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不眠の認知行動療法

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不眠の認知行動療法(ふみんのにんちこうどうりょうほう、Cognitive Behavioral Therapy for Inosmnia, CBT-I)は、不眠症治療で一番推奨されている治療法で、行動やものごとの捉え方(認知)を変えることで不眠症状を改善する非薬物療法である。不眠の認知行動療法は、不眠症に対して睡眠薬よりも有効であることが系統的レビューとネットワークメタアナリシスで示されている。[1]そのため、各国の不眠症診療ガイドライン[2][3]で第一選択(一番のおすすめ)に位置づけられている。

不眠の認知行動療法は合併症のある不眠症に対しても有効である。[4]そのため、合併症がある場合でもCBT-Iの実施検討が推奨されている。[3]

従来推奨されていた睡眠衛生指導は不眠症に対する有効性が示されていない。[5]そのため、睡眠衛生指導単体は、米国睡眠医学会のガイドラインでは非推奨である。[6]欧州不眠症ガイドラインでは不眠症状が臨床的に問題ない場合にのみ適応とされる。[3]

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具体的な技法

有効性が示されている技法

不眠の認知行動療法は複数の要素の組み合わせで構成される。それらの中には単体での有効性が示されたものもある[5]

臥床時間制限

臥床時間制限(Time-in-bed restriction)は、横になる時間を短くすることで睡眠の質を高める技法である。徐々に短くするのではなくはじめに睡眠時間+30分(ただし最低5−6時間)にまで短くすることが重要とされる。その後、1週間毎の平均の睡眠効率(総睡眠時間÷臥床時間の割合)が90%以上であれば徐々に臥床時間を延ばし、85%未満であれば徐々に短くする。睡眠制限(Sleep restriction)とも呼ばれる。

刺激統制

刺激統制(Stimulus control)は、寝床と睡眠を結びつけることで、寝床についたら自然に眠ることができるようになるのを目指す技法である。不眠症の方は寝床についても寝られずに辛い時間を過ごすことが多く、寝床が眠るための場所ではなく、眠れずに辛い時間を過ごす場所になっていることが多い。刺激統制では、寝床では寝る、寝る以外のことはしない、ということを徹底する。具体的には下記のように過ごす:

  • 朝起きる時間を一定にする
  • 昼は起きて過ごす
  • 夜は眠くなってから寝床につく
  • 眠れなくて辛く感じたら一度寝床から出て、眠くなってから寝床に戻る

認知再構成

認知再構成(Cognitive restructuring)は、睡眠に関わる役に立たない思い込みを修正する技法である。 

CBT-Iの文脈では単に認知療法(Cognitive therapy)とも呼ばれる。

有効性が示されていない技法

睡眠衛生指導

睡眠衛生指導(Sleep hygiene education)は食事や運動、ベッドルームの環境調整などの工夫をすることである。従来推奨されてきたが、睡眠衛生指導は不眠症に対する有効性が示されていない。[5]そのため、睡眠衛生指導単体は、米国睡眠医学会のガイドラインでは非推奨であり、行う場合はCBT-Iの一部として用いられるべきである。[6]欧州不眠症ガイドラインでは不眠症状が臨床的に問題ない場合にのみ適応とされる。[3]

リラクゼーション

リラクゼーション(Relaxation)は不眠症の治療法として人気があるがその効果は示されていない。[5][7]

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診療ガイドライン

  • Qaseem, Amir; Kansagara, Devan; Forciea, Mary Ann; Cooke, Molly; Denberg, Thomas D. (2016-03). “Management of Chronic Insomnia Disorder in Adults: A Clinical Practice Guideline From the American College of Physicians.”. Annals of Internal Medicine (American College of Physicians). doi:10.7326/M15-2175. PMID 27136449.
  • Rieman, Dieter; Espie, Colin; Altena, Ellemarije (2023). “Management of Chronic Insomnia Disorder in Adults: A Clinical Practice Guideline From the American College of Physicians.”. J Sleep Res. doi:10.1111/jsr.14035. PMID 38016484. 日本語訳: 古川由己. 監修: 山本隆一郎, 中島俊, 坂田昌嗣. 2025. URL: https://yukifurukawa.jp/european-insomnia-guideline-2023/
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出典

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