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夏の夕べ、イタリア風景
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『夏の夕べ、イタリア風景』(なつのゆうべ、イタリアふうけい、仏: Soir d’été, paysage d’Italie、英: Summer Evening, Landscape in Italy)は、18世紀フランス・ロココ期の画家クロード・ジョゼフ・ヴェルネが1773年にキャンバス上に油彩で制作した絵画である。画面左下に「J. Vernet. 1773」という画家の署名と年記が記されている[1][2]。作品は1989年に購入されて以来、東京の国立西洋美術館に所蔵されている[1][2]。
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作品
ヴェルネは1734年から20年近くイタリアに滞在し、自然観察に優れた風景画の数々によって、グランドツアーで訪れるイギリス人美術愛好家を中心に人気を博した[1]。画家は、イタリア時代には実際に戸外で風景を直接写生して、絵画を制作したといわれるが、すでに18世紀当時に指摘されていたように、晩年にはかつて手懸けたモティーフをさまざまに組み合わせながら繰り返して使用するという傾向が強くなっていた[2]。
晩年に近い1773年に描かれた本作は、長い夏の日の終わりに川辺で水浴をする女性たちを表している[1]。遠方には街が陽の光に明るく照らし出され、画面右手の黒々とした岸壁とコントラストをなしている。この街並みはイタリアの実景と考えられるが、特定されていない。絵画は、大きな岩と樹、川と橋などなどヴェルネの作品にしばしば見られるモティーフと都市風景を自由に組み合わせた空想上の風景である[1]。
本作『夏の夕べ、イタリア風景』には、『朝、岩場の眺め』 (現在所在不明) という対作品があり[1][2]、朝と夕べの光の効果が意図されていたことがわかる。17世紀の風景画には、1日の各時間の風景をいくつかの作品に描き分ける形式がすでに見られるが、ヴェルネはこの形式を海景や水浴図と組み合わせて描き、広く人気を博した[1]。
構図全体は落ち着いた均衡をみせ、17世紀の古典主義的風景画を彷彿とさせる[2]。一方で、幾分硬さの感じられる画面仕上げには、すでに新古典主義的な要素を認めることも可能である。また、個々の人物の描写や、自然観察などには、哲学者ドゥニ・ディドロを感嘆させたヴェルネの「自然主義」的特質が見事に発揮されており、コローやバルビゾン派、印象派などに展開していくフランス風景画の伝統の確立が見てとれる[2]。
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脚注
参考文献
外部リンク
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