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三びきのやぎのがらがらどん

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三びきのやぎのがらがらどん
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三びきのやぎのがらがらどん[注 1]ノルウェー語: De tre bukkene Bruse英語: Three Billy Goats Gruff)は、「がらがらどん」という同じ名前をもつ3匹の山羊が餌を求めて冒険に出かける童話ノルウェー昔話の一つで、アスビョルンセンヨルゲン・モー英語版によって、彼らの著作『ノルウェー民話集』に収録された。

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三びきのやぎのがらがらどんが、トロールの住む橋を渡る様子を表現した彫像

日本語訳としては他に『ふとりたくて丘にゆく三びきの牡ヤギ・ブルーセ[2]、『ふとろうと山に行く三匹のヤギのドンガラン[3]などがみられる。

あらすじ

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絵本

「がらがらどん」という名前の小・中・大3匹の山羊が太りたくなって、草を求めて山(丘)を目指す。だが、途中にかかるの下には醜いトロールがいて、大声で「おまえを飲み込んでやる」と威嚇する。

最初に来た小さな山羊は「後から大きな山羊が来るから」と言って、トロールに見逃してもらい橋を渡る。続いて来た中くらいの山羊も、同じように言って橋を渡る。しかし最後に来た大きな山羊は、恫喝するトロールに立ち向かい、トロールをやっつけるのであった。

無事に山へ行った山羊たちは、丸々と太って帰って来た。

名称

「がらがら」+「どん」[注 2]瀬田貞二訳)は英語の「Gruff」('荒っぽい低音の声'の意)よりの重訳[1]。原作ではノルウェー語で「ブルーセ」(Bruse)という名だが、「Gruff」というのは誤訳で、正しくは「ヤギの額から生えた前毛の房」のことだとされる[5]

そもそもジョージ・W・ダセント英語版が「Three Billy-Goats Gruff」という題名で英訳し『ノルウェー昔話集(Popular Tales from the Norse)』(1859年)に収め、これと同じ英訳題名が長らく受け継がれてきた[5][6]

「ブルーセ」(Bruse) の定義は文献によって様々で、ブリニルセン編『ノルウェー=英語辞典』では、「シュワシュワ」とか「発泡」の意味[注 3]の"fizz"という定義もあれば、応用例では「縮れ毛」を意味する "frizz"の定義もあるとしている[7]。また、『ノルウェー百科事典』とイヴァル・オーセンデンマーク語版の二冊の事典を比較すると(第一義は若干のずれがみられるが)第二義は「馬や雄ヤギの額の毛の房」の意であるとほぼ一致する[8][9][注 4][注 5]

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絵本

上述ダセント英語版による1859年英訳を基にしたを絵本は、1957年に出版された。ダセントの文章はリズムを尊重したものとなっている。マーシャ・ブラウンによる絵は力強さを特徴としている[13]。その瀬田貞二訳『三びきのやぎのがらがらどん』(1965年)は福音館書店より刊行された[1][注 6]

ポール・ガルドン英語版原作(1973年)は、青山南訳『やぎのブッキラボー 3きょうだい』(2005年)が小峰書店より刊行されている。

英訳された子供向けの絵本版は、まだほかにも数多く存在する[6][注 7]

楽曲

本作をモチーフとした楽曲「三匹の山羊のガラガラドン」(作詞:舘紅、作曲:田中昭子)が存在する[17]

アメリカのフランク・ルーサー英語版が、「The Three Billy Goats Gruff」の歌(ナレーション、効果音まじり、1948年)をレコードで出版しており[20]、低学年の音楽教材として取り上げられている[21][注 8]。より以前にはイヴォーヌ・ラヴェル(Yvonne Ravell)が自作の歌を歌いレコード化しており(1940年)[24]、演劇教育の推薦される録音物として雑誌にもとりあげられている[25]

ジェイムズ・スコット・バレンタイン作のナレーション付き弦楽四重奏曲『キンダーコンツェツ Kinderkonzerts』の一曲が「The Three Billy Goats Gruff」。テキストはヴァイオリン奏者ステファニー・サンタンブロージョ英語版が担当。その録音は「カクタスペア音楽祭」のアルバム(2010年)にリリースされている[26][27]

また、『メアリー・ポピンズ』のリメーク版で知られるジョージ・スタイルズ英語版アンソニー・ドリュー英語版の作詞・作曲タグによるミュージカル版は、シンガポールレパートリー劇場英語版の依頼でつくられ、同劇場で2015年開幕した[28]。オリジナルキャストのレコーディングも出版されている[29]

グウェン・エドワーズ(Gwen Edwards)作詞・ベン・マッケル(Ben Mackel)作曲のミュージカル版『Billy, Goat, Gruff: The Musical』が、米バージニア州アビンドン (バージニア州)英語版のバーター劇場(Barter Theatre)等で公演されている[30][31]

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他作品での言及

日本のアニメ映画『となりのトトロ』(スタジオジブリ)のエンディングでは、サツキとメイが布団の中でお母さんにこの本を読んでもらっている。

イギリスのアニメ『きかんしゃトーマス』ではこの童話をもとに制作されたエピソード(第20シーズン「おそろしいようかい」)があり、パーシーとトビーが三匹の山羊やトロールの話をする。また、日本語版では「トロール」は「妖怪」と訳された。

スティーブン・キングのホラー小説『It』では、ペニーワイズのモチーフの一つがこの作品のトロールであるほか、図書館のシーンでも言及されている。

注釈

  1. 瀬田貞二訳『三びきのやぎのがらがらどん』(1965年)の表記。マーシャ・ブラウンの英訳絵本『Three Billy-Goats Gruff』よりの重訳[1]
  2. 「どん」は、童話で(「たぬきどん」、「きつねどん」等)よくつかわれる方言の尊称をつけたものと思われる(参照:岩淵悦太郎[4])。
  3. 更にはモダン的には「発砲飲料」の意味も併記される。
  4. 『ノルウェー百科事典』(採番はしていないが第一義)は「こんもりした低木灌木。とくにネズ.. (後略)」とあり、オーセンの辞典の第一義は「ネズの木(=ネズ)」[10]ハンス・ロスノルウェー語版の辞典では「花穂(花の房)」という説明がある。
  5. 方言形や多言語の同根語だが、ロスの辞典では"Brusk"がテレマルク県Smaaleneneの方言にあるとし、(標準語の)Brus に相当し、同様の意味で定義され、参照にアイスランド語のbrúskr (「毛の房」)を挙げている[11]。またフェロー語のbrúsa(第2義、ただし動詞)"clip.. the hair on the forehead.. of lamb"[12]
  6. 2007年6月の第130刷より色が改訂され、背表紙などにあった「北欧の民話」の表記が「ノルウェーの昔話」に変更、原書にある「アン・キャロル・ムアトロルに捧げる」という言葉の追加が行われた[14]
  7. 一部の例として:
    • マージ―・パラティーニ英語版著(画:バリー・モーザー英語版)『The Three Silly Billies』(2005年)
    • ジェリー・ピンクニー英語版作・画版(2017年)
    • アン・パチェット英語版の再話(画:ロビン・プライス・グラッサー英語版)『Escape Goat』(2020年)
    など。
  8. 英国BBCラジオ番組「Children's Favourites」でも1950~60年代にしばしば放送された[22]
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出典

外部リンク

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