トップQs
タイムライン
チャット
視点
愚者の渡しの防御
ウィキペディアから
Remove ads
『愚者の渡しの防御』(ぐしゃのわたしのぼうぎょ、英語: The Defence of Duffer's Drift)は、イギリス陸軍のアーネスト・ダンロップ・スウィントン大尉(後に少将まで昇進、大英帝国勲章・バス勲章・殊功勲章授与)による小説仕立ての兵法書。ボーア戦争を舞台として、部隊の壊滅と任務の失敗を避けるために、著者の分身と目される主人公の新米少尉が戦訓を学びつつループを繰り返し、最終的に任務を成功させる。小部隊戦闘に関する古典的名作であり、1904年の初版出版後、各国で好評を博したほか、現代に到るまで類書がたびたび著されている[1]。夢オチでもある。
概要
この小説は、イギリス統合軍事誌(British United Service Magazine)において、後知恵深慮少尉(英: Lieutenant N. Backsight Forethought)の筆名において発表されたが、これは本の語り手および主人公の名前でもあった。ボーア戦争での架空の戦闘を題材として、小部隊戦術について洞察するものであった。スウィントンは、実際にボーア戦争中の南アフリカにおいて軍務に服しており、この小説は「1899年から1902年の南アフリカにおいてなされたこと、なされなかったことどもを振り返ってのもの」とされている。
本編冒頭において、後知恵深慮少尉および指揮下の50名の兵士は、渡河可能な浅瀬である「愚者の渡し」を防御するように命じられる。ボーア軍の大兵力が愚者の渡しに向けて移動中である。状況は、6回にわたって、後知恵深慮少尉の「夢」というかたちで、繰り返し読者に対して提示される。最初のほうのシナリオでは、後知恵深慮少尉の英軍小隊は不名誉な敗北を喫する。そしてそれぞれの敗北のあとで、後知恵深慮少尉はそれぞれに教訓を学んだのちに次の「夢」に移り、その教訓を生かすことになる。これにより、夢を繰り返すごとに後知恵深慮小隊の状況は改善していき、そして最後の夢においては、とうとう友軍が来援するまで後知恵深慮小隊は持ちこたえることに成功する。この本においては、防衛戦を成功に導くため、批判的思考、および地形と位置の慎重な使用を推奨している。
この本は、1905年4月、アメリカ軍歩兵協会(英: United States Infantry Association)において再版された。そして特に若い尉官の間で小部隊戦術に関する必読書となり、英本国から遠く離れた米国、ロシア、カナダにおいても好評を博した[1]。
いくつかの教訓は明らかに時代遅れになってしまった(例えば後知恵深慮少尉は、敵を利することがないよう、全ての近隣住民を拘束し、全ての家畜を射殺するよう措置していた)。それにも関わらず、この本は(時代遅れであることを踏まえて読むのであれば)、現代においても依然として妥当な洞察を示していると考えられている.[2]。
Remove ads
あらすじと教訓
要約
視点
「愚者の渡し」は、シリアスフォーゲル川(Silliaasvogel river)を車両で渡河できる唯一の場所である。すなわちここは戦術上の要衝であり、後知恵深慮少尉は、増援が到着するまでの間、いかなる代償を払ってでもここを保持するように命令されている。後知恵深慮少尉に与えられた戦力は、50名の兵力を有する増強小隊であり、一方、100マイル (160 km)以内には敵は探知されていなかった。続く6回の夢で後知恵深慮少尉が得た教訓は下記の通りである[3]。
Remove ads
出典
関連項目
外部リンク
Wikiwand - on
Seamless Wikipedia browsing. On steroids.
Remove ads