1次元ニュートン力学
Walter Lewinが1次元の弾性衝突について説明するところ
弾性衝突において、運動量と運動エネルギーの両方が保存される[1]。粒子1と2の質量がm1とm2、衝突前の速度をu1とu2、衝突後の速度をv1とv2とする。衝突前後の総運動量の保存は次の式で表される[1]。

同様に、総運動エネルギーの保存は次の式で表される[1]。

が既知の場合、これらの式を直接解くことで
を算出することができる[2]。
![{\displaystyle {\begin{array}{ccc}v_{1}&=&{\dfrac {m_{1}-m_{2}}{m_{1}+m_{2}}}u_{1}+{\dfrac {2m_{2}}{m_{1}+m_{2}}}u_{2}\\[.5em]v_{2}&=&{\dfrac {2m_{1}}{m_{1}+m_{2}}}u_{1}+{\dfrac {m_{2}-m_{1}}{m_{1}+m_{2}}}u_{2}\end{array}}}](//wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/ac6c6ba32ecc73b38db1e1b120ce1f871577cf21)
両方の質量が同じ場合、以下に示す自明な解を得る。


これは単に物体同士の初速の交換に対応する[2]。
解はすべての速度に定数を追加しても不変である(ガリレオ不変性(英語版))。これは並進速度が一定の座標系を使用するようなものである。実際、方程式を導出するためには既知の速度の1つがゼロになるように座標系を変更し、新しい座標系で未知の速度を決定し、元の座標系に変換する。
式の導出
上記の
の式を導くために、運動エネルギーと運動量の式を以下のように整理する。


上の式の各項を下の式の各項で割ると、以下の式となる。
.
つまり、1つの粒子のもう1つの粒子に対する相対速度は、衝突により逆転する。
を定数として、下記の
の連立方程式を解くことで上記
又は
の式を得ることができる。どちらかが決定すれば、もう一方も対称的に決定される。

1次元相対論的力学
特殊相対性理論によると、以下の式が成り立つ。

ここで p は質量を有するあらゆる粒子の運動量を示し、v は速度、c は光速を示す。
総運動量が0に等しくなる運動量中心系(英語版)において、以下の式が成り立つ。





ここで
は2つの衝突する物体の静止質量であり、
はそれらの衝突前の速度であり、
はそれらの衝突後の速度であり、
はそれらの運動量、
は真空での光速であり、
は静止質量と2つの物体の運動エネルギーの和である総エネルギーである。
系の総エネルギーと運動量は保存され、静止質量は変化しないことから、衝突する物体の運動量は衝突する物体の静止質量、総エネルギー及び総運動量により決まる。運動量中心系に対して、衝突する各物体の運動量は衝突後に大きさは変わらないが、運動の方向が反転する。
光速よりもはるかに遅く移動する巨視的な物体を扱う正確な結果を与える古典力学と比較すると、衝突する2つの物体の総運動量は基準とする系に依存する。運動量中心系において古典力学によると、以下の式が成り立つ。








これは違いはあるものの、相対論的計算
と一致する。
特殊相対性理論の仮定の1つは、運動量保存などの物理法則は全ての慣性座標系で不変であると述べる。総運動量が任意である一般的な慣性系では以下の式となる。


2つの移動する物体を、総運動量が
、総エネルギーが
、質量中心の速度が
の系として見ることができる。運動量中心系に相対的な総運動量はゼロに等しくなる。
は以下の式で与えられる。

運動量中心系における衝突前の速度
と
は:






かつ
のとき、
≈ 
≈ 
≈
≈ 
≈ 
≈ 
≈ 
≈
≈ 
≈ 
それゆえ、衝突する両方の物体の速度が光速(秒速30万km)よりもはるかに遅い場合、古典的な計算が成り立つ。