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五輪書
宮本武蔵の著した兵法書 ウィキペディアから
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『五輪書』(ごりんのしょ)は、円明流や二天一流を興した宮本武蔵の著した兵法書。剣術の奥義をまとめたものといわれる。
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寛永20年(1643年)から死の直前の正保2年(1645年)にかけて、熊本県熊本市近郊の金峰山西の岩殿山にある雲巌禅寺の中にある霊巌洞で執筆されたとされる
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概要
『五輪書』は勝負における徹底とした合理主義を導入している[1]。それは実利的観点から説き起こして分析しているのが特徴であり、勝利を追求する原則論を説いている。宮本武蔵は合理主義者としての姿を見せており、さらにマキャヴェリアン (策謀家)としての一面をも垣間見ることができる[2]。「地の巻」のなかでは兵法を大工のようなものとしてたとえている[3]。
批評家の小林秀雄は『五輪書』について1949年の講演筆録「私の人生観」の中で以下のように述べている 「私が、武蔵という人を偉いと思うのは、通念化した教養の助けを借りず、彼が自分の青年期の経験から、直接に、ある極めて普遍的な思想を、独特の工夫によって得るに至ったという事です。(中略)武蔵は、敢えて、それをやった人だと私は思っている。彼の孤独も不遇も、恐らく、このどうにもならぬ彼の思想の新しさから来たのであって、彼の方から、ことさら世間を避けたというような形跡は全くない」、「武蔵は、自分の実地経験から得た思想の新しさ正しさについて、非常な自負を持っていたに相違なく、彼は、これを「仏法儒道の古語をもからず、軍記軍法の古きを用ひず」語ろうとした[4]。」
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写本
要約
視点
なお、現在発見されている五輪書の現存する写本は、次の通りである。[7]
公刊本の底本になっているのは、肥後系の細川家本だが、本文に欠落箇所、誤字あり。[8]この誤写や脱文のある後発的写本の1つに過ぎない細川家本を底本とし、他の異本との校合をしないで出版されたテキストが、宮本 武蔵,渡辺 一郎 (編さん)『五輪書』岩波書店 1985/2/18 に収録[9]。
講談社学術文庫の鎌田茂雄の現代語訳も含め、ほとんどの五輪書の解説書が岩波書店版を底本としている[9]。
誤写や脱文のある後発的写本の1つに過ぎない[9]細川家本を底本とし、同系統の楠家本と九州大学本で校合し、さらに丸岡家本と狩野文庫本を合わせて、確定したもの[10]、つまりは相伝文書ではない肥後系の伝書をのみを校合したテキストは[9]、魚住孝至『定本五輪書』新人物往来社 2005年3月10日に収録。しかし、複数の写本を校合し、誤写を修正し、脱文を補ったことは画期的であった。校合に使用した書写本の来歴は、魚住孝至『定本五輪書』新人物往来社 2005年3月10日 49~55ページに記載。写本系統図は、同65ページに掲載。
2003年に発見された福岡藩家老吉田家旧蔵本を底本とし、魚住孝至が用いた肥後系の細川家本を合わせて新たに校訂したものは[11]宮本武蔵 佐藤正英 校注・訳『五輪書』ちくま学芸文庫2009年1月7日に収録。佐藤正英は後書きで、魚住孝至への学恩に感謝している[12]。
相伝文書として作成された福岡藩家老吉田家旧蔵本や中山文庫本などの筑前系の写本、筑前系写本から派生し相伝文書として作成された旧越後諸藩に伝わった『五輪書』の複数の写本、肥後系の写本を校合したものは、播磨武蔵研究会のホームページ掲載[9]。
筑前系・越後系、肥後系の五輪書の写本の伝系図については、播磨武蔵研究会のホームページに掲載がある[13]。
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構成
五輪書という書名からして、宮本武蔵によるものではない。武蔵自身も彼から譲り受けた弟子も、「五巻」「地水火風空之五巻」と呼んでいた。しかも、武蔵は「地水火風空」を自分なりの用語として使っているので、仏教で言う五輪(五大)をかたどって書いたわけではない。[14]
五輪書と呼ばれるようになったのは、長岡寄之の嫡男で、少年期に武蔵に習い、武蔵没後はその直弟子の寺尾孫之丞から術技を習った八代城代の長岡直之が、この書を御側の者に講釈した辺りからと考えられ、『兵法二十七箇条』(17世紀末期)には、五倫書の名が見える。そして直之の側近で、この講釈を聴き、その後武蔵のことを調べて『武公伝』など武蔵について何冊かの著述をなした豊田正剛になって、五輪書という名が初めて見られるようになった。[15]
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- 地の巻
- 自らの流を二天一流と名付けたこと、これまでの生涯、兵法のあらましが書かれている。「まっすぐな道を地面に書く」ということになぞらえて、「地の巻」とされている。
- 水の巻
- 二天一流での心の持ち方、太刀の持ち方や構えなど、実際の剣術に関することが書かれている。「二天一流の水を手本とする」剣さばき、体さばきを例えて、「水の巻」とされている。
- 火の巻
- 戦いのことについて書かれている。個人対個人、集団対集団の戦いも同じであるとし、戦いにおいての心構えなどが書かれている。戦いのことを火の勢いに見立て、「火の巻」とされている。
- 風の巻
- 他の流派について書かれている。「風」というのは、昔風、今風、それぞれの家風などのこととされている。
- 空の巻
- 兵法の本質としての「空」について書かれている。
「風の巻」における他流派批判
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- 長太刀を用いる流派に対しては、接近戦に不向きであり、狭い場所では不利となり、何より長い得物に頼ろうとする心がよくないと記す。
- 短太刀を用いる流派に対しては、常に後手となり、先手を取れず、相手が多数の場合、通用せず、敵に振り回されると記す。
- 太刀を強く振る(剛の剣の)流派に対しては、相手の太刀を強く打てば、こちらの体勢も崩れる上、太刀が折れてしまうことがあると指摘する。
- 妙な足使い(変わった足捌き)をする流派に対しては、飛び跳ねたりしていたら、出足が遅れ、先手を取られる上、場所によっては動きが制限されると指摘する。
- 構え方に固執する流派に対しては、構えは基本的には守りであり、後手となる。敵を混乱させるためにも構えは柔軟であるべきと記す。
- 奥義や秘伝書を有する流派に対しては、真剣の斬り合いにおいて、初歩と奥義の技を使い分けたりはしないとし、当人の技量に応じて指導すべきと記す。
これらの他流派批判をすることにより、二天一流の有用性を説いている。
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出典
関連項目
関連書籍
外部リンク
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