予算集合

予算集合（よさんしゅうごう、英: Budget set）とは、消費者に利用可能な財の価格と消費者の所得が与えられたときに、その消費者が購入可能なあらゆる消費バンドル（消費計画）の集合をいう。経済内で消費者に利用可能な財の種類数を有限の ${\displaystyle k}$ とする。すると、（所得を超えてはならない^[1]）消費計画である各財数量 ${\displaystyle \mathbf {x} =\left[x_{1},x_{2},\ldots ,x_{k}\right]}$、それに対応する価格 ${\displaystyle \mathbf {p} =\left[p_{1},p_{2},\ldots ,p_{k}\right]}$、所得 ${\displaystyle m}$ に対し、予算集合は次のように定義される。

${\displaystyle B_{\mathbf {p} ,m}=\left\{\mathbf {x} \in X:\mathbf {p} \mathbf {x} \leq m\right\}}$，

ここで消費集合は ${\displaystyle X=\mathbb {R} _{+}^{k}}$ とする。通常、${\displaystyle \mathbf {p} \gg 0}$（各要素が正）かつ ${\displaystyle m\in \mathbb {R} _{+}}$ を仮定し、この場合 ${\displaystyle B}$ はワルラス的（Walrasian）あるいは競争的予算集合と呼ばれる。

予算集合は、方程式 ${\displaystyle \mathbf {p} \mathbf {x} =m}$ で特徴づけられる ${\displaystyle k}$ 次元の予算超平面で上から抑えられる。2財の場合には、これは予算制約（予算線）に対応する。図示すると、予算集合は予算超平面上またはその下に位置する、${\displaystyle \mathbb {R} _{+}^{k}}$ の部分集合である。

上の枠組みのもとでは、ワルラス的予算集合は凸集合であり、コンパクト集合である。

なお、株式、貯蓄、年金、配当持分などの他の富の源泉は、上で述べた所得には含まれない。ここでの所得は初期保有（initial wealth）とも呼ばれる^[1]。

需要集合 ${\displaystyle \phi (p,m)}$ とは、与えられた選好に基づき、予算集合から消費者が選択する集合をいう^[1]。