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任意団体

興味・目的を同じくした人物が集まった法人格を持たない団体 ウィキペディアから

任意団体
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任意団体(にんいだんたい、英:voluntary organization、common-interest association[1]:266)または自発的団体とは、特定の目的を達成するために、通常は志願者として合意し、団体(組織)を形成する個人の集まり[2]法人格がないもの[3]。法人格のない社団であるが、日本では最高裁判所の判例で権利能力なき社団の要件が示されているため(最判昭和39・10・15判決)、預金保険制度の預金者の扱いなど法人及び権利能力なき社団・財団以外の団体を「任意団体」とする場合もある[4]

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オーストラリアにおける典型的な小規模ボランティア非営利団体(モナロ・フォーク・ソサエティ)の年次総会。着席している役員は会長、書記、パブリックオフィサーである。

この種の結社はいずれも、究極的には結社の自由(構成員が加入・離脱を選択できること)を体現しているが、業務の資格制限英語版などにより職能団体では事実上の加入義務が生じ得る場合もあり、必ずしも任意とは限らない。また、労働組合のように、結社が有効に機能するには加入が義務化されるか、少なくとも強く奨励される必要がある場合がある。このため、共通の利益から形成される団体を指す語として「共通利益団体(common-interest association)」という呼称を好む者もいるが、この語は広く使用・理解されているわけではない[1]

自発的団体は法人化されている場合もあれば、そうでない場合もある。たとえば米国では、組合は法人化によって追加的な権限を獲得する[5]。英国においては任意団体は小規模な地域住民の会から、巨額(数百万ポンド規模)の収入を有し、大規模な事業運営を行う(しばしば政府省庁や地方公共団体下請として公共サービスを提供する)大規模な協会(多くは登録慈善団体)に至るまで、あらゆるタイプの団体を包含する[6][7]

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国による差異

多くの国では、結社を設立するのに特段の手続は必要とされない。他方、設立のための最少人数を定める国も存在する。

一部の国では、結社の存在を公衆に知らせるため、警察または他の公的機関への登録を義務づける。このような国の多くにおいては、登録された結社(法人化された団体)のみが法人格を有し、その構成員は結社の財務行為について責任を負わない。もちろん、いかなる人々の集団も非公式の結社として活動することは可能であるが、その場合、結社の名において取引を行った各個人は、その取引について自己の個人取引と同様に責任を負う[8]

歴史

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ブダペスト・ブレインバーにおける市民向け講演。

任意団体は非営利組織の広範かつ原初的な形態であり、古代から存在してきた。たとえば古代ギリシアには、富裕男性のエリートクラブ(ヘタイレイアイ)から[9]、私的な宗教団体や職能団体に至るまで、多様な組織が存在した[10]

人類学者ジョセフ・ヘンリックは『世界で最も変わった人たち英語版』において、前工業的西欧における自発的結社の著しい増大を主要な特徴として指摘した[11]。同時期には、しばしば都市をも支配したギルド行政的職務を担った[12]。商人ギルドは、禁輸や会員への制裁によって契約を執行し、紛争の裁定も行った[13]。しかし1800年代までには、商人ギルドはほぼ姿を消した[14]経済史家の間では、商人ギルドが前近代社会および経済成長に果たした正確な役割について議論が続いている[15]

英国では、職人ギルドが商人ギルドよりも成功し[16]リヴァリ・カンパニーを形成して社会に大きな影響力を及ぼした[17]

中世史家ヘースティングス・ラシュドールは、ヨーロッパ大学の中世的起源に関する現代的理解を打ち立て、最初期の大学が「教師であれ学生であれ、教皇・諸侯・司教からの明示的な認可なしに、学術ギルドとして自発的に生まれた。すなわち、11世紀から12世紀にかけてヨーロッパの諸都市を席巻した結社本能の自発的産物であった」と述べている[18]

フランスの外交官・政治思想家アレクシ・ド・トクヴィルは『アメリカのデモクラシー』において、結社への高い志向がアメリカ社会をヨーロッパ社会と区別する特質であると観察した[19]

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法的地位

非法人結社の標準的定義は、英国信託法英語版の判例 保守党中央事務局対バレル事件英語版(1981年)において、フレデリック・ロートン (判事)英語版により示された[20]

非法人結社とは、営利目的ではない一つまたは複数の共通目的のために、相互の約束によって結び付けられ、各自が相互の義務と責務を負い、その支配権および資金の帰属主体と条件を定める規則を備え、随時加入または離脱が可能な組織において、二人以上の者から構成されるものをいう。[21]

多くの国において、非法人結社は独立の法人格を有さず、構成員が有限責任を享受することは通常少ない[22]。もっとも、租税目的に限っては独立の主体として取り扱われることがあり、たとえば英国では非法人結社も法人税の課税対象となる。他方、法人格を欠くため、非法人結社への遺贈は、一般的なコモン・ロー上の目的信託英語版禁止の原則に服する場合がある。

営利または経済的利得を目的として組織される団体は、通常「パートナーシップ(組合型事業体)」と称される[23]。その特別な形態が協同組合であり、一般に「一人一票」の原則に基づき、構成員の労働または購入量に応じて剰余を分配する。結社は非営利組織の形態をとり得るほか、非営利法人となる場合もある。これは活動から利益を得られないことを意味するのではなく、得られた利益を全て再投資すべきことを意味する。

多くの結社は、会合・運営方法を規律する文書を備え、これらは一般に定款憲章、規程、結社契約などと呼ばれる[24]

日本法

日本法における任意団体には法人格がない[3]ため、権利能力なき社団との関係が問題となる。最高裁判所の判例で権利能力なき社団は「団体としての組織を備え、多数決の原則が行われ、構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続し、その組織によって代表の方法、総会の運営、財産の管理その他団体としての主要な点が確定しているものでなければならない」との要件が示されている(最判昭和39・10・15判決)[4]。そのため預金保険制度の預金者の区分のように、法人ではなく権利能力なき社団・財団の要件も満たさないそれ以外の団体を「任意団体」と定義している場合もある[4]

コモン・ロー

要約
視点

オーストラリア

オーストラリアの大半の州・準州には、非営利結社が構成員の責任に限度を設けた法的実体となることを認める類似の法制がある。たとえば南オーストラリア州で施行されている1985年結社法人化法は、土地の売買や、一般に法的拘束力を有する契約の締結が可能な法人の設立を認める[25]。多くのクラブやソサエティは、当初は非法人団体として出発し、構成員の法的責任からの保護、ならびに法人に限って認められることの多い政府の財政支援を得るため、法人格の取得を目指す。法人化を希望するクラブやソサエティは、当該州法の要件を充たし、定款を所管の州政府当局に提出しなければならない[26]

イスラエル

イスラエルでは、多くの非営利組織(NPO)および非政府組織(NGO)が登録非営利結社(ヘブライ語:アムタ)として設立される。アムタは1980年結社法により規制され、会社ではないものの法人格を有する。アムタは司法省の法人庁の所管である結社登記官に登録する義務を負う。なお、アムタはイスラエル建国以前のオスマン結社ヘブライ語版とは区別され、後者は1901年フランス法に基づく1909年のオスマン結社法により規律される。2014年以降、オスマン法を近代化し他の非営利制度と整合させる試みが行われている[27]

英国

イングランドおよびウェールズ

英法上、非法人団体 (コモンロー)英語版は、ある時点で決定された規則に拘束される、二人以上の構成員から成る[28]

このような結社権利をどのように保有するかについては諸説がある。移転が構成員に対し共同所有者または持分共有者として直接になされたとみる説がある(詳細は英語版共有)。別説では、移転された資金は私的目的信託の条件下にあると解する。多くの目的信託は受益者英語版欠缺により無効となり得るため、贈与が失敗する可能性があるが、有効な目的信託も存在し、これに基づき非法人結社に関連する権利が保持されると判断した事例もある。もっとも有力な理論は、権利は構成員または役員に絶対的に移転され(場合によっては構成員のための信託として)、しかも構成員の相互間契約英語版によって拘束されるとするものである[29]

したがって、解散時の権利の分配は保持形態に依存する。目的信託は性質上、結社の解散後も存続し得るが、存続しない場合には、拠出者に対する結果的信託英語版によって権利が保持される。ただし、拠出者がその権利を放棄したことが示される場合はこの限りでない。

権利が契約に服して保持されているときは、解散時に構成員相互間の契約条項または拠出に応じた黙示条項に従い、生存する構成員間で分配される。この契約または法令の結果として、いかなる構成員も請求し得ないときは、権利は無主財産英語版としてイギリス王室に帰属する。この結論は、構成員が一人のみとなって解散に至った場合にも示唆されているが、最後の構成員が権利を取得すべきだとする見解もあり、議論がある[29]

スコットランド

スコットランド法における非法人結社の取扱いは、本質的に英法と同様である[30]

米国

米国では、各州が非法人結社の該当性および法的取扱いを独自に定める。自発的結社のうち法人化されたものは、集合的行為において「卓越した地位」を占めるとされる[31]

カリフォルニア

1980年代、ロサンゼルス郡地方検事英語版であるアイラ・ライナー英語版は、落書きによる器物損壊の抑止および清掃費用の回収を目的として、州の非法人結社法を用いてストリートギャングに対処した。ロサンゼルス市ブラッズ事件ロサンゼルス市対クリップス事件といった事件名で、ギャングを名宛人として提訴し、当該非法人結社(ギャング)の構成員として、ギャング名のタグ付けに関連する損害について構成員個人に賠償責任を追及し得るようにした[要出典]

ニューヨーク

ニューヨーク州の非法人結社法は、株式会社株主有限責任会社の構成員に与えられるよりも広い免責を、結社の構成員に認めている。国際通信社AP通信事件において指摘されたように[32] 、AP通信の構成員は、結社全体として承認された場合を除き、団体の行為による損害について責任を負わない(※AP通信は法人格を持たない)。

テキサス

テキサス州法は、一定の要件を満たす非法人非営利結社に対し、構成員から独立した主体として、財産の所有、契約の締結、当事者能力(当事者としての訴え提起・被告適格)を認め、役員・構成員の責任を限定する旨を定めている[33]

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大陸法

一定の大陸法系法域では、結社を特別な類型の契約関係として位置づける。

カナダ

ケベック民法典英語版の下では、結社は定款に定められた法定の特別契約の一種として分類される。結社は法人格を取得して独自の法的主体となることができ、その結果、銀行口座の開設、不動産賃貸、従業員の雇用、保険契約の締結、訴訟上の当事者適格の取得が可能となる[要出典]

フランス

フランスにおいて自発的結社はすべて非営利である。これらは未登録または登録の形態をとり、ワルデック=ルソー法(1901年法)に基づき設立・運営される。このため、多くの団体名には「Association loi de 1901フランス語版」が付記される。もっとも、1901年当時にドイツ領であったアルザス地域圏では地域法が適用され、「association loi 1908フランス語版」と称される[要出典]

社会的・医療的援助など、所定の基準を満たす場合、当局により「公益認定協会」に認定され得る。1901年法に基づく結社は、管理や会員資格など内部運営について大幅な自由を有する。

ドイツ

ドイツ民法典は、非登録結社と登録結社に異なる権利・規律を設け、ゲゼルシャフト(ドイツ民法第705–740条)と、フェライン(ドイツ民法第21–79条)を区別する。結社は営利と非営利に区分され、公益目的を追求する結社は税制上の優遇を申請できる[要出典]

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結社の自由

結社の自由は、国際連合の「世界人権宣言」において保障されている[34]

第20条
(1)すべての人は、平和的集会および結社の自由を有する。
(2)何人も、いかなる結社への加入も強制されない。

また、欧州人権条約第11条も、集会と結社の自由を保障する。

第11条――集会および結社の自由
すべての人は、他者とともに平和的に集会し、結社する自由を有する。この自由には、自己の利益の保護のために労働組合を結成し、これに加入する権利を含む。
これらの権利の行使には、法律により定められ、かつ民主的社会において、国家の安全または公の安全、秩序または犯罪の防止、健康または道徳の保護、他人の権利および自由の保護のために必要な限度を超えない制限のみを課すことができる。本条は、軍隊、警察または国家行政の構成員によるこれらの権利の行使に対する合法的な制限の付与を妨げない。

脚注

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