・スウィフトが開催中の『The Eras Tour』(2023年–2024年)は、スウィフトの経歴を回顧するものとなっており[15]、スウィフトが過去に発売したアルバムそれぞれの発売当時の世界観を再現している[16]。 そして、アーティストが過去に発売したアルバムの周年記念として開催する場合もあり、アイルランドロックバンドU2が『ヨシュア・トゥリー』の発売30周年を記念して開催した『ヨシュア・トゥリー・ツアー2017英語版』(2017年)や[17]、アメリカのシンガーソングライター・ジャネット・ジャクソンが『リズム・ネイション1814』の発売30周年を記念して開催した『リズム・ネイション30周年記念特別ツアー英語版』(2019年)がこれに該当する[18]

フェアウェルツアー

フェアウェルツアー(英:Farewell Tour)とは、辞める予定の歌手、解散する予定のバンドなどによるコンサートツアーのことである[19]。日本では、ファイナルツアーラストツアーなどと呼ばれることもある[20][21]。 ただ、歌手活動の再開や、バンドの再結成などにより、再びステージに帰ってくることも珍しくない[22][23][24]。アーティストの死前に行われたフェアウェルツアーの例としては、イタリアオペラ歌手ルチアーノ・パヴァロッティが2004年に開催したツアーや[25]、アメリカのカントリー歌手・ケニー・ロジャースが2015年から2017年にかけて開催したツアーが挙げられる[26]

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興行収入

要約
視点

アメリカの音楽業界誌『Billboard』の統計によると、2016年におけるコンサートツアーの興行収入は、世界全体で55億ドルを超えた[27]。さらに、アメリカのライブ・コンサート専門誌『Pollstar英語版』の統計によると、2023年に世界全体で開催されたツアーのうち、上位100番目以内に入る収益を記録したコンサートツアーの興行収入の総計は91億7000万ドルに達したという[28]。コンサート自体のチケットに加え、ミート&グリートを組み合わせたパッケージを販売することによって、付加収益を生み出している[29][30]。 しかし、2020年代初頭には、COVID-19の大流行によってツアービジネスが苦境に立たされた[31]。『Pollstar』は、2020年における音楽業界の損失が300億ドルにも上ると推定している[31]

2023年 (2023-12月)現在、歴代最高の興行収入を記録しているコンサート・ツアーは、テイラー・スウィフトが開催中の『The Eras Tour』(2023年–2024年)であり[32]、その収益は2023年だけで10億3900万ドルにもなる[注 3][35]。1つのコンサートツアーにおける興行収入が10億ドルを突破したのは初めてのことである[32][35]

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観客動員数

要約
視点

コンサートツアーは、複数年に渡って大規模に公演を実施することがるため、その観客動員数も多くなる場合が多い[1]。現在、エド・シーランの『÷ Tour』(ディバイド・ツアー)が、過去最高の観客動員数を記録している[47]。このツアーは2017年から2019年にかけて260公演を実施し、合計で8,882,182枚のチケットを販売した[47]。1日で販売したチケット枚数の歴代最高記録は、テイラー・スウィフトが2023年に開催した『The Eras Tour』(2023–2024)のアメリカ・レッグのもので、240万枚のチケットを1日で完売させた[48]

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機材の輸送

コンサートツアーにおける最も重要な課題として、パフォーマンスで使用する機材をどのようにして次の開催地へ運搬するかという点が挙げられる[58]。 ツアーの機材運搬は、念入りな準備の下、全ての機材を計画に沿った正しい位置へ時間通りに搬入する必要がある[58]

アメリカの自動車雑誌 『オートウィーク英語版』によると、アメリカのシンガーソングライターテイラー・スウィフトが開催した『The 1989 World Tour』(2015年)では、ステージ、音響機材、楽器、小道具、衣装を運ぶために30台から50台ものトラックを使用したという[59]。また、アメリカの歌手・ビヨンセが『The Formation World Tour英語版』(2016年)でイギリスを訪れた際には、ボーイング747型飛行機を7機、トラックを70台以上使用し、ステージセットやその他の機材を開催地まで運搬した[58]。なお、これにはツアーを運営するスタッフやビヨンセ自身などが移動するために使用した分は含まれていない[58]

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課題と代替手段

さまざまな場所に赴くコンサートツアーは、多くの費用、時間、体力が必要となる[60]。ミュージシャンの中には、ツアー期間中は1年以上の間、家族と会うことができない者もある[60]。イギリスの慈善団体・ヘルプ・ミュージシャンズ英語版が2015年に行った調査によると、音楽家の約60%がうつ病などの心理的問題に悩まされており、さらに71%はコンサートツアーを課題として挙げていた[61]

レジデンシー公演

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ブリトニー・スピアーズが開催したレジデンス公演『Birthday: Piece of Me』の様子

レジデンシー公演(レジデンシーこうえん、英:Concert Residency、英:Musical Residency)は、コンサートの一種であり、コンサートツアーと似ているが、1ケ所のみで公演を実施することが特徴として挙げられる[62][63][64][65]。アメリカのライブ・コンサート専門誌『Pollstar』は、同じ場所で10以上の公演を行ったものをレジデンシー公演と定義している[66]。レジデンシー公演を開催する歌手や音楽グループなどは、レジデントパフォーマー(英:Resident Performer)と呼ばれる[67][68]

レジデンシー公演は、コンサートツアーに代わる手段として提案されている[69]。この形式の公演は1940年代から続いているが[65]カナダの歌手・セリーヌ・ディオンによって行われた『A New Day...』(2003年–2007年)の成功により、21世紀以降に再度活発となった[69]

アメリカの歌手・レディー・ガガは、ツアーによって悪化する可能性がある線維筋痛症の病状を鑑みて、『Joanne World Tour英語版』(2018年)のヨーロッパ・レッグを中止し、ラスベガスでレジデンス公演を実施した[70]

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脚注

関連項目

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