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小言幸兵衛

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小言幸兵衛』(こごとこうべえ)は古典落語の演目。別題『搗屋幸兵衛』(つきやこうべえ)、『道行幸兵衛』(みちゆきこうべえ)[1]。ただし『搗屋幸兵衛』は『小言幸兵衛』とは内容を変えて演じられる場合がある[1]

なにかと小言をいう家持ちの男のところに、家を借りたいという人物が立ち替わり現れ、小言のために諍いが起きるという内容。

原話は、正徳2年(1712年)に出版された江戸笑話本『新話笑眉』第2巻の10「こまったあいさつ」[1][2]上方落語の『借家借り』(しゃくやがり)を江戸落語に移入したものである[3]。こちらも『小言幸兵衛』とは異なる演じ方がある[2]

あらすじ

※以下、東大落語会編『落語事典 増補』所収の内容に準拠する[1]

麻布古川の家主で幸兵衛はのべつまくなしに長屋を回って小言を言っているので「小言幸兵衛」と呼ばれている。部屋を借りたいと訪れた搗米屋(=精米店)には、仏壇の先妻の位牌が動くのを気にした後妻が死んでしまい、調べると搗米屋の震動が原因だったという理由で断る。次に来た仕立屋は低姿勢で人柄も良さそうだが、息子が男前と聞いて不機嫌になる。仕立屋の息子と古着屋の娘が恋仲になっても結婚できず心中するからという説明に、仕立屋はあっけにとられて退散する。

ところが三人目はやけに居丈高で威勢がいい。さすがの幸兵衛も気圧されながら職業を問うと男は「鉄砲鍛冶だ」と答える。大家が「なるほど、道理でポンポン言い通しだ」。

バリエーション

前記の搗米屋の下りの後に鉄砲鍛冶の話をつなげて『搗屋幸兵衛』とすることが増え、逆に『小言幸兵衛」では搗屋の部分を扱わないことが多くなった[1]

6代目三遊亭圓生の口演では、搗米屋ではなく豆腐屋が最初に借りに訪れ、家族構成を問われた豆腐屋が結婚して7年になるが食べ物を扱う手前まだ子どもはもうけていないというと、幸兵衛は子どももできないような妻と別れて引っ越してくればいい嫁を紹介すると言い出したため、豆腐屋が怒って帰るという内容である[4]。圓生は全集の飯島友治との対談で「『搗米屋には長屋を貸せねえ』てんで、驚いて出て行く、そのあとに豆腐屋が来るというのが順なんですが、それではあまり長すぎますんで、近ごろはあまり演(や)りません」と述べている[5]

『借家借り』

上方の『借家借り』では搗米屋のあとに、井戸掘りの男が客として訪れ、家主が断ると「井戸を掘るといってもよそでやるのになぜ借りられないのか」と尋ね、家主は「庭で出来合(既製品)の井戸を掘って売るのかと思うた」と答える内容で、ほぼ原話の「こまったあいさつ」と同様である[2]。ただし上方でも『小言幸兵衛』の搗米屋→仕立屋→鉄砲鍛冶で演じる場合がある[2]

派生

星新一のショートショートに「いいわけ幸兵衛」という作品がある(『マイ国家』収録)。自分の遅刻や仕事上のミスに対する言い訳が上手すぎる男がおり、上司も説教をするつもりがいつの間にか彼に言いくるめられてしまう。いつしか男は「重大事でも動じない立派な人物」として社長の座に就いてしまうが、言い訳する相手がいないので逆に困ってしまう。そこへ債権者達が現れて……という話。本編には、その言い訳っぷりを見た同僚が「あいつは“小言幸兵衛”の子孫じゃないかな」という台詞も登場しており、アイデア元として本作があるのは明らかである。

ニッポン放送のアナウンサー吉田尚記が、十三代目冷奴の名前で現代風にアレンジした『Twitter幸兵衛』という演目がある[要出典]

また、本作の主人公の描写から転じて、「口やかましい人」の意味で「小言幸兵衛」が用いられる[6]

脚注

参考文献

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