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和を以て貴しと為す
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和を以て尊し(貴し)となす
聖徳太子が制定した『十七条憲法』第一条に記される語句。
中国の『論語』には「礼之用、和為貴」(礼を運用する際に最も重要なのは和である)という一節があり、語感が近いことから儒教からの直接引用と説明されることもある。しかし、聖徳太子の示した「和」は、国家運営や組織における協調・秩序維持を重視した理念であり、文言・構造・用法ともに『論語』の記述とは一致しない。
『論語』に見られる「和」の思想が背景として影響した可能性は否定できないものの、「和を以て尊しとなす」という表現自体は太子が日本で独自に構成したものであり、中国古典からの直接引用ではない。
したがって、この語句は 日本で成立した表現 と位置づけられる。
概要
人と人とは睦ましく貴いものであるべきということ。人々が協調すること、和を大切にしなさいということが意味されている。これは互いを尊重し合い、認め合って協力することが大切であるということである。また怒らず、争わない”人としての在り方”が大切であるとされている。そのため人との関わり方として、争いを避けて和を大切にするだけでなく、互いに妥協をせずに、納得するまで話し合うことも必要である。自分の気持ちや感情を抑えるのみでひたすら我慢をしたり、相手の気持ちや意見を考慮しないことは和ではない。和というのは妥協や感情に流された主張ではなく、互いに分かり合って調和や協調するということ、とされている[1]。
歴史
中国
礼記の儒行でこの言葉が述べられている。ここでは「礼は和を用って貴しと為す」とある[2]。儀式においての作法では、その場においての人々の心が調和することが大切であるということが意味されている。論語の学而でもこの言葉が述べられている。ここでは「礼は之和を用って貴しと為す」とある。儒教においての和とは、名分を守り秩序を重んじる礼を行うにあたっては、和らぎ睦みあうことが大切であるということが説かれている[3]。
日本
日本書紀では7世紀の始めに聖徳太子が定めた十七条憲法の第一条は以和爲貴(和を以て貴しと為し)であると伝えられているということがよく知られている。十七条憲法とは、役人たちが守るべきとする道徳的な戒めが記されており、この第一条では儒教における学問の和の概念を超えて、仏教の和合の精神の重要さも説かれていた。この第一条では和を大切にすることに加えて、逆らったり争いを起こさないことを根本とするということが説かれていた。そして上下関係にとらわれることが無く話し合いができたならば、何もかもを成し遂げられるだろうと説かれていた[1]。
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脚注
関連項目
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