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偏倚関数
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偏倚関数(へんいかんすう、英: Departure function)は、任意の熱力学的性質について、理想気体として計算した値と、実際の状態での値との差として定義される。一般的に使用される偏倚関数には、エンタルピー(enthalpy)、エントロピー(entropy)、内部エネルギー(internal energy) などがある。
偏倚関数は、実在流体の広義熱力学特性(extensive properties)を求める際に用いられる。広義熱力学特性とは、2つの状態間の差分として計算される性質を指す。偏倚関数は、次のような状態の差を表す。
この差を計算することで、実在流体の振る舞いを理想気体の基準と比較し、より正確な熱力学的特性を求めることができる。
エンタルピー変化h(v1,T1)からh(v2,T2)を求める際には、次の手順で計算を行う。まず、T = T1において、体積v1から無限大体積までの出発関数を求める。これは、実在流体と理想気体のエンタルピーの差を表す。次に、温度T1からT2への理想気体エンタルピー変化を計算し、先ほどの値に加える。そして、v2において、体積 から無限大体積までの偏倚関数を求める。最後に、この値を前の計算結果から引く。
偏倚関数は、状態方程式とその導関数 に依存する関数を積分することで求められる。これにより、理想気体状態からの偏差を正確に求めることができる。
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一般式
要約
視点
エンタルピー、エントロピー、およびギブズ自由エネルギーの一般式は次のとおりである[1]。
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ペン・ロビンソンの状態方程式における偏倚関数
要約
視点
ペン・ロビンソンの状態方程式は、圧力P、温度T、およびモル体積Vmという三つの相互に依存する状態量の関係を表す。この状態量(P、Vm、T)を用いることで、1モルあたりのエンタルピー(h)およびエントロピー(s)の偏倚関数を求めることができる[2]。
ここで、Trは減少温度、Prは縮約圧力、Zは圧縮率因子であり、はペン・ロビンソンの状態方程式で定義される。
通常、これら三つの状態量(P、Vm、T)のうち二つは既知であり、残りの一つを状態方程式を用いて求める必要がある。そのためには、対象とする物質の臨界温度Tc、臨界圧力Pc、および偏心因子ωの三つの定数を知る必要がある。しかし、これらの定数が分かれば、上記の式ですべてを評価でき、エンタルピーおよびエントロピーの減少量を求めることができる。
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関連項目
- 残余特性
脚注
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