収束軸
任意の一般ディリクレ級数に対して、次のいずれかが成り立つ。
- 任意の複素数 s に対して、一般ディリクレ級数は収束する。
- 任意の複素数 s に対して、一般ディリクレ級数は発散する。
- 一般ディリクレ級数が
を満たす複素数 s に対して収束し、
を満たす複素数 s に対して発散する様な実数
が存在する。
この
を一般ディリクレ級数の収束軸 (line of convergence)または収束座標 (abscissa of convergence)という。
収束軸について、一般ディリクレ級数が常に収束するときは
、常に発散する場合は
と定める。
収束軸の値の求め方
一般ディリクレ級数

の収束軸
の値は、以下の様に求められる。
が発散する場合
。
が収束する場合
。
また、
![{\displaystyle \sigma _{c}=\limsup _{x\to \infty }{\frac {1}{x}}\log \left|\sum _{[x]\leq \lambda _{n}<x}\!\!\!\!a_{n}\right|}](//wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/8481f4dfe90417432b133ff767d2ddc6bc4b58cf)
という式も知られている。
絶対収束性
一般の級数のときと同じく、

が収束するとき、一般ディリクレ級数

は絶対収束するという。
絶対収束する複素数 s に対する、
の下限を絶対収束軸 (line of absolute convergence)または絶対収束座標 (abscissa of absolute convergence)という。
絶対収束軸について、一般ディリクレ級数がすべての点で絶対収束するときは
、常に絶対収束しない場合は
と定める。
ディリクレ級数の場合、ある点で収束すれば絶対収束する点が存在するが(ディリクレ級数の絶対収束性を参照)、ある点で収束しても、すべての点で絶対収束しない一般ディリクレ級数が存在する。
例えば

は、すべての複素数 s に対して収束するが、絶対収束することはない。
一般に、収束軸が有限の値
を持ち、

が有限の値 α をとるならば、絶対収束軸
は有限の値を持ち、
[1]であることが知られている。
絶対収束軸は、先に述べた収束軸の値を求める公式を用いて、以下の様に与えられる。
一般ディリクレ級数

の絶対収束軸
の値は、以下の様に求められる。
が発散する場合
。
が収束する場合
。
また、
![{\displaystyle \sigma _{a}=\limsup _{x\to \infty }{\frac {1}{x}}\log \left(\sum _{[x]\leq \lambda _{n}<x}\!\!\!\!|a_{n}|\right)}](//wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/3e3a4925eeb434ac3cd8c5d824b397912d88eeb6)
が成り立つ。
一様収束性
一般ディリクレ級数を

として、s を変数とする関数とみなすと、
の一様収束性が問題となる。
一般ディリクレ級数の一様収束性について、収束軸
および絶対収束軸
が有限の値であるならば、
このとき、
[2]
を満たす実数
が存在して、
を満たす複素数 s に対して、
は一様収束するが、
を満たす複素数 s に対して、
は一様収束しない。
この
を、一様収束軸 (line of uniform convergence)または一様収束座標 (abscissa of uniform convergence)という。
一様収束軸について、一般ディリクレ級数がすべての点で一様収束するときは
、常に一様収束しない場合は
と定める。
一様収束軸の値は、収束軸・絶対収束軸とは異なる方法で求められる。
ディリクレ級数

の一様収束軸
の値は、以下の様に求められる。
。
ここで、
。