非減衰動吸振器
主系・従系ばね のみの最も単純なモデル、主系が加振力f (t )を受ける場合。図中において、k はばね定数 、m は質量、x はばねの自然長(つり合いの位置)からの変位、t は時刻をそれぞれ表す変数、m、aは主系、従系を表す添え字である。
最も単純な減衰の無い2自由度 系の線形ばね質量系について考える。ばね k m で支えられた質量m m からなる主系(制振対象)に、ばねk a と質量m a からなる従系(動吸振器)が取り付けられたモデルが、動吸振器の最も単純なモデルとなる。このモデルでは、2つの質量は質点(ある一点に質量が集中している)とし、ばねの重さは考えない。質点m m 、m a の変位(ばねk m 、k a がともにつり合っている位置からの移動量)をそれぞれx m 、x a と表すこととし、時刻をt とおくと、主系が力振幅f 0 、角振動数Ω の調和振動 形の加振力を受けるとき、運動方程式は以下のようになる[ 6] 。
m
m
x
¨
m
+
k
m
x
m
+
k
a
(
x
m
−
x
a
)
=
f
0
cos
(
Ω
t
)
{\displaystyle m_{m}{\ddot {x}}_{m}+k_{m}x_{m}+k_{a}(x_{m}-x_{a})=f_{0}\cos(\Omega t)}
m
a
x
¨
a
+
k
a
(
x
a
−
x
m
)
=
0
{\displaystyle m_{a}{\ddot {x}}_{a}+k_{a}(x_{a}-x_{m})=0}
この系全体としての固有振動数ω 1 、ω 2 は次のように求まる。
(
ω
1
ω
2
)
=
ω
m
2
+
(
μ
+
1
)
ω
a
2
∓
[
ω
m
2
+
(
μ
−
1
)
ω
a
2
]
2
+
4
μ
ω
a
4
2
{\displaystyle {\dbinom {\omega _{1}}{\omega _{2}}}={\sqrt {\frac {\omega _{m}^{2}+(\mu +1)\omega _{a}^{2}\mp {\sqrt {\left[\omega _{m}^{2}+(\mu -1)\omega _{a}^{2}\right]^{2}+4\mu \omega _{a}^{4}}}}{2}}}}
ここで、
ω
a
=
k
a
m
a
,
ω
m
=
k
m
m
m
,
μ
=
m
a
m
m
{\displaystyle \omega _{a}={\sqrt {\frac {k_{a}}{m_{a}}}},\qquad \omega _{m}={\sqrt {\frac {k_{m}}{m_{m}}}},\qquad \mu ={\frac {m_{a}}{m_{m}}}}
である。このとき各質点の振幅倍率は以下のように得られる。
X
m
x
s
t
=
ω
m
2
(
ω
a
2
−
Ω
2
)
(
ω
1
2
−
Ω
2
)
(
ω
2
2
−
Ω
2
)
{\displaystyle {\frac {X_{m}}{x_{st}}}={\frac {\omega _{m}^{2}(\omega _{a}^{2}-\Omega ^{2})}{(\omega _{1}^{2}-\Omega ^{2})(\omega _{2}^{2}-\Omega ^{2})}}}
X
a
x
s
t
=
ω
m
2
ω
a
2
(
ω
1
2
−
Ω
2
)
(
ω
2
2
−
Ω
2
)
{\displaystyle {\frac {X_{a}}{x_{st}}}={\frac {\omega _{m}^{2}\omega _{a}^{2}}{(\omega _{1}^{2}-\Omega ^{2})(\omega _{2}^{2}-\Omega ^{2})}}}
非減衰主系非減衰動吸振器の共振曲線、質量比を変化させた場合 縦軸:主系の振幅倍率の絶対値、横軸:加振力振動数・従系単体固有振動数比
ここで、X m /x st の式に注目すると、ω a = Ω のとき、X m /x st = 0となる。すなわち加振力の振動数Ω が既知のとき、動吸振器の単体固有角振動数ω a をΩ と一致させるように設計することで、主系の振動を完全に消失させることができる[ 6] 。このような手法を同調 (tuning)とよぶ[ 6] 。このように補助質量体に主系の振動を吸収させるが動吸振器の基本原理である。このように、連結された振動系で1つの振動系の振動が極小になることを反共振 (英語版 ) とよぶ。
また、ω a = Ω のときの従系質量体の振動変位の解[ 6] は、
x
a
=
f
0
k
a
cos
(
Ω
t
+
π
)
{\displaystyle x_{a}={\frac {f_{0}}{k_{a}}}\cos(\Omega t+\pi )}
となり、振幅f 0 / k a で、位相 は加振力と180°ずれて振動する。さらに、このときの従系質量体がばねを通じて主系質量体へ及ぼす力F a は、x m = 0なので、
F
a
=
−
k
a
(
x
m
−
x
a
)
=
f
0
cos
(
Ω
t
+
π
)
=
−
f
0
cos
(
Ω
t
)
{\displaystyle F_{a}=-k_{a}(x_{m}-x_{a})=f_{0}\cos(\Omega t+\pi )=-f_{0}\cos(\Omega t)}
となり、加振力を完全に打ち消すような力が、従系から主系へ加わっていることがわかる[ 7] 。
以上のように、理論上はω a をΩ と一致させるように設計すれば主系の振動を0にできるが、実際にはΩ が一定値に限定できる場合は少ない。共振曲線を見ると、Ω /ω a =1の反共振点のすぐそばにω 1 、ω 2 による共振点が存在する。すなわち、Ω が反共振点から変動すると振幅はすぐに大きくなる傾向がある。一方、主系・従系質量比μ = m a /m m に注目すると、μ が大きいほど(=従系質量が主系質量に近いほど)、反共振点から離れても振幅倍率の立ち上がりが緩やかである。振動抑制の観点からは、このように主系・従系質量比を大きく取る方が都合が良いが、実際の設計ではそのような大きな動吸振器を付けることは通常は制約がある[ 8] 。このような欠点を解決するため、下記の減衰付動吸振器が有用となる。
減衰付動吸振器
主系ばねのみ、従系ばね・減衰有りのモデル、主系が加振力f (t )を受ける場合。図中において、k はばね定数、c は減衰定数、m は質量、x はばねの自然長(つり合いの位置)からの変位、t は時刻をそれぞれ表す変数、m、aは主系、従系を表す添え字である。
減衰の無いモデルの動吸振器では、加振力の振動数と動吸振器の単体固有角振動数が一致または狭い範囲で近くないと効果を発揮できない。減衰のある動吸振器では、比較的広い範囲に加振力の振動数が変動する場合でも、主系の振動を吸収することが可能となる。1909年にフラームにより考案された動吸振器は減衰が無い単純なものであった[ 4] 。その後に研究が進み、1928年、J・オーモンドロイド(J. Ormondroyd)とデン・ハートッグ(en:Jacob Pieter Den Hartog )により減衰付きの動吸振器の基礎理論が与えられた[ 4] 。
ばねk m で支えられた質量m m からなる主系(制振対象)に、ばねk a 、減衰器c a と質量m a からなる従系(動吸振器)が取り付けられたモデルを考える。減衰器がないモデルと同様に、各質点の変位をx 、時刻をt とおくと、この運動方程式は以下のようになる[ 9] 。
m
m
x
¨
m
+
k
m
x
m
+
c
a
(
x
˙
m
−
x
˙
a
)
+
k
a
(
x
m
−
x
a
)
=
f
0
e
i
Ω
t
{\displaystyle m_{m}{\ddot {x}}_{m}+k_{m}x_{m}+c_{a}({\dot {x}}_{m}-{\dot {x}}_{a})+k_{a}(x_{m}-x_{a})=f_{0}e^{i\Omega t}}
m
a
x
¨
a
+
c
a
(
x
˙
a
−
x
˙
m
)
+
k
a
(
x
a
−
x
m
)
=
0
{\displaystyle m_{a}{\ddot {x}}_{a}+c_{a}({\dot {x}}_{a}-{\dot {x}}_{m})+k_{a}(x_{a}-x_{m})=0}
この運動方程式より、主系の変位倍率は次のように求まる[ 9] 。
|
X
m
x
s
t
|
=
(
α
2
−
β
2
)
2
+
(
2
ζ
a
α
β
)
2
[
(
α
2
−
β
2
)
(
1
−
β
2
)
−
μ
α
2
β
2
]
2
+
(
2
ζ
a
α
β
)
2
(
1
−
β
2
−
μ
β
2
)
2
{\displaystyle \left|{\frac {X_{m}}{x_{st}}}\right\vert ={\sqrt {\frac {(\alpha ^{2}-\beta ^{2})^{2}+(2\zeta _{a}\alpha \beta )^{2}}{\left[(\alpha ^{2}-\beta ^{2})(1-\beta ^{2})-\mu \alpha ^{2}\beta ^{2}\right]^{2}+(2\zeta _{a}\alpha \beta )^{2}(1-\beta ^{2}-\mu \beta ^{2})^{2}}}}}
ここで、
ω
a
=
k
a
m
a
,
ω
m
=
k
m
m
m
,
μ
=
m
a
m
m
,
α
=
ω
a
ω
m
,
β
=
Ω
ω
m
,
c
c
a
=
2
m
a
k
a
,
ζ
a
=
c
a
c
c
a
,
x
s
t
=
f
0
k
m
{\displaystyle \omega _{a}={\sqrt {\frac {k_{a}}{m_{a}}}},\ \omega _{m}={\sqrt {\frac {k_{m}}{m_{m}}}},\ \mu ={\frac {m_{a}}{m_{m}}},\ \alpha ={\frac {\omega _{a}}{\omega _{m}}},\ \beta ={\frac {\Omega }{\omega _{m}}},\ c_{ca}=2{\sqrt {m_{a}k_{a}}},\ \zeta _{a}={\frac {c_{a}}{c_{ca}}},\ x_{st}={\frac {f_{0}}{k_{m}}}}
である。
減衰比ζ a を変化させていくと、ζ a → 0のときは、上記の非減衰モデルに一致し、ζ a → ∞のときは、主系と従系は一体にふるまい、質量m = m a + m m 、ばね定数 k = k m の1自由度系のモデルに一致する[ 10] 。すなわち、ζ a → 0でも、ζ a → ∞でも、共振点で振幅が無限大に発散することになる[ 11] 。よって減衰を付与する場合、単純に大きな減衰を与えれば振動を低減できるというわけではなく、大き過ぎない小さ過ぎない、最適な減衰の値を与える必要がある[ 11] 。そのための設計手法として、下記の定点理論と最小分散規範などがある。
定点理論
非減衰主系減衰付動吸振器の共振曲線 縦軸:主系の振幅倍率、横軸:加振力振動数・主系単体固有振動数比 減衰比の変化にかかわらず定点(P、Q)が存在する
ブロックらの定点理論による最適結果の例
今、従系(動吸振器)の減衰特性を変化させていくことにより、主系の変位倍率がそれに連れてどのように変化するかに注目する。主系と従系の質量比μ 、主系と従系の単体固有角振動数比α を固定し、従系の減衰比ζ a を変化させて変位倍率X m /x st の変化を見ると、ある2つの主系単体固有角振動数と加振力振動数の比βの値で、ζa に無関係にX m /x st の値が定まる2つの点(P、Q)がある。これらの点を定点(fixed point)と呼ぶ[ 9] 。β の代わりにΩ /ωa の値で変化を見たときも同様である[ 10] 。
減衰の無い動吸振器では、加振力の振動数と動吸振器の単体固有角振動数が一致または狭い範囲で近くないと効果を発揮できないので、減衰を付与することで幅広い範囲で振動(振幅倍率)を抑えるようにしたい。上記の定点が存在する性質を利用して動吸振器特性の最適化を図るのが、動吸振器の定点理論 である。定点理論は、1932年のエーリッヒ・ハンカム (Erich Hahnkamm)の研究に始まり、1946年にJ・E・ブロック(J. E. Brock)によってほぼ完成された[ 4] 。振幅倍率の共振曲線が全体的に低く抑えられるような曲線になればよいので、次の2つの条件を満たせば、そのような曲線が得られることが予想される[ 10] 。
共振曲線で、2つの定点が同じ値を取る。
共振曲線で、2つの定点が極大値を取る。
後者の操作は定点を共振点と一致させることと同義でもある。具体的には、主系と従系の質量比μ より以下のような最適値が求まる[ 12] 。
α
o
p
t
=
1
1
+
μ
{\displaystyle \alpha _{opt}={\frac {1}{1+\mu }}}
(条件1より)
ζ
a
o
p
t
=
3
μ
8
(
1
+
μ
)
{\displaystyle \zeta _{a\ opt}={\sqrt {\frac {3\mu }{8(1+\mu )}}}}
(条件2より)
以上のような、最適な主系・従系質量比α opt を求めることを最適同調 、最適な従系減衰比ζ a opt を求めることを最適減衰 とよぶ[ 13] 。最適同調の式はエーリッヒ・ハンカムにより導出され、最適減衰の式はブロックにより導出された[ 4] 。
上記の最適減衰の式は厳密解ではなく、平均に基づく近似値である[ 14] 。ただしμ ≪ 1と見なせる限り、実用上は特に問題ない。誤差が生じる原因は、P点の最適減衰によると、右側の共振点がQ点からわずかにずれ、同様に、Q点の最適減衰では、左側の共振点がP点からずれるためで、定点理論はP点、Q点での最適減衰を平均化して結果としている。西原らの厳密解との比較によると、μ = 0.1のとき相対差0.023%、μ = 1のとき相対差0.5%、μ = 10のとき相対差2.3%である[ 15] 。西原らによる最適減衰の厳密解を以下に示す[ 16] 。
z
o
p
t
=
α
o
p
t
2
(
1
−
r
o
p
t
)
[
r
o
p
t
−
(
1
+
μ
)
α
o
p
t
2
]
2
r
o
p
t
[
(
1
+
μ
)
2
α
o
p
t
2
−
r
o
p
t
]
{\displaystyle z_{opt}={\sqrt {\frac {\alpha _{opt}^{2}(1-r_{opt})\left[r_{opt}-(1+\mu )\alpha _{opt}^{2}\right]}{2r_{opt}\left[(1+\mu )^{2}\alpha _{opt}^{2}-r_{opt}\right]}}}}
α
o
p
t
=
r
o
p
t
(
1
+
4
+
3
μ
)
3
(
1
+
μ
)
2
{\displaystyle \alpha _{opt}={\sqrt {\frac {r_{opt}(1+{\sqrt {4+3\mu }})}{3(1+\mu )^{2}}}}}
ここで、
z
=
c
a
2
μ
m
m
k
m
=
α
ζ
a
{\displaystyle z={\frac {c_{a}}{2\mu {\sqrt {m_{m}k_{m}}}}}=\alpha \zeta _{a}}
r
o
p
t
=
8
[
(
4
+
3
μ
)
3
/
2
−
μ
]
64
+
80
μ
+
27
μ
2
{\displaystyle r_{opt}={\frac {8\left[(4+3\mu )^{3/2}-\mu \right]}{64+80\mu +27\mu ^{2}}}}
最小分散規範
最小分散規範(赤)と定点理論(青)の比較例 定点理論の方が最大値は低いが、最小分散規範の方が全体的に倍率が低い
非常に不規則な励振を受けるなどの場合は、特定の励振周波数近辺よりも、すべての周波数域で振動が最少となるように設計した方がよい[ 12] 。このような設計手法として、最小分散規範 と呼ばれる最適化法がある。最小分散規範は、1963年にステファン・H・クランドル(Stephen H. Crandall)とウィリアム・D・マーク(William D. Mark)により発表された
[ 17] 。
最小分散規範では、伝達される振動エネルギーに注目して、これが最少となるように設計する。すなわち、共振曲線を積分して得られる面積二乗値が最少となるようにする[ 12] 。具体的には、主系の基礎部がホワイトノイズ ランダム振動を行う場合は、主系と従系の質量比μ より以下のような最適値が求まる[ 18] 。
α
o
p
t
=
1
1
+
μ
2
+
μ
2
{\displaystyle \alpha _{opt}={\frac {1}{1+\mu }}{\sqrt {\frac {2+\mu }{2}}}}
ζ
a
o
p
t
=
μ
(
4
+
3
μ
)
8
(
1
+
μ
)
(
2
+
μ
)
{\displaystyle \zeta _{a\ opt}={\sqrt {\frac {\mu (4+3\mu )}{8(1+\mu )(2+\mu )}}}}
上記の通り、定点理論と異なり2つの共振点の高さは一致せず、常に曲線上左側(周波数が低い側)の共振点が、曲線上右側(周波数が高い側)の共振点よりも大きくなる特徴がある[ 19] 。
減衰付主系・減衰付動吸振器
主系、従系ともにばね・減衰有りのモデル、主系が加振力を受ける場合
主系、従系ともにばね・減衰有りのモデル、基礎が振動変位する場合
より一般的な、主系にも減衰がある場合を考える。ばねk m 、減衰器c m で基礎に支えられた質量m m からなる主系(制振対象)に、ばねk a 、減衰器c a と質量m a からなる従系(動吸振器)が取り付けられたモデルの運動方程式は、主系に対して力励振f (t )が加わる場合と基礎に対して変位励振x 0 (t )が発生する場合、それぞれで以下のようになる。
主系に対して力励振f (t )が加わる場合:
m
m
x
¨
m
+
c
m
x
˙
m
+
k
m
x
m
+
c
a
(
x
˙
m
−
x
˙
a
)
+
k
a
(
x
m
−
x
a
)
=
f
(
t
)
{\displaystyle m_{m}{\ddot {x}}_{m}+c_{m}{\dot {x}}_{m}+k_{m}x_{m}+c_{a}({\dot {x}}_{m}-{\dot {x}}_{a})+k_{a}(x_{m}-x_{a})=f(t)}
m
a
x
¨
a
+
c
a
(
x
˙
a
−
x
˙
m
)
+
k
a
(
x
a
−
x
m
)
=
0
{\displaystyle m_{a}{\ddot {x}}_{a}+c_{a}({\dot {x}}_{a}-{\dot {x}}_{m})+k_{a}(x_{a}-x_{m})=0}
基礎に対して変位励振x 0 (t )が発生する場合:
m
m
x
¨
m
+
c
m
(
x
˙
m
−
x
˙
0
(
t
)
)
+
k
m
(
x
m
−
x
0
(
t
)
)
+
c
a
(
x
˙
m
−
x
˙
a
)
+
k
a
(
x
m
−
x
a
)
=
0
{\displaystyle m_{m}{\ddot {x}}_{m}+c_{m}({\dot {x}}_{m}-{\dot {x}}_{0}(t))+k_{m}(x_{m}-x_{0}(t))+c_{a}({\dot {x}}_{m}-{\dot {x}}_{a})+k_{a}(x_{m}-x_{a})=0}
m
a
x
¨
a
+
c
a
(
x
˙
a
−
x
˙
m
)
+
k
a
(
x
a
−
x
m
)
=
0
{\displaystyle m_{a}{\ddot {x}}_{a}+c_{a}({\dot {x}}_{a}-{\dot {x}}_{m})+k_{a}(x_{a}-x_{m})=0}
主系に対して力励振f = f 0 sin(Ωt )が加わる場合は、主系の変位倍率は次のように求まる[ 20] 。
|
X
m
x
s
t
|
=
(
α
2
−
β
2
)
2
+
(
2
ζ
a
α
β
)
2
A
2
+
4
B
2
{\displaystyle \left|{\frac {X_{m}}{x_{st}}}\right\vert ={\sqrt {\frac {(\alpha ^{2}-\beta ^{2})^{2}+(2\zeta _{a}\alpha \beta )^{2}}{A^{2}+4B^{2}}}}}
A
=
β
4
−
{
(
μ
+
1
)
α
2
+
4
ζ
a
ζ
m
α
+
1
}
β
2
+
α
2
{\displaystyle A=\beta ^{4}-\left\{(\mu +1)\alpha ^{2}+4\zeta _{a}\zeta _{m}\alpha +1\right\}\beta ^{2}+\alpha ^{2}}
B
=
−
{
ζ
m
+
(
μ
+
1
)
ζ
a
α
}
β
3
+
(
ζ
m
α
+
ζ
a
)
α
β
{\displaystyle B=-\left\{\zeta _{m}+(\mu +1)\zeta _{a}\alpha \right\}\beta ^{3}+(\zeta _{m}\alpha +\zeta _{a})\alpha \beta }
ここで、
ω
a
=
k
a
m
a
,
ω
m
=
k
m
m
m
,
μ
=
m
a
m
m
,
α
=
ω
a
ω
m
,
β
=
Ω
ω
m
{\displaystyle \omega _{a}={\sqrt {\frac {k_{a}}{m_{a}}}},\ \omega _{m}={\sqrt {\frac {k_{m}}{m_{m}}}},\ \mu ={\frac {m_{a}}{m_{m}}},\ \alpha ={\frac {\omega _{a}}{\omega _{m}}},\ \beta ={\frac {\Omega }{\omega _{m}}}}
c
c
a
=
2
m
a
k
a
,
c
c
m
=
2
m
m
k
m
,
ζ
a
=
c
a
c
c
a
,
ζ
m
=
c
m
c
c
m
,
x
s
t
=
f
0
k
m
{\displaystyle c_{ca}=2{\sqrt {m_{a}k_{a}}},\ c_{cm}=2{\sqrt {m_{m}k_{m}}},\ \zeta _{a}={\frac {c_{a}}{c_{ca}}},\ \zeta _{m}={\frac {c_{m}}{c_{cm}}},\ x_{st}={\frac {f_{0}}{k_{m}}}}
である。ζ m → 0のとき、上記の主系に減衰無しの場合の変位倍率と一致する。
一般に、主系に減衰要素が存在する場合は動吸振器の最適パラメータ(α opt 、ζ a opt )の厳密解を得ることはできない[ 18] 。また、主系に減衰が存在する場合は共振曲線上の定点が存在しなくなる[ 21] 。このようなモデルの最適パラメータは数値解析 により最適値を得る必要があり、多くの研究が行われてきている[ 3] 。
近似式
数値解析結果をもとにした、浅見らによる最適パラメータを求める近似式を以下に示す[ 22] [ 23] 。主系の減衰比ζ m < 0.1程度の範囲まで実用的には十分な精度がある[ 24] [ 25] 。減衰付主系のモデルでは定点は存在しないので、ここでいう定点理論による最適値とは、共振点の高さを等しくすることによる最適値という意味である[ 21] 。
ここで、
ω
a
=
k
a
m
a
,
ω
m
=
k
m
m
m
,
μ
=
m
a
m
m
,
α
=
ω
a
ω
m
{\displaystyle \omega _{a}={\sqrt {\frac {k_{a}}{m_{a}}}},\ \omega _{m}={\sqrt {\frac {k_{m}}{m_{m}}}},\ \mu ={\frac {m_{a}}{m_{m}}},\ \alpha ={\frac {\omega _{a}}{\omega _{m}}}}
c
c
a
=
2
m
a
k
a
,
ζ
a
=
c
a
c
c
a
,
c
c
m
=
2
m
m
k
m
,
ζ
m
=
c
m
c
c
m
{\displaystyle \ c_{ca}=2{\sqrt {m_{a}k_{a}}},\ \zeta _{a}={\frac {c_{a}}{c_{ca}}},\ c_{cm}=2{\sqrt {m_{m}k_{m}}},\ \zeta _{m}={\frac {c_{m}}{c_{cm}}}}
とすれば、
最小分散規範による最適値: [ 22]
α
o
p
t
=
1
1
+
μ
1
+
μ
2
−
ζ
m
(
4
+
μ
)
μ
8
(
1
+
μ
)
3
(
2
+
μ
)
(
4
+
3
μ
)
+
ζ
m
2
μ
(
192
+
304
μ
+
132
μ
2
+
13
μ
3
)
8
(
1
+
μ
)
2
(
4
+
3
μ
)
2
2
(
2
+
μ
)
3
−
ζ
m
3
b
1
16
μ
3
2
(
1
+
μ
)
5
(
2
+
μ
)
5
(
4
+
3
μ
)
7
{\displaystyle {\begin{alignedat}{3}\alpha _{opt}=&{\frac {1}{1+\mu }}{\sqrt {1+{\frac {\mu }{2}}}}-\zeta _{m}(4+\mu ){\sqrt {\frac {\mu }{8(1+\mu )^{3}(2+\mu )(4+3\mu )}}}\\&+\zeta _{m}^{2}{\frac {\mu (192+304\mu +132\mu ^{2}+13\mu ^{3})}{8(1+\mu )^{2}(4+3\mu )^{2}{\sqrt {2(2+\mu )^{3}}}}}\\&-\zeta _{m}^{3}{\frac {b_{1}}{16}}{\sqrt {\frac {\mu ^{3}}{2(1+\mu )^{5}(2+\mu )^{5}(4+3\mu )^{7}}}}\\\end{alignedat}}}
ζ
a
o
p
t
=
μ
(
4
+
3
μ
)
8
(
1
+
μ
)
(
2
+
μ
)
−
ζ
m
μ
3
4
(
1
+
μ
)
(
4
+
3
μ
)
2
(
2
+
μ
)
3
+
ζ
m
2
−
64
−
80
μ
+
15
μ
3
32
2
μ
5
(
1
+
μ
)
3
(
2
+
μ
)
5
(
4
+
3
μ
)
5
+
ζ
m
3
μ
3
b
2
32
(
1
+
μ
)
2
(
4
+
3
μ
)
4
2
(
2
+
μ
)
7
{\displaystyle {\begin{alignedat}{3}\zeta _{a\ opt}=&{\sqrt {\frac {\mu (4+3\mu )}{8(1+\mu )(2+\mu )}}}-\zeta _{m}{\frac {\mu ^{3}}{4(1+\mu )(4+3\mu ){\sqrt {2(2+\mu )^{3}}}}}\\&+\zeta _{m}^{2}{\frac {-64-80\mu +15\mu ^{3}}{32}}{\sqrt {\frac {2\mu ^{5}}{(1+\mu )^{3}(2+\mu )^{5}(4+3\mu )^{5}}}}\\&+\zeta _{m}^{3}{\frac {\mu ^{3}b_{2}}{32(1+\mu )^{2}(4+3\mu )^{4}{\sqrt {2(2+\mu )^{7}}}}}\\\end{alignedat}}}
ただし、
b
1
=
4096
+
13056
μ
+
15360
μ
2
+
8080
μ
3
+
1780
μ
4
+
101
μ
5
{\displaystyle b_{1}=4096+13056\mu +15360\mu ^{2}+8080\mu ^{3}+1780\mu ^{4}+101\mu ^{5}}
b
2
=
2048
+
6912
μ
+
8064
μ
2
+
3616
μ
3
+
288
μ
4
−
125
μ
5
{\displaystyle b_{2}=2048+6912\mu +8064\mu ^{2}+3616\mu ^{3}+288\mu ^{4}-125\mu ^{5}}
α
o
p
t
=
1
1
+
μ
1
+
μ
2
−
ζ
m
(
4
+
μ
)
μ
8
(
1
+
μ
)
3
(
2
+
μ
)
(
4
+
3
μ
)
+
ζ
m
2
μ
(
704
+
1328
μ
+
804
μ
2
+
157
μ
3
)
8
(
1
+
μ
)
2
(
4
+
3
μ
)
2
2
(
2
+
μ
)
3
+
ζ
m
3
b
1
16
μ
2
(
1
+
μ
)
5
(
2
+
μ
)
5
(
4
+
3
μ
)
7
{\displaystyle {\begin{alignedat}{3}\alpha _{opt}=&{\frac {1}{1+\mu }}{\sqrt {1+{\frac {\mu }{2}}}}-\zeta _{m}(4+\mu ){\sqrt {\frac {\mu }{8(1+\mu )^{3}(2+\mu )(4+3\mu )}}}\\&+\zeta _{m}^{2}{\frac {\mu (704+1328\mu +804\mu ^{2}+157\mu ^{3})}{8(1+\mu )^{2}(4+3\mu )^{2}{\sqrt {2(2+\mu )^{3}}}}}\\&+\zeta _{m}^{3}{\frac {b_{1}}{16}}{\sqrt {\frac {\mu }{2(1+\mu )^{5}(2+\mu )^{5}(4+3\mu )^{7}}}}\\\end{alignedat}}}
ζ
a
o
p
t
=
μ
(
4
+
3
μ
)
8
(
1
+
μ
)
(
2
+
μ
)
−
ζ
m
μ
3
4
(
1
+
μ
)
(
4
+
3
μ
)
2
(
2
+
μ
)
3
+
ζ
m
2
4096
+
13760
μ
+
18608
μ
2
+
12640
μ
3
+
4287
μ
4
+
576
μ
5
32
2
μ
3
(
1
+
μ
)
3
(
2
+
μ
)
5
(
4
+
3
μ
)
5
+
ζ
m
3
μ
3
b
2
32
(
1
+
μ
)
2
(
4
+
3
μ
)
4
2
(
2
+
μ
)
7
{\displaystyle {\begin{alignedat}{3}\zeta _{a\ opt}=&{\sqrt {\frac {\mu (4+3\mu )}{8(1+\mu )(2+\mu )}}}-\zeta _{m}{\frac {\mu ^{3}}{4(1+\mu )(4+3\mu ){\sqrt {2(2+\mu )^{3}}}}}\\&+\zeta _{m}^{2}{\frac {4096+13760\mu +18608\mu ^{2}+12640\mu ^{3}+4287\mu ^{4}+576\mu ^{5}}{32}}{\sqrt {\frac {2\mu ^{3}}{(1+\mu )^{3}(2+\mu )^{5}(4+3\mu )^{5}}}}\\&+\zeta _{m}^{3}{\frac {\mu ^{3}b_{2}}{32(1+\mu )^{2}(4+3\mu )^{4}{\sqrt {2(2+\mu )^{7}}}}}\\\end{alignedat}}}
ただし、
b
1
=
65536
+
241664
μ
+
369920
μ
2
+
305664
μ
3
+
148720
μ
4
+
43500
μ
5
+
7339
μ
6
+
576
μ
7
{\displaystyle b_{1}=65536+241664\mu +369920\mu ^{2}+305664\mu ^{3}+148720\mu ^{4}+43500\mu ^{5}+7339\mu ^{6}+576\mu ^{7}}
b
2
=
524288
+
2818048
μ
+
6621184
μ
2
+
8864512
μ
3
+
7377280
μ
4
+
3896224
μ
5
+
1271168
μ
6
+
233491
μ
7
+
18432
μ
8
{\displaystyle b_{2}=524288+2818048\mu +6621184\mu ^{2}+8864512\mu ^{3}+7377280\mu ^{4}+3896224\mu ^{5}+1271168\mu ^{6}+233491\mu ^{7}+18432\mu ^{8}}
定点理論による最適値: [ 23]
α
o
p
t
=
1
1
+
μ
−
ζ
m
1
1
+
μ
1
2
(
1
+
μ
)
(
3
+
4
μ
−
2
(
2
+
μ
)
(
9
+
4
μ
)
2
+
μ
)
+
ζ
m
2
b
0
−
4
(
5
+
2
μ
)
2
(
2
+
μ
)
(
9
+
4
μ
)
4
(
1
+
μ
)
2
(
2
+
μ
)
(
9
+
4
μ
)
{\displaystyle {\begin{alignedat}{2}\alpha _{opt}=&{\frac {1}{1+\mu }}-\zeta _{m}{\frac {1}{1+\mu }}{\sqrt {{\frac {1}{2(1+\mu )}}\left(3+4\mu -{\frac {\sqrt {2(2+\mu )(9+4\mu )}}{2+\mu }}\right)}}\\&+\zeta _{m}^{2}{\frac {b_{0}-4(5+2\mu ){\sqrt {2(2+\mu )(9+4\mu )}}}{4(1+\mu )^{2}(2+\mu )(9+4\mu )}}\\\end{alignedat}}}
ζ
a
o
p
t
=
3
μ
8
(
1
+
μ
)
+
ζ
m
60
+
63
μ
+
16
μ
2
−
2
(
3
+
2
μ
)
2
(
2
+
μ
)
(
9
+
4
μ
)
8
(
1
+
μ
)
(
2
+
μ
)
(
9
+
4
μ
)
+
ζ
m
2
b
1
(
A
+
B
)
2
+
μ
+
b
2
(
A
−
B
)
μ
32
(
1
+
μ
)
(
9
+
4
μ
)
μ
(
2
+
μ
)
{\displaystyle {\begin{alignedat}{2}\zeta _{a\ opt}=&{\sqrt {\frac {3\mu }{8(1+\mu )}}}+\zeta _{m}{\frac {60+63\mu +16\mu ^{2}-2(3+2\mu ){\sqrt {2(2+\mu )(9+4\mu )}}}{8(1+\mu )(2+\mu )(9+4\mu )}}\\&+\zeta _{m}^{2}{\frac {b_{1}(A+B){\sqrt {2+\mu }}+b_{2}(A-B){\sqrt {\mu }}}{32(1+\mu )(9+4\mu ){\sqrt {\mu (2+\mu )}}}}\\\end{alignedat}}}
A
=
3
(
2
+
μ
)
−
μ
(
2
+
μ
)
{\displaystyle A={\sqrt {3(2+\mu )-{\sqrt {\mu (2+\mu )}}}}}
B
=
3
(
2
+
μ
)
+
μ
(
2
+
μ
)
{\displaystyle B={\sqrt {3(2+\mu )+{\sqrt {\mu (2+\mu )}}}}}
ただし、
b
0
=
52
+
41
μ
+
8
μ
2
{\displaystyle b_{0}=52+41\mu +8\mu ^{2}}
b
1
=
−
1296
+
2124
μ
+
6509
μ
2
+
5024
μ
3
+
1616
μ
4
+
192
μ
5
{\displaystyle b_{1}=-1296+2124\mu +6509\mu ^{2}+5024\mu ^{3}+1616\mu ^{4}+192\mu ^{5}}
b
2
=
48168
+
112887
μ
+
105907
μ
2
+
49664
μ
3
+
11632
μ
4
+
1088
μ
5
{\displaystyle b_{2}=48168+112887\mu +105907\mu ^{2}+49664\mu ^{3}+11632\mu ^{4}+1088\mu ^{5}}
α opt とζ a opt の式は、上記の主系力加振系と同形式である。ただし係数は以下のように変わる。
b
0
=
52
+
113
μ
+
76
μ
2
+
16
μ
3
{\displaystyle b_{0}=52+113\mu +76\mu ^{2}+16\mu ^{3}}
b
1
=
−
1296
+
2124
μ
+
7157
μ
2
+
5924
μ
3
+
2032
μ
4
+
256
μ
5
{\displaystyle b_{1}=-1296+2124\mu +7157\mu ^{2}+5924\mu ^{3}+2032\mu ^{4}+256\mu ^{5}}
b
2
=
48168
+
105111
μ
+
91867
μ
2
+
40172
μ
3
+
8784
μ
4
+
768
μ
5
{\displaystyle b_{2}=48168+105111\mu +91867\mu ^{2}+40172\mu ^{3}+8784\mu ^{4}+768\mu ^{5}}