三硫化四リン

三硫化四リン（さんりゅうかよんりん、Phosphorus sesquisulfide）は、化学式 P₄S₃ の無機化合物である。この化合物はG. Lemoineによって発見され、1898年に初めてオルブライト・アンド・ウィルソン社（Albright and Wilson）から完全な商業生産が行われた。

三硫化四リン
IUPAC名 Tetraphosphorus trisulfide or 3,5,7-trithia-1,2,4,6-tetraphosphatricyclo[2.2.1.02,6]heptane
別称 phosphorus trisulfide, phosphorus sesquisulfide, phosphorus sulfide
識別情報
CAS登録番号	1314-85-8
3D model (JSmol)	Interactive image
ChemSpider	14134
ECHA InfoCard	100.013.860
PubChem CID	14818
RTECS number	TH4330000
UNII	8V5Q0M194Y
CompTox Dashboard (EPA)	DTXSID4074562
InChI InChI=1S/P4S3/c5-1-2-3(1)7-4(5)6-2  Key: RWQFRHVDPXXRQN-UHFFFAOYSA-N  InChI=1/P4S3/c5-1-2-3(1)7-4(5)6-2 Key: RWQFRHVDPXXRQN-UHFFFAOYAM
SMILES S1P2P3SP1SP23
特性
化学式	P 4S 3
モル質量	220.093 g/mol
外観	黄色、黄緑色または灰色の固体
密度	2.08 g.cm3,[1] 固体
融点	172.5 °C, 446 K, 343 °F
沸点	408 °C, 681 K, 766 °F
構造
結晶構造	直方晶系, シェーンフリース記号 D2h
空間群	Pmnb
点群	C3v
関連する物質
関連物質	P 4S 10 P 4O 6
危険性
労働安全衛生 (OHS/OSH):
主な危険性	Irritant
GHS表示:
絵表示
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

性質

純度によって黄緑色から灰色に変化する。硫黄を多く含む化合物を多く溶かす二硫化炭素には、それと同重量溶ける。

この二環式複素環式化合物はC_3v対称を持つ。三硫化四リンはリン分子（P₄）の3つのP-P結合の間に硫黄分子が挿入された構造をしており、P-SとP-P間の距離はそれぞれ2.090Åと2.235Åである^[1]。

利用

三硫化四リンは五酸化二リンの合成中間体である。

三硫化四リンと塩素酸カリウムを重量比1:2で混合し、それを軸木の頭部につけたものがどこに擦りつけても発火する硫化リンマッチである^[2]。