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宮崎富夫

日本の実業家 ウィキペディアから

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宮﨑 富夫(みやざき とみお、1977年昭和52年)9月16日 - 、「﨑」の字は「大」ではなく「立」が正式)は、日本の実業家ティラド代表取締役 CEO 兼 COO 社長執行役員[1][2]陣屋グループオーナー。従叔父はアニメ監督宮崎駿[3]

老舗旅館「元湯陣屋」4代目社長として事業承継後、旅館経営のIT改革を進め、クラウド型宿泊業務システム「陣屋コネクト」を開発・展開したことでも知られる。

経歴

神奈川県出身。東洋ラジエーター(現:ティラド)元社長・宮崎総一郎の長男として生まれる[4]。祖父は宮崎航空工業元社長の二代目宮崎富次郎[4][5][6]。曽祖父は宮崎製作所元社長の初代宮崎富次郎[4][7]

慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科卒業、同大学院修士[3]。本田技術研究所にて7年間次世代燃料電池の開発に携わる[3]2009年、鶴巻温泉元湯陣屋の代表取締役社長就任[3]2012年、陣屋コネクトを設立[3]2015年、ティラド社外取締役。2018年、ティラド代表取締役 COO 社長執行役員を経て、2022年、同代表取締役 CEO 兼 COO 社長執行役員に就任[1][2]

略歴

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活動

要約
視点

元湯陣屋の再建

2009年、神奈川県秦野市の老舗旅館「元湯陣屋」の経営を承継した。当時、同旅館は借入金と赤字経営により経営危機に直面していた。宮﨑はエンジニアとしてのバックグラウンドを活かし、クラウド基盤を用いた独自の業務統合システムを開発。予約・顧客管理・会計・勤怠・売上分析などを一元化することで、業務効率化と情報共有の徹底を実現した。 これにより、従業員間のコミュニケーションが改善され、サービス品質の向上とコスト削減を両立させた。同時に「旅館再生のモデルケース」として注目され、各種メディアで紹介された。

陣屋コネクトの開発と普及

2012年に「株式会社陣屋コネクト」を設立し、宿泊業界向けクラウドサービス「陣屋コネクト」を本格的に事業化した。同システムは予約・顧客管理・売上管理をクラウドで一元化するもので、経営数値の可視化や業務標準化を可能にする。 陣屋コネクトは全国の旅館・ホテルに導入が進み、2020年代には600施設以上で利用されるに至った[8]。この事例は「伝統産業のデジタル化推進」の象徴として評価され、宿泊業の生産性向上と働き方改革に寄与したとされる。

ティラドでの経営改革

宮﨑は2014年に社外取締役としてティラドに参画し、2018年に代表取締役社長執行役員、2022年に代表取締役 CEO兼COO に就任した。就任後は以下の改革を推進している。

  • **中期経営計画の策定**
 - ROE向上やPBR1倍超を目標とした「T.RAD-12」(2022〜2025年度)を掲げ、資本効率と株主還元の強化を進めた。  
 - 2025年には、新たに「T.RAD-2025」を発表。従来の4年ごとの計画から「年次見直し型」へ移行し、環境変化に迅速対応する仕組みを導入した[9]
  • **T.RAD-2025の重点方針**
 - 2030年度までに売上高2,000億円、ROE15%、PBR1倍以上を目指す。  
 - 年間100〜150億円規模の成長投資を行い、電動化対応熱交換器、DX、環境、人材分野に重点配分。  
 - DOE5%以上を目標とする株主還元策を掲げ、配当と自己株取得を実施。  
 - 2030年度までにCO₂排出を2021年度比で27%削減し、グリーントランスフォーメーション(GX)を推進する。  
  • **DX推進と業務改革**
 - 子会社「ティラドコネクト」を設立し、製造・経営管理のデジタル化を推進。  
  • **グローバル事業の収益改善**
 - 米国事業の立て直しやアセアン地域での拡大を進め、サプライチェーン最適化を図った。  
  • **新領域への展開**
 - 従来の熱交換器事業に加え、環境・エネルギー分野での新技術開発にも取り組んでいる。  

これらにより、ティラドは「部品メーカー」から「技術・環境ソリューション企業」への変革を目指しているとされる。

文化・地域活動

元湯陣屋を舞台に、北大路魯山人ゆかりの美術作品を展示するなど文化活動にも取り組んでいる。また、アストンマーティン・オーナーズクラブのイベントを旅館で開催するなど、自動車趣味と地域観光の結びつきを強化する活動も行っている。これらの活動は「地域資源と文化資産を活かした観光振興」の一環として評価されている。

人物

  • 技術者出身の経営者であり、理工学的な分析力とシステム設計の視点を経営に取り入れている。ホンダ技術研究所時代に燃料電池の研究開発に従事した経験が、その後の宿泊業や製造業における「効率化」「システム化」の発想につながったとされる。
  • 元湯陣屋の経営再建においては、クラウドを活用した予約・顧客管理・会計などの統合システムを自ら設計し、従業員との情報共有を徹底するなど「現場主義」「透明性のある経営」を重視した。
  • 「伝統産業にもデジタルの力を活用できる」との信念を持ち、陣屋コネクトを通じて宿泊業界全体の生産性向上を目指している。業界内では、従来の旅館経営者像とは異なる「ITに強い宿屋の若旦那」として紹介されることもある[8]
  • 趣味はドライブであり、自動車業界出身という経歴からも車への関心は深い。元湯陣屋ではアストンマーティン・オーナーズクラブのイベントが開催されるなど、自動車趣味と旅館経営が結びつく事例もある。
  • 家族経営色の強い中堅企業(元湯陣屋・ティラド)を率いる一方で、経営においては外部人材やテクノロジーを積極的に取り入れる姿勢が特徴とされる。保守的な伝統旅館の世界においても、クラウド導入や人事改革を推進したことから「改革派経営者」としてメディアに取り上げられている。
  • 自身について「想定外の事業承継だった」と述べており、宿泊業への参入は本来予定していなかったが、結果的にそこで得た知見が製造業経営にも役立っていると語っている。
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脚注

参考文献

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