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包括型地域生活支援

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包括型地域生活支援(ほうかつがたちいきせいかつしえん、Assertive Community Treatment, ACT, アクト)は、重症の精神障害者に対して、地域で包括的な支援を提供するプログラムである[1][2]。多職種チームで、24時間体制で地域生活を支援する[3]

定義

プログラムを定義づける特徴は以下のようにまとめることができる。

  • 支援を最も必要とする当事者(利用者)が対象であること。
  • 当事者がホームレスとなることや不必要な入院をすることを妨げつつ、自立、リハビリテーション、リカバリーを推進するという使命を持つこと。
  • 自宅や地域(オフィスの外)など、実際の生活の場で支援が提供される[4]
  • 従来の斡旋型のケースマネジメントとは異なり、直接ACTチームのスタッフが、治療やリハビリテーション、地域生活支援を提供できる程度にケースロード(スタッフ数に対する利用者数)が小さい。
  • 全てのスタッフが全ての利用者に関わる「トータルチームアプローチ」。
  • 精神科医、看護師、ソーシャルワーカー、就労支援専門家、当事者スタッフなどが参加して行われる、包括的で専門領域をまたいだアセスメントとプランニング。
  • あらゆる地域生活の領域における当事者のウェルビーイングに関して、チームとして完全に責任をとろうとする意思。
  • まず第一に当事者の危機を防ぐ支援を行い、それが不可能であった場合には、再入院しないで危機を克服できるように支援を行うと意識的に努力すること。
  • 専門家による集中的な支援の必要性がある限りは、無期限に支援が提供される[5][6][7][8][9]
  • 積極的エンゲージメントの仕組みを持つ(高いコンタクト頻度、24時間365日オンコール体制、危機介入、入院中も関わりを続けること等)[3]
  • ケースマネジメントの実施[3]
  • サービスの質をモニタリングする仕組みを持つ[3]
  • インフォーマル・サポートをすることのできる人々(家族・友人・雇用主など)と共に関わる[3]
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初期の発展

ACTが米国で開発されたのは1970年代初頭である。脱施設化の最盛期であり、数多くの患者が州立の精神科病院から、社会資源が十分に開発・統合されていない状態の地域へと退院していた時期である[10]。この手法の創始者は、ウィスコンシン州のメンドータ州立病院(1974年にメンドータ精神保健研究所に改名)のレオナルド・I・スタイン[11][12][13][14][15][16]、マリー・アン・テスト[17][18][19][4][20] [10][21][22]、アーノルド・J・マークス[23]、デボラ・J・オールネス[6][24]、ウィリアム・H・ケネードラー[6][25][26][27] らとその同僚たちである[28][29][30][31][32]。ACTは、TCLプログラム(Training in Community Living:地域生活訓練)やPACTモデル(Program of Assertive Community Treatment)、マジソンモデルとも呼ばれ、この当時においては急進的な改革が、後の地域精神保健の歴史に最も大きな影響を与えるサービス提供手法への発展していく[33]。最初のマジソンプロジェクトは、1974年の米国精神医学会の金賞を受賞している[34]。州立病院の入院が予想される比較的幅広い層を対象とした入院予防戦略としてモデルが認知された後、1970年代後半から1980年代にかけてPACTチームは、比較的若く発病からの期間が短い統合失調症の対象者に焦点を当てていく[35]

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科学的根拠に基づいた活動としてのACT

ACTは様々な国や地域で、支援を最も必要とする人たちを対象として多くの成功実績を挙げてきた。それは今も増し続ける数多くの厳しいアウトカム評価に関する研究によって示された。[36][37]ACTは、米国薬物乱用精神衛生管理庁,[38][39]Robert Wood Johnson基金,[40]全国障害者家族会,[41] リハ施設資格承認委員会,[42] などの組織で、広く普及するに値する 科学的証拠に基づく活動[43][44] であるとみなされた。 しかしながら、いくつかの批判もあることも指摘されるべきである。とりわけフロリダ大学のTomi Gomory[45][46] が有名である。その批判によると、ACTには強制的な側面があり、ACTを支持する研究は科学的に妥当でないということである。Test とSteinはこの批判に返答し,[47] そしてGomoryもまたこれに応えた。[48]

参考文献

脚註

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