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改め文方式
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改め文方式(かいめぶんほうしき・あらためぶん―)は、溶込方式の一種である。「改める文」や「改正文」ともいう。
![]() | この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
溶込方式(吸収方式)は、既存の法令の一部を改正する方式の一種で、当該法令を改正する法令を制定し、この法令を施行することで当該法令を改正する方式をいう。当該一部改正法令中の改正規定が改正の対象となる既存の法令中に溶け込み、その一部として吸収されてしまうことからこのように呼ぶ。
このような法令改正の方式は、基本的には、ドイツ、フランスなどの大陸法系の国々に共通した方式であり[1]、イギリス、アメリカなどの英米法系の国々でも改め文方式がとられている[2][3]。なお、条約についても、少なくとも日本の締結するものについては、改め文方式がとられている[2]。
以下では、特に記載のない限り、日本の改め文方式について説明する。
もっとも、改め文の記述の仕方には、以下で説明するほかにも、戦前から積み重ねられてきた慣習による種々のルールがある。加えて、各地方公共団体ごとのローカルルール、更に被改正法令(例規)ごとのローカルルールがある。
したがって、実際の起案にあたっては、『ワークブック法制執務』だけでなく、過去の閣法や政令における事例についても適宜参照する必要がある。
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定義
要約
視点
この記事で用いる用語の定義は、おおむね次による。
- 「法令」 法律及び政令をいう。
- 「府省令等」 おおむね次の命令[4]をいう。
- 「例規」(「法令審査例規」という場合を除く。) 地方公共団体の条例及び規則をいう。
- 「一部改正法令(法律、例規)」 その本則において他の法令(法律、例規)の一部を改正する法令(法律、例規)をいう。
- 「附則改正法令(法律、例規)」 その附則において他の法令(法律、例規)の一部を改正する法令(法律、例規)をいう。
- 「全部改正法令(法律、例規)」 他の法令(法律、例規)の全部を改正する法令(法律、例規)をいう。
- 「廃止法令(法律、例規)」 その本則において他の法令(法律、例規)を廃止する法令(法律、例規)をいう。
- 「制定法令(法律、例規)」 一部改正法令(法律、例規)、全部改正法令(法律、例規)及び廃止法令(法律、例規)以外の法令(法律、例規)をいう。
- 「被改正法令(法律、例規)」 一部改正法令(法律、例規)又は附則改正法令(法律、例規)によりその一部が改正される法令(法律、例規)をいう。全部改正法令(法律、例規)によりその全部が改正される法令(法律、例規)を含まない。
- 「章等」 編、章、節、款又は目をいう。
- 「条等」 条、項、号又は号の細分(その細分を含む。)をいう。
- 「条項」 条又は項をいう。
- 「法令審査例規」 内閣法制局の法令審査例規をいう。
なお、この記事で引用する法令審査例規の中には、現在では、当たり前のものとして、『法令審査事務提要(改定)』に掲載されていないものもある。
また、法令立案に関する協議・第一次会議~第四次会議(昭和30年10月~12月)の決定事項など、厳密には「例規」としての決裁を経ていないものについても、『法令審査事務提要(改定)』で「例規編」に収録されていることに鑑み、この記事では、「法令審査例規」として扱う。 - 「法令整備会議」 内閣法制局で、昭和41年以後開催されている[5]法令整備のための会議をいう。なお、同会議での結論については、これと異なる例規が定められている場合がある等必ずしも実務と一致しているとは限らない点に留意する必要がある。
- 「法令審査メモ」 内閣法制局で、「法令審査資料集の作成について」(昭和50年5月7日)に基づき、昭和50年から平成3年までにかけて作成された法令審査メモをいう。
- 「法令起案例規」 旧法務庁の法令起案例規をいう。もっとも、現在は、その効力を有しないものと解される。
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改め文方式による案文の例
改め文方式の一部改正法令は、概ね次のような形式で記述される。
〇〇法の一部を改正する法律 〇〇法(令和〇年法律第〇号)の一部を次のように改正する。 第〇条中「□□□」を「◇◇◇」に改め、「×××」の下に「△△△」を加える。 附則 (施行期日) 第一条この法律は、~日から施行する。 [以下略] |
修正案については、概ね次のような形式で記述される。
〇〇法の一部を改正する法律案に対する修正案 〇〇法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。 第〇条の改正規定中「□□□」を「◇◇◇」に改め、「×××」を削る。 |
題名
一部改正法令
一部改正法令の題名は、本則で改正する法令の題名を冠して、本則で改正する法令の数が1又は2であるときは「A法(及びB法)の一部を改正する法律」と、3以上であるときは「A法等の一部を改正する法律」とすることを原則とする。ただし、本則において2の法令を改正する場合であっても、A法令及びA法令の一部改正法令の一部を改正するときは、「A法等の一部を改正される法律」とする[例規 1]。
また、一部改正法令であり、かつ、廃止法令である場合には、普通「A法の一部を改正する等の法律」とする。この場合にも、改正される法令の数が2以上のときは、「A法等の一部を改正する等の法律」とする[6]。なお、廃止を主とする場合には、「A法を廃止する等の法律」とした例もある[7]。
このほか、改正の目的を明示することにより改正の対象となる法令の範囲をある程度表すという趣旨[8]から、「中小企業の経営の改善発達を促進するための中小企業信用保険法等の一部を改正する法律」(平成29年法律第56号)などのような題名を付することもある[9]。
また、新しい法令(制定法令に限らない。)の施行に伴い必要となる政令や府省令等の改廃を目的とする政令や府省令等の題名は、「A法の施行に伴う関係政令の整理に関する政令」とすることもある。更に、実質的な政策判断に基づいた改正をも行う場合には、「整理」の代わりに「整備」とする。「整理」の範囲を少々はみ出す程度の場合に「整理等」とした例もある。
修正案
修正案の題名は、議院修正では「〇〇法案に対する修正案」と、内閣修正では「〇〇法案中修正」とする[例規 2]。
なお、修正案の場合には、原則一つの修正案で数個の法律案を修正することは行われないが、この例外として、「併合修正」がある。これは、2以上の法案を併合して1の法案とする形で修正を行うもので(例えば、日
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案に対する併合修正案が挙げられる。)、修正件名中に各法案の題名を並列して記載する点及び題名の後(修正の柱書きを記載せずに)いきなり併合修正後の法案の題名から書き出す点が特徴的である。
なお、併合修正された法案の議案番号を記載する場合には、各修正前の法案に係る議案番号を括弧内に並列して記載する。
また、帝国議会の時代には、「分割修正」が行われたこともある。これは、1の法案を2以上の法案に分割する形で修正を行うもので、分割修正された法案の一方のみが可決した例もあるが、現在でも認められるかについては議論がある。もっとも、実務上は新法案の提出により対処されている。
制定文
一部改正政令(府省令等)には、制定政令(府省令等)と同様に、制定文を置く。
被改正政令(府省令等)の制定文については、引用する法令の条名等が変わった場合でも改正しない[例規 3][10][11]。
柱書き
要約
視点
一部改正法令
一部改正法令では、普通、はじめに「〇〇法(令和〇年法律第〇号)の一部を次のように改正する。」といういわゆる「柱書き」[12]を記載し、改正対象の法令を明示し、続けて、それぞれの改正内容を定めた改正規定を記載していくこととなる。
この場合において、法令審査例規によれば、本則で略称を用いることとした他法令について附則において改正を行うときでも、当該略称をそのまま用いず、改めて当該他法令名(法令番号を除く。)を掲げるものとされている[例規 4]。
なお、戦前は「〇〇法中左ノ通改正ス」(題名のある法令)又は「明治〇年法律第〇号中左ノ通改正ス」(題名のない法令)のように引用していた。 また、現在は、題名がない法令(件名の法令)であっても、「〇〇法(令和〇年法律第〇号)」と引用することとなっているが[例規 5]、戦後すぐの頃は、題名のない法令の改正の場合には、「昭和〇年法律第〇号(〇〇に関する件)」と記載することとなっていた。
なお効
ある法令を改正し、若しくは廃止した場合又はある法令が失効した場合の経過措置として、旧法の規定の一部又は全部について「なおその効力を有する」又は「なお従前の例による」とされる場合がある。
このうち、「なお従前の例による」は、旧法の規定の効力が失われた上で、なおも旧法下の法制度に従うものである。したがって、既に効力を失っている以上、この「なお従」[13]を改正することはできない。
一方、「なおその効力を有する」は、読んで字の如く、旧法の規定はその効力を有したままである。よって、この「なお効」[14]を改正することも理屈としては可能であり、実際にそのような事例も見られる。
この場合、改正前の法令を単に「〇〇法(令和〇年法律第〇号)の一部を次のように改正する。」とすると、当然ながら、現行の〇〇法が改正されてしまうから、「〇〇法の一部を改正する法律(令和〇年法律第〇号)附則第〇条の規定によりなおその効力を有するものとされる同法第〇条による改正前の〇〇法(令和〇年法律第〇号)の一部を次のように改正する。」などとして、どの法令による「なお効」を改正するのかを明示するようにする。廃止前の法令を改正する場合にも、混同のおそれはないものの同様の方式による[事例 1]。この場合において、当該一部改正法令の改正規定が数段階にわたって施行されるものであったときは、「同法第〇条による改正前の〇〇法」の部分を「同法附則第1条第2号に掲げる規定による改正前の〇〇法」のようにすることも考えられる[事例 2]。一方、失効前の法令を改正する場合には、改正の柱書きでは単に「旧○○法」と引用し、改正規定においてなお効である旨を明らかにする方式によった例がある[事例 3]。
なお、当該なお効の改正の後で当該なお効を引用する必要がある場合には、「〇〇法の一部を改正する法律(令和〇年法律第〇号)附則第〇条の規定によりなおその効力を有するものとされる同法第〇条による改正前の〇〇法(令和〇年法律第〇号)(以下「令和〇年改正前〇〇法」という。)の一部を次のように改正する。」などのように、柱書き中で当該なお効を定義しておくことも考えられる[事例 4]。
戦前の法令
戦前の法令には、 柱書きと改め文を融合させた例(主に附則改正)が多く見られた。
第〇条 A法第A条第A項中「X1」ヲ「X2」ニ改ム B法第B条第B項中「Y」ヲ削リ同法ニ次ノ一条ヲ加フ 第Z条・・・ 第×条A法第A条第A項、B法第B条第B項並ニC法第C条第C項及第D条第D項中「X」ヲ「Y」ニ改ム |
また、表の改正では、一部改正法令の柱書きと別に、表の改正についての柱書きを建て、改め文を簡略化した例もあった。
A法中左ノ通改正改正ス 第〇条中・・・改ム 別表中左ノ如ク改ム 第〇号中「X1」ヲ「X2」ニ改ム 第×号ヲ左ノ如ク改ム × ・・・ |
戦後黎明期の法律における試み
戦後黎明期の一部改正法律では、制定法律の改め文を被改正法令中の条ごとにまとめた例があった[事例 5]。法令では、現在この方式を採るものはないが、札幌市等の例規では、現在も同様の方式を用いている。
全部改正法令
全部改正法令は、概ね次のような形式で記述される。
法令の最初に「〇〇法の全部を改正する」旨が記されているが、これは、全部改正の柱書きではなく、制定文である(したがって、改め文方式ではない[15])ことに注意する必要がある。このことは、「次のように」としていないことや、当該記載の後に全改後の題名が書かれず、いきなり全改後の本則又は目次から書き出される(当該全部改正法令の題名自体が全改後の題名となる)ことからも分かる。
××法 〇〇法(令和〇年法律第〇号)の全部を改正する。 目次 第一章総則(第一条―第〇条) 第二章・・・(第〇条―第〇条) 附則 目的 第一条この法律は、・・・することを目的とする。 [略] 附則 (施行期日) 第一条この法律は、~日から施行する。 [略] |
これに対し、全部修正案の場合には、一部修正案と同様に「〇〇法律案の全部を次のように修正する。」の記載に続けて題名を含む修正後の法律案全文を記す形式で記述され、改め文方式を採っている。
修正案
議院修正では「〇〇法案の一部(全部)を次のように修正する。」と、内閣修正では「〇〇法案を次のように修正する。」とする[例規 2]。
なお、併合修正の場合には、修正の柱書きを記載せずに、いきなり併合修正後の法案の題名から書き出すこととなる。
戦後黎明期の修正案における試み
戦後黎明期の修正案では、次のように束ね法案の改め文を、一部改正法律中の条ごとにまとめた例もある。法律案に対する修正案では、現在この方式を採っていない。
地方税法等の一部を改正する法律案に対する修正案(秋山長造君提出) (一)第一条の一部を次のように修正する。 目次の改正規定中「改める」を『、「使途等(第七百一条の七十三・第七百一条の七十四)」を「使途(第七百一条の七十三)」に改める』に改める。 [略] (二)第三条の一部を次のように修正する。 附則第十五項の次に二項を加える改正規定のうち附則第十六項中「及び同法第三百四十九条の三の二第二項に規定する小規模住宅用地」、「又は小規模住宅用地」、「それぞれ」及び「又は第二項」を削り、「得た額)とし」の下に「、同法附則第十八の三第一項の規定の適用を受ける小規模住宅用地については当該小規模住宅用地に係る同条第二項に規定する昭和五十年度分の課税標準額とし」を加え、「当該農地に係る同項に規定するその年度分の固定資産税の課税標準となるべき額」を「当該農地に係る同条第二項及び第三項に規定する昭和三十八年度分の課税標準額」に改める。 (三)附則の一部を次のように修正する。 第一条第一号中「改正規定」の下に「及び同法附則第三十一条の改正規定」を加える。 [略] |
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改正の諸原則
要約
視点
改め文方式の改正全体にわたる原則としては、おおむね次のようなものがある[16]。
同一の法形式により行うこと。
例を挙げると、次のとおりである。
法律は法律により、政令は政令により改正する。したがって、法律により政令を改正することはできない。 |
府省令等は、改正される府省令等を定めた府省庁等と同一の府省令等が定める府省令等により改正する。したがって、内閣府令を法務省令により改正することはできない。 |
条例は条例により、規則は規則により、規程は規程により改正する。 |
補足すると、次のとおりである。
例外を示すと、次のとおりである。
改正は、前から順に行うこと。
例を挙げると、次のとおりである。
補足すると、次のとおりである。
例外を示すと、次のとおりである。
規定の中身の改正は、当該規定の移動の前に行うこと。
例を挙げると、次のとおりである。
改正規定は、条ごとに区切ること。
例を挙げると、次のとおりである。
例外を示すと、次のとおりである。
補足すると、次のとおりである。
題名は、それだけで単独の改正規定とする[例規 8]。 |
章名等とその直後の条とは、単独の改正規定による例[事例 9]と別個の改正規定による例[事例 10]とがある。 |
別表等については、それぞれの表等を単位として改め文を区切る。もっとも、改正の対象となる別表が非常に大部のものである場合には、分かりやすさ等の観点から、当該別表の項ごとに改め文を区切ることがある。[24] |
同一の規定を二度引きしないこと。
例を挙げると、次のとおりである。
補足すると、次のとおりである。
例外を示すと、次のとおりである。
同一の規定を連続して引用するときは、同条・同項などのように表現すること。
正 | 第一条第二項を削り、同条第三項中・・・改め、同項を同条第二項とする。 |
誤 | 第一条第二項を削り、第一条第三項中・・・改め、第一条第三項を第一条第二項とする。 |
補足すると、次のとおりである。
号の細分の場合には、「そ(の)」と受ける[25]と、「同号イ」とした例[26]がある(第〇条第〇項第〇号イまでが共通する場合)[会議 2][27]。また、府省令等では、「同イ」と受けるも見られる[28]。もっとも、号の細分を改め、移動する場合には、「その」を用いることができないので「同号イ」と受けることとなる。 |
改正規定については、閣法及び参法では、直前の「改正規定」を受ける表現として「同改正規定」と受ける。衆法では、「同条の改正規定」等と受ける[29]。 |
例外を示すと、次のとおりである。
同一の規定中の改正は、「中」を用いてまとめることができること。
例を挙げると、次のとおりである。
例外を示すと、次のとおりである。
補足すると、次のとおりである。
目次等の引用は、現行の基準により行えば足りること。
例を挙げると、次のとおりである。
補足すると、次のとおりである。
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規定(題名を含む。)の改正
要約
視点
規定(題名を含む。)を全改する場合
おおむね次のような形式による。
規定を移動する等の場合
同水準での移動
おおむね次のような形式による。
なお、全部改め後の移動は、行わないものとされている[37][例規 14]。したがって、そのような改正を行う必要がある場合には、ある規定の中身が全改されて移動したという規定内容の実質的な対応関係にはとらわれず、形式的な改正前後の規定の対応関係に基づいて改正を行う。なお、全改後の移動の事例として、[事例 22]。
異水準間の移動
おおむね次のような形式による。
通常の移動と同様、字句改正の後で移動する。
なお、章・節を節・款にするなどの改正の場合には、一度章名・節名を削り、新たに節名・款名を(「前に」方式により)付する方式による。
例外的事例
「規定を削る場合」の箇所でも取り上げるが、明治初期の立法技術が確立される以前に制定された太政官布告・達の中には、その構造が改正を想定したものとなっておらず、それぞれの規定が「第〇条」「第〇項」といった序数によっては特定しがたいものがあるので、改正に伴って、条建てに整備することがある。この場合、当該規定の移動については、次のように当該規定の全体をカギにより引用し、これを「第〇条とする」することにより、自動的に条名が付される取扱いである。
「一□□□・・・×××・・・。」とある項中「一□□□」を「□□□」に、「×××」を「△△△」に改め、同項を第二条とする。[50] |
見出しの異動
おおむね次のような形式による。
規定の種別の変更
そのほか、移動ではないが規定の種別を変更する改正として、次のものがある。
規定(題名を含む。)を加える場合
おおむね次のような形式による。
なお、「付する」と表現すべき規定と、「加える」と表現すべき規定を合わせて加える場合には、「加える」と表現する。
例外的事例(柱書きの新設)
必ずしもミスであるかは明らかでないが、号の柱書きを置かないで、直接にその細分を置いた法律の例がある[60]。その後、同法については、号の柱書きを設ける旨の改正が行われた[61]。
このような場合には、当該号の号名を含めて絵として捉えることとなることから、「第〇条第〇項中」のように、号名を除いて規定を引用することとなる[62]。
第一条中「二イ 〇〇に対して××する行為」を「 |
規定(題名を含む。)を削る場合
おおむね次のような形式による。
なお、規定の廃止後に欠番が生じるのを避けるため、「第〇条 削除」などのように形骸を残すこととする場合(いわゆる「形骸残し削除」)[63]があるが、これは、あくまでも「第〇条 削除」という条文に改めるものであるため、規定を改める場合の例による。
例外的事例
条名の重複
極めて初歩的なミスではあるが、誤って条名が同じ条が2個以上生じてしまった事例がある[66]。これは、法典編纂上、附則の一部が省略されることから、当該条の存在を失念したものと考えられる。
このような場合には、「第〇条」としても改正対象たる条が特定できない(二つある第〇条のうちどちらが特定されるのか、あるいはその両方が特定されるのかが定かでない)ことから、次のように当該条全体を絵として捉えて削る。要するに、表の項を絵として捉えて改正する場合の方式に準ずればよい。
本則(附則)中「 |
カギによる項の特定
明治初期の立法技術が確立される以前に制定された太政官布告・達の中には、その構造が改正を想定したものとなっておらず、それぞれの規定が「第〇条」「第〇項」といった序数によっては特定しがたいものがある[68]。
このような場合には、改正規定の改正の場合と同様に、その条文の内容によって特定することとなる。具体的には、次のように当該規定の全体をカギにより引用する。
本則(附則)中「・・・する。」とある項を削る。[50] |
民法
民法は、当初民法第一編第二編第三編(明治29年法律第89号)と民法第四編第五編(明治31年法律第9号)とに分けて公布された。このため、目次も第1編から第3編までに係る目次と第4編及び第5編に係る目次とで別々に存在しており、第4編又は第5編中の改正については、従来「明治三十一年法律第九号」とした例[事例 44]と「明治二十九年法律第八十九号」とした例[69]があった。
その後、平成16年に至って、民法口語化による第1編から第3編までの全改に伴い目次の統合が行われた[事例 45][事例 46]。
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字句等の改正
要約
視点
字句
字句の改正は、まず対象字句が属し、又は属すべき規定(題名を含む。)を特定し、その中の対象字句を改め、削り、又は加える方式で行う。
規定(題名を含む。)の特定
対象字句が属し、又は属すべき規定(題名を含む。)は、おおむね次のような形式により、最小の単位まで特定することを建前とする。
字句の特定
次の点に留意する。
単語を単位として引用すること。
例示すると、次のとおりである。
- 「・・・日本国・・・」を「・・・アメリカ合衆国・・・」に改める場合
- [正]「日本国」を「アメリカ合衆国」に改める。
- [誤]「日本」を「アメリカ合衆」に改める。
- 「・・・第二条第五項の・・・」を「・・・第二条第三項の・・・」に改める場合
- [正]「第二条第五項」を「第二条第三項」に改める。
- [誤]「第五項」を「第三項」に改める。
ただし、「第〇条第二項及び第三項」を「第〇条第二項から第四項まで」に改めるような場合には、〝「及び第三項」を「から第四項まで」に改める〟のような表現が許容されている[例規 29]。
記号だけを捉えて改めないこと。
「、」や「「」といった記号だけを捉えて改正することも避けるものとされる。
例示すると、次のとおりである。
- [正]「、□□□」を「及び□□□」に改める。
- [誤]「、」を「及び」に改める。
これと逆に、字句を改めて記号とすることは、理屈上可能であると解されるが、これを避けるために直前又は直後の字句を巻き込んで改めた事例もある[事例 50]。
必要最小限の範囲で引用すること。
例えば、単に「□□□」を「◇◇◇」に改めるのに『「□□□が」を「◇◇◇が」に改める』や『「前項の□□□」を「前項の◇◇◇」に改める』のようにはしない。
ただし、同じ条項中に「□□□」が数か所含まれ、しかもその一部のみを改めるような場合には、〝第〇条中「□□□を」を〟、〝第〇条中「「□□□」を〟、〝第〇条中「その□□□」を〟などのように、前後の字句や記号とともに引用することがある。
この際、カギを更にカギで引用することとなる場合であっても、一部改正法令ではそのまま〝第〇条中「□□□」の下に「」と、「◇◇◇」とあるのは「△△△」を加える〟とカギの中にカギを含む字句をそのまま引用する形式によるが、修正案の場合には〝第〇条中「□□□」の下に『」と、「◇◇◇」とあるのは「△△△』を加える〟と二重カギの中にカギを含む字句を引用する形式によることもできる。通常のカギの用法と異なり、外側を二重カギにすることに留意する。
また、字句の改正は、同時に溶け込む建前であるから、〝「甲」を「乙」に、「乙」を「丙」に改める〟としても改正前の「甲」までもが「丙」に改められることはない[例規 30]。
読点は、下の字句に従属すること。
例えば、「甲、乙及び丙」の甲と乙の間に丁を加える場合には、『「甲」の下に、「、丁」を加える』とし、『「甲、」の下に「丁、」を加える』とはしない。
また、「甲、乙、丙及び丁」の乙を削る場合には『「、乙」を削る』とし、『「乙、」を削る』とはしない。もっとも、これを貫くと、甲を削る場合には、『「甲、乙」を「乙」に改める』とすべきこととなるが、実際には、簡潔さを優先して『「甲、」を削る』とする例が少なくない。
なお、句点については、たまたまその後に文章が続くこともあるとはいえ、一般的には、文の終わりを意味することから、読点とは異なり前の字句に付随すると解する見解もあり得るが、実務としては、読点と同様に扱う建前である[73]。
改正の方法
特定した字句の改正は、おおむね次のように行う。
例外的事例
「規定を削る場合」の箇所でも取り上げたが、明治初期の立法技術が確立される以前に制定された太政官布告・達の中には、その構造が改正を想定したものとなっておらず、それぞれの規定が「第〇条」「第〇項」といった序数によっては特定しがたいものがあるので、次のように当該規定の全体をカギにより引用する。
「・・・□□□・・・。」とある項中「□□□」を「◇◇◇」に改める。[50] |
横書き例規(字句の加え関係)
横書きの例規では、字句を加える際、「下(上)に」の代わりに「右(左)に」(滋賀県、京都府、兵庫県[76]等)、「後(前)に」(広域自治体では例なし。[77])又は「次(前)に」(北海道、茨城県、神奈川県、富山県、長野県、島根県、鹿児島県、熊本県、沖縄県等)といった表現を用いる。
第一条第二項第三号ただし書中「□□□」の右に「◇◇◇」を加える。 |
そのほか、山形県及び高知県では、「「A」を「AB」に改める」のように、字句の改めの形式によって字句を加える取扱いである。
目次・列記
おおむね次のような形式による。
韓国の場合
韓国の法制執務では、字句の改正が改めに統一されており、前段・後段、各号列記以外の部分[81]等についても明示することとされている。
なお、韓国では、章建ての法令でも目次を付さない扱いとなっているので、目次の改正はない。もっとも、法典編纂上は、目次が付されている。
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表の改正
要約
視点
以下では、別表等の改正について、大まかな説明を行う。
ただし、別表等は、かなり構造の自由度が高く、またその改正方法も各法令ごとの慣習によるところが大きいので、最終的には、過去に同一法令について同様の改正が行われた際の方式を参照し、これに倣うほかない。
なお、このような困難を避けるためには、別表等を設ける時点で、最初から改正の手法に迷うことのない設計を行うようにすることが肝要であろう。
表の各部分の引用
表の改正の具体的な技法の説明に先立ち、表の各部分をどのように引用すべきかについて説明する。
以下の例示中「イロハ…」「いろは…」「ABC…」「abc…」とあるのは、具体的な字句等が入ることを意味する。
基本的な場合
次のような表があるとする。
この場合、それぞれの短冊(縦の区切り)は、その一番上の区切りに記載された字句を捉えて、それぞれAの項、Bの項・・・等と称する。
これに対し、各短冊を横断する、イ~ハの区切りを「欄」と称する。欄の名称は、項の名称と組み合わせて、各項中の項目を更に特定するのに役立つ。
例えば、「い」の部分は「Aの項ロの欄」と、「り」の部分は「Dの項ハの欄」と表現することができる。
項名が数行に渡る場合
次の表のように、項名として引用すべき字句が数行に渡る場合がある。
この場合、数行ある項名をそのまま引用して、それぞれA
Bの項、C
D
Eの項・・・あるいはA及びBの項、C、D及びEの項[82]・・・等と称すれば足りる。
しかし、この方式によると、航空法施行令別表の改正では、最大で10以上の行を並列して、又は10以上の字句を列記して引用しなければならないこととなる。このため、同令に対する一部改正政令では、一番最初の行の字句のみを捉えて、一律にAに係る項、Cに係る項・・・等と称する方式によっている[83]。
第二欄以下で細分されている場合
最初に、次のような表があるとする。
このように、大部の表では、縦の区切りが数段階に渡ることがある。
法令では、一番大きい短冊(A、B)をそれぞれAの項、Bの項と称し、その細分であるa~dや、い~へなどについては、特に名称を設けない。したがって、a~d、い~への短冊全体を改めたい場合には、カギで引用して改めることが基本となる。
ただし、一部の法令では、一番大きい短冊を「部」とし、その細分を「項」とするので、この場合には、A・Bの短冊をそれぞれAの部、Bの部と引用し、a~dの短冊をそれぞれaの項、bの項等と引用することとなる(当該法令の本則又若しくは附則又は過去の改正例を参照して確認する。)。
また、府省令等や例規の場合には、更に「部・款・項」の区分を用いることがある。
次に、次のような表があるとする。
この表のように、細分の名称に当たる数字又は記号が明示されている場合には、その細分の名称を利用することができる[84]。
例えば、「い」及び「a」の部分を改める場合には、『〔別表〕一の項1(1)中「い」を「〇〇」に改め、同項2(2)イ中「a」を「××」に改める』などと引用することができる。
もちろん、原則に返って、『〔別表〕一の項中「|1 |(1) A | い |」を「|1 |(1) A | 〇〇 |」に、「| | イ a | に |」を「| | イ ××| に |」に改める』などと引用することもできる。紛れがなければ、単に『〔別表〕一の項中「い」を「〇〇」に、「a」を「××」に改める』等とすることもできよう。
表が二以上に細分されている場合
別表の中には、次のように各「号」に区分されているものがある[85]。
この場合、各細分は、「〔別表・別表第〇・第〇条の表〕第一号」のように呼ぶ。例えば、「ち」の部分は「〔別表〕第一号Cの項ハの欄」と、「か」の部分は「〔別表〕第二号Iの項ホの欄」と表現することができる。
また、古い法令では、上記に準ずるものとして、次のように各「欄」に区分したものがある[86]。
このような場合には、各細分は、「〔別表・別表第〇・第〇条の表〕甲の欄」のように呼ぶこととなる。
例えば、「|一| ほ |」の部分は「〔別表〕甲の欄のBの項一」と、「|三| ぬ |」の部分は「〔別表〕乙の欄三」と引用することができよう[87]。
備考等がある表の場合
別表の中には、次のように備考等をおくものがある。
備考等は、ワークブックによれば「表の中に用いられている語句の定義や表を適用する場合の留意事項、細則等を規定する場合に用いられる」とされる。また、これらに類するものとして、「〇〇〇表の適用に関する通則」が別表の最初におかれることもある。甚だしい例として、関税定率法(明治43年法律第54号)では、「別表の目次」や「別表の〇〇〇表の解釈に関する通則備考」がおかれている。
通則や、備考や注自体を引用する場合には、そのまま「別表の〇〇〇表の適用に関する通則」や、「別表(の)備考」や「別表の注」などとすれば良い。また、「同条」に該当する表現としては、別表から引用しなおして、「同表備考」「同表の注」などとする場合が多いと思われるが、「同通則」や、「同備考」や「同注」などとした事例もある。
細分を引用する場合において、その先頭の文字が算用数字であるときは、法令では「別表備考1(の二)」などと表現することが多いが、条例等では「別表備考第一項(第二号)」や「別表備考第一(2)」[88]のように表現した例もある。
また、その先頭の文字が漢数字であるときは、「別表備考一」や「別表備考第一号」などと表現することが多い。
表の改正
表全体の改正について説明する。
表には、大きく別表と条項の表とがある。
別表
おおむね次のような形式による。
根拠条文
現在では、別表の標記部分には、「別表第一(第二条関係)」のようにその根拠条文を示すこととなっている。
しかし、古い法令では、このような根拠条文の記載がないので、改正に当たって付することとなる。
おおむね次のような形式による。
表の部分
別表に備考等がある場合において、その分量が相当程度にわたるときのように、別表のうち備考等を除いた部分のみを改めたいときに、次のようにした例がある。
もっとも、単に「別表を次のように改める」などとして、従来と同一の標記部分等及び備考又は注とともに、改め後の表の部分を示す形式による場合もある。
条等の表
おおむね次のような形式による。
表の項・欄の改正
表の項
表の項(=短冊)については、「別表第一□の項」等として引用するのを原則とする。ただし、「別表第二」「十の項」のように、続けて書くと紛らわしい場合には、「別表第二の十の項」のように間に「の」を挟むことがある[91]。また、自治体の条例・規則の中には、「別表第2 10の項」のように、中間に空白を入れる例もある。
なお、現在「項」と呼ばれている部分(縦書きでは縦の区切り、横書きでは横の区切り)については、従来、罫線の有無や、項の名称が序数であるか否か等により、「項」「部」又は「号」等の様々な呼び方がなされていた。また、項の名称が序数である場合も、現在は「一の項、二の項・・・」とするが、従来は「第一項、第二項・・・」や「第一号、第二号・・・」などとするものがあった。このような法令の項は、基本的に当該法令中での呼称や、過去の改正時の呼称に合わせて引用する。
表の項の改正は、おおむね次のような形式による。
特殊の例
特殊な例として、表の項の欄同士が、その中途において結合している場合がある。
例えば、次のような場合である。
このような場合には、おおむね次のような方式が考えられよう。もっとも、各法令での前例を考慮すべきであることは、言うまでもない。
表の欄
表の欄については、基本的に「別表第一□の欄」のように、表の欄全体を単位として捉えた改正を行わない。
このため、表の欄全体を改め、加え、又は削る場合には、絵として捉えて改正する形になるが、表の項を絵として捉えて改正する場合の形式と変わるところがないので、用例を省略する。
項の欄
次のような形式による。欄の加えや削りは、各項ごとではなく表全体として行うので、以下には、改める場合の表現のみを示す。
なお、欄の名称が表中に定められていない場合には、三欄以下の表では「上欄(、中欄)、下欄」と、四欄以上の表では「第一欄、第二欄・・・」と呼称する。
表の備考等の改正
おおむね次のような形式による。
備考等の細分の改正
おおむね次のような形式による。
なお、細分の引用については、漢数字の場合には「備考第一号」と、算用数字の場合には「備考1」と引用することが多いと思われるが、最終的には個々の法令の本則・附則での引用や、過去の改正の例による。
別表等の字句の改正
別表等の字句の改正は、規定中の字句の改正と同様の要領で、まず改正部分を特定し、次いで改正の操作を行う。
このとき、改正部分は、基本的に項単位まで行えば足りるが、必要があれば欄も特定する。
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様式の改正
昭和40年代以後、法律・政令では様式を定めるものがないが、府省令等や条例等には様式を定めるものがある。
様式を改め、移動し、加え、又は削る形式は、別表を改め、移動し、加え、又は削る形式とおおむね同様である。
ただし、様式を加える場合には、表に準じて「別記様式第一号の次に次の一様式を加える」とする例のほか、「別記様式第一号の次に次の様式を加える」や「別記様式第一号の次に次のように加える」とする例がある。
様式特有の改正
様式には、表裏や頁に分かつものがある。これらを特定するには、その標記部分の表現に合わせて、「別記様式第一号(表面)」や「別記様式第一号(第一面)」と引用する。また、様式が「(1)、(2)、(3)・・・」等に区分されている場合には、これらを「別記様式第一号(2)」のように引用する例もある。
様式中の項目を改正する場合には、上記のように、様式の細分を特定して「次のように改める(加える)」等とするほか、絵として捉えて改正する方式によることとなる。
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別表・様式に準ずるもの
別表・様式に準ずるものとして、付録、別図、別記等がある。おおむね別表・様式と同様の方式により改正すればよい。
なお、付録を加える方法には種々のものがあるが、「別表第二の次に次の二付録を加える」「附則の次に付録として次の二付録を加える」「付録第一の次に付録第二及び付録第三として次のように加える」等とした例がある。
改正規定の改正等
要約
視点
ここでいう「改正規定」とは、かつて「改正に関する部分」とも表現されていたことからも分かるように、ここまで述べてきたような方法によって記載された、それぞれの改正内容を定めた規定(の部分)をいう。
改正規定の改正は、一部改正法令の成立後施行までの間にその法令に改正の必要が生じた場合に行われる。典型例として、A法を改正するB法が施行される前に、B法よりも後に成立したC法によりA法を改正する場合が挙げられる。また、改正規定の改正と同様の技術を用いるものとして改正規定の修正がある。件数だけで見れば、改正規定の改正よりも多い。
改正規定の改正の方式については、閣法でもあまり統一がなされておらず、相当の幅が認められる。また、他の改正と異なり、改正規定の修正では、各議院のローカルルールが相当に認められる。
なお、参法については、衆法に比して事例が不足していることから、主に『「法令の改め方」『立法技術入門講座』〈第3巻〉』での方式を参照した。したがって、最近の参法の方式とは、異なる可能性がある。
例
実際の事例として、薬事法第83条関係の改正[96]を事例として取り上げる。以下では、次のように法律名を置き換えている。
- A法:薬事法(昭和35年法律第145号)(題名は当時のもの)
- B法:薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律(平成14年法律第96号):第1条は平成15年7月30日[97]、第2条は平成17年4月1日[98]施行
- C法:独立行政法人医薬品医療機器総合機構法(平成14年法律第192号):平成16年4月1日施行
- D法:食品の安全性の確保のための農林水産省関係法律の整備等に関する法律(平成15年法律第73号):第2条・附則第9条及び第10条は、平成15年7月30日施行
- E法:公益法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備に関する法律(平成15年法律第102号):第6条は、平成16年4月1日施行
- F法:独立行政法人医療基盤研究所法(平成16年法律第135号):平成16年6月23日施行
改正の時系列は、次のとおりである。
- 平成15年7月30日
- B法第1条によるA法の改正
:第83条関係の改正はない。 - D法第2条によるA法の改正
- D法附則第9条によるB法第2条の改正
- D法附則第10条によるC法附則第26条及び第30条の改正
- B法第1条によるA法の改正
- 平成16年4月1日
- 〔D法附則第10条による改正後の〕C法附則第26条によるA法の改正
- 〔D法附則第10条による改正後の〕C法附則第30条によるB法第2条の改正
- E法第6条によるB法第2条の改正
:第83条関係の改正はない。
- 平成16年6月23日
- F法第15条によるB法第2条の改正
- 平成17年4月1日
- 〔D法附則第9条、D法附則第10条による改正後のC法附則第30条、E法第6条及びF法第15条による改正後の〕B法によるA法の改正
A法 | (動物用医薬品等) 第八十三条 医薬品、医薬部外品又は医療用具(治験の対象とされる薬物又は器具器械を含む。)であつて、専ら動物のために使用されることが目的とされているものに関しては、この法律(第八十一条の四及び次条第三項を除く。)中「厚生労働大臣」とあるのは「農林水産大臣」と、「厚生労働省令」とあるのは「農林水産省令」と、第十三条の二第一項第一号中「国民の生命及び健康」とあるのは「動物の生産又は健康の維持」と、第十四条第五項中「医療上」とあるのは「獣医療上」と、第二十六条第一項中「都道府県知事(専ら薬局開設者、医薬品の製造業者若しくは販売業者又は病院、診療所若しくは飼育動物診療施設の開設者に対してのみ、業として、医薬品を販売し又は授与する一般販売業(以下「卸売一般販売業」という。)以外の一般販売業にあつては、その店舗の所在地が地域保健法(昭和二十二年法律第百一号)第五条第一項の政令で定める市(以下「保健所を設置する市」という。)又は特別区の区域にある場合においては、市長又は区長)」とあるのは「都道府県知事」と、同条第二項中「卸売一般販売業」とあるのは「もつぱら薬局開設者、医薬品の製造業者若しくは販売業者又は病院、診療所若しくは飼育動物診療施設の開設者に対してのみ、業として、医薬品を販売し又は授与する一般販売業」と、同条第三項中「卸売一般販売業」とあるのは「前項ただし書の規定に該当する一般販売業(以下「卸売一般販売業」という。)」と、第二十七条中「準用する。この場合において、第八条第三項中「都道府県知事」とあるのは、「都道府県知事(第二十六条第一項に規定する卸売一般販売業以外の一般販売業にあつては、その店舗の所在地が同項に規定する保健所を設置する市又は特別区の区域にある場合においては、市長又は区長)」と読み替えるものとする。」とあるのは「準用する。」と、第三十五条中「都道府県知事(その所在地が保健所を設置する市又は特別区の区域にある場合にあつては、市長又は区長。次条において同じ。)」とあるのは「都道府県知事」と、第三十八条中「準用する。この場合において、第十条中「都道府県知事」とあるのは、「都道府県知事(第二十六条第一項に規定する卸売一般販売業以外の一般販売業又は特例販売業にあつては、その店舗の所在地が同項に規定する保健所を設置する市又は特別区の区域にある場合においては、市長又は区長)」と読み替えるものとする。」とあるのは「準用する。」と、第六十九条第二項中「都道府県知事(卸売一般販売業以外の一般販売業又は特例販売業にあつては、その店舗の所在地が保健所を設置する市又は特別区の区域にある場合においては、市長又は区長。第七十条第一項、第七十二条第二項、第七十二条の二、第七十三条、第七十五条第一項、第七十六条及び第八十一条の二において同じ。)」とあるのは「都道府県知事」と、第六十九条第三項及び第七十条第二項中「、都道府県知事、保健所を設置する市の市長又は特別区の区長」とあるのは「又は都道府県知事」と、第七十七条第一項中「、都道府県知事、保健所を設置する市の市長又は特別区の区長」とあるのは「又は都道府県知事」と、「、都道府県、保健所を設置する市又は特別区」とあるのは「又は都道府県」と、第八十一条の三中「都道府県、保健所を設置する市又は特別区」とあるのは「都道府県」と読み替えるものとする。 |
B法 | 第二条 A法の一部を次のように改正する。 第八十三条中「医療用具」を「医療機器」に、「器具器械」を「機械器具等」に、「第十三条の二第一項第一号中「国民の生命及び健康」とあるのは「動物の生産又は健康の維持」と、第十四条第五項」を「第二条第五項から第七項までの規定中「人」とあるのは「動物」と、第十四条第七項」に改め、「獣医療上」と」の下に「、第十四条の四第一項第一号中「国民の生命及び健康」とあるのは「動物の生産又は健康の維持」と」を、「専ら薬局開設者、医薬品の」の下に「製造販売業者、」を加え、「もつぱら薬局開設者、医薬品の」を「専ら薬局開設者、医薬品の製造販売業者、」に、「第八条第三項」を「第七条第三項」に、「第六十九条第二項」を「第四十九条の見出し中「処方せん医薬品」とあるのは「要指示医薬品」と、同条第一項及び第二項中「処方せんの交付」とあるのは「処方せんの交付又は指示」と、第五十条第九号中「医師等の処方せん」とあるのは「獣医師等の処方せん・指示」と、第六十九条第二項」に、「第七十二条第二項、第七十二条の二、第七十三条」を「第七十二条第四項、第七十二条の二から第七十三条まで」に改める。 |
C法 | 附 則 第二十六条 A法の一部を次のように改正する。 第八十三条中「第十三条の二第一項第一号」を「第十三条の三第一項第一号」に改める。 第三十条 B法(平成十四年法律第九十六号)の一部を次のように改正する。 第二条のうちA法第八十三条の改正規定中「第十四条の四第一項第一号」を「第十四条の三第一項第一号」に改める。 |
D法 | 第二条 A法(昭和三十五年法律第百四十五号)の一部を次のように改正する。 第八十三条中「及び次条第三項」を「、次項及び第八十三条の四第三項(第八十三条の五第二項において準用する場合を含む。)」に、「第十四条第五項」を「第十四条第二項第二号中「又は」とあるのは「若しくは」と、「認められるとき」とあるのは「認められるとき、又は申請に係る医薬品が、その申請に係る使用方法に従い使用される場合に、当該医薬品が有する対象動物(牛、豚その他の食用に供される動物として農林水産省令で定めるものをいう。以下同じ。)についての残留性(医薬品の使用に伴いその医薬品の成分である物質(その物質が化学的に変化して生成した物質を含む。)が動物に残留する性質をいう。以下同じ。)の程度からみて、その使用に係る対象動物の肉、乳その他の食用に供される生産物で人の健康を損なうものが生産されるおそれがあることにより、医薬品として使用価値がないと認められるとき」と、同条第五項」に改め、同条に次の一項を加える。 2 農林水産大臣は、前項の規定により読み替えて適用される第十四条第一項(第二十三条において準用する場合を含む。)若しくは第七項(第十九条の二第四項及び第二十三条において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)又は第十九条の二第一項の承認の申請があつたときは、当該申請に係る医薬品につき前項の規定により読み替えて適用される第十四条第二項第二号(残留性の程度に係る部分に限り、同条第七項、第十九条の二第四項及び第二十三条において準用する場合を含む。)に該当するかどうかについて、厚生労働大臣の意見を聴かなければならない。 附 則 第九条 B法の一部を次のように改正する。 第二条のうちA法第八十三条の改正規定中「第八十三条」を「第八十三条第一項」に、「第十四条第五項」を「第十四条第二項第二号」に、「第十四条第七項」を「第十四条第二項第三号ロ」に、「同条第五項」を「同条第七項」に、「改める」を「改め、同条第二項中「(第二十三条において準用する場合を含む。)若しくは第七項(第十九条の二第四項及び第二十三条」を「若しくは第九項(第十九条の二第五項」に、「第十四条第二項第二号」を「第十四条第二項第三号ロ」に、「同条第七項、第十九条の二第四項及び第二十三条」を「同条第九項及び第十九条の二第五項」に改める」に改め、同改正規定の次に次のように加える。 [次のよう略] 第十条 C法(平成十四年法律第百九十二号)の一部を次のように改正する。 附則第二十六条のうちA法第八十三条の改正規定中「第八十三条」を「第八十三条第一項」に改める。 附則第三十条のうちB法第二条のうちA法第八十三条の改正規定を改める改正規定中「第八十三条」を「第八十三条第一項」に改める。 |
F法 | 附 則 第十五条 B法(平成十四年法律第九十六号)の一部を次のように改正する。 第二条のうちA法第八十三条第一項の改正規定中「第十三条の二第一項第一号」を「第十三条の三第一項第一号」に改める。 |
まず、D法の施行により、A法、B法及びC法が改正された。
A法 | (動物用医薬品等) 第八十三条 医薬品、医薬部外品又は医療用具(治験の対象とされる薬物又は器具器械を含む。)であつて、専ら動物のために使用されることが目的とされているものに関しては、この法律(第八十一条の四 2 農林水産大臣は、前項の規定により読み替えて適用される第十四条第一項(第二十三条において準用する場合を含む。)若しくは第七項(第十九条の二第四項及び第二十三条において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)又は第十九条の二第一項の承認の申請があつたときは、当該申請に係る医薬品につき前項の規定により読み替えて適用される第十四条第二項第二号(残留性の程度に係る部分に限り、同条第七項、第十九条の二第四項及び第二十三条において準用する場合を含む。)に該当するかどうかについて、厚生労働大臣の意見を聴かなければならない。 |
B法 | 第二条 A法の一部を次のように改正する。
|
C法 | 附 則 第二十六条 A法の一部を次のように改正する。
第三十条 B法(平成十四年法律第九十六号)の一部を次のように改正する。 第二条のうちA法 |
次いで、C法の施行により、A法及びB法が改正された。
A法 | (動物用医薬品等) 第八十三条 医薬品、医薬部外品又は医療用具(治験の対象とされる薬物又は器具器械を含む。)であつて、専ら動物のために使用されることが目的とされているものに関しては、この法律(第八十一条の四、次項及び第八十三条の四第三項(第八十三条の五第二項において準用する場合を含む。)を除く。)中「厚生労働大臣」とあるのは「農林水産大臣」と、「厚生労働省令」とあるのは「農林水産省令」と、 2 農林水産大臣は、前項の規定により読み替えて適用される第十四条第一項(第二十三条において準用する場合を含む。)若しくは第七項(第十九条の二第四項及び第二十三条において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)又は第十九条の二第一項の承認の申請があつたときは、当該申請に係る医薬品につき前項の規定により読み替えて適用される第十四条第二項第二号(残留性の程度に係る部分に限り、同条第七項、第十九条の二第四項及び第二十三条において準用する場合を含む。)に該当するかどうかについて、厚生労働大臣の意見を聴かなければならない。 |
B法 | 第二条 A法の一部を次のように改正する。 第八十三条第一項中「医療用具」を「医療機器」に、「器具器械」を「機械器具等」に、「第十三条の二第一項第一号中「国民の生命及び健康」とあるのは「動物の生産又は健康の維持」と、第十四条第二項第二号」を「第二条第五項から第七項までの規定中「人」とあるのは「動物」と、第十四条第二項第三号ロ」に、「同条第五項」を「同条第七項」に改め、「獣医療上」と」の下に「、 |
続けて、F法の施行により、B法が改正された。なお、C法附則第26条によるA法第13条の2の繰下げのハネ漏れと思われる。
B法 | 第二条 A法の一部を次のように改正する。 第八十三条第一項中「医療用具」を「医療機器」に、「器具器械」を「機械器具等」に、「 |
最後に、B法の施行により、A法が改正された。
A法 | (動物用医薬品等) 第八十三条 医薬品、医薬部外品又は 2 農林水産大臣は、前項の規定により読み替えて適用される第十四条第一項 |
改正規定の概念とその引用
改正規定には、制定法令(全部改正法令を含む。)の規定とは異なり、条や項などの「住所」は付されていない。
このため、各改正規定を引用するときは、当該改正規定中の表現に基づき、「第〇条第〇項の改正規定」、「第〇条の次に1条を加える改正規定」などのように引用することとなる。
閣法、衆法及び参法で、それぞれ少しずつ異なる引用方法を用いており、先例を参照する際には、留意を要する[99]。
改正規定の単位
ここでまず問題になるのは、改正規定をどこまで細かく捉えるかという点である。
改正規定の段落(以下「改正段落」という。)を単位として捉える例と、各改正段落に含まれるそれぞれの改正の要素(以下「改正要素」という。)を単位として捉える例がある。
閣法では、規則として規定されたものはなく、改正段落又は改正要素のいずれを単位とする例も見られる。
衆法では、改正要素を単位として特定することで統一されている。もっとも、項又は条単位に丸めることもできる。一方、参法では、条名で、かつ、改正段落(同一の条に係る改正段落が数個あるときは、その数個の改正段落)を単位として特定することを原則とする[100]。もっとも、改正が一の項・号等に係るものであるときは、条以下の単位を表示することができる[101]。また、改正段落中の特定の改正要素のみを改める場合には、当該改正要素を単位として特定することもできる。
両方式の例
これらの違いが端的に現れる例としては、次のようなものがある。
改正規定の表現
次に問題になるのは、上記により、「改正規定」として切り出した箇所をどのように表現するのかという点である。
逐語方式
閣法では、規則として規定されたものはないが、ワークブックでは、改正規定については、その改正対象となる改正規定の文言に沿った形で捉えるものとされる。
衆法でも、改正(修正)対象の表現をできるだけそのまま用いて捉えることを原則とする。
一方で、改正規定の文言に沿って捉えることを徹底すると、「第1条第2項第3号及び同項第4号を改め、同項第6号を同項第7号とし、同項第5号を改め、同号を同項第6号とし、同項第4号の次に1号を加える改正規定」のように、煩雑な改め文を捉える場合にまで、一々それぞれの改正規定の文言を用いて捉えなければならないことになってしまうことから、条未満の単位の改正は、適宜条・項の単位にまで丸めて(抽象化して)引用することが許容される[105][106]。その結果、複数の段落をまとめて捉えることとなる場合もある。
例えば、第〇条第1項の全部を改め、同条に1項を加える改正は、「第〇条第1項の改正規定」と「第〇条に1項を加える改正規定」の2つの段落で行うこととなるが、両段落を同時に引用する必要がある場合など、必要に応じて「第〇条の改正規定」のように2つの段落を併せて引用することもあろう。
要約方式
参法では、原改正規定の内容を要約し、簡潔に表現することが行われる。この要約に伴い、閣法・衆法とは異なり、条単位で捉えることを原則とし、適宜[107]条以下の単位で捉えることができる扱いである。なお、同一の条の改正が数個の段落に分かれており、かつ、そのうちの1の段落のみを改正する場合であっても、まとめて引用してしまって差し支えない。
両方式の例
これらの違いが端的に現れる例としては、次のようなものがある。
条(項)建ての改正規定等
条・項建ての改正規定や、改正規定中の特定の部分中の字句を改める場合のように、「・・・中」が重なることとなる場合の「中」「のうち」の使い分けについては、次のように各種の方式がある。
- 「中」が2つ続く場合には「…のうち…中」と、3以上続く場合には「…のうち、…中…中」とする方式
- →閣法では、この方式によることが決定されている[108]。もっとも、実際には、一番小さい単位のみ「中」とし、残りは「のうち」とする方式によるものが多い。例示すると次のとおりである。
- 所得税法等の一部を改正する法律では、中が2つ続く場合には「第〇条のうち第〇条の改正規定中同条第〇項を…」等と、中が3つ続く場合には「第〇条のうち〇〇法第〇条の改正規定のうち同条第〇項中…」等としている。また、各改正段落ごとに段落を分ける。
- 地方税法等の一部を改正する法律では、中が2つ続く場合には「第〇条のうち〇〇法第〇条の改正規定中同条第〇項に係る部分を…」等と、中が3つ続くべき場合には「第〇条のうち〇〇法第〇条の改正規定(同条第〇項に係る部分に限る。)中…」等としている。また、各改正段落ごとに段落を分けない。
- →閣法では、この方式によることが決定されている[108]。もっとも、実際には、一番小さい単位のみ「中」とし、残りは「のうち」とする方式によるものが多い。例示すると次のとおりである。
- 一番小さい単位のみ「中」とし、残りは「のうち」とする方式
- この原則を貫き、「のうち、」を用いない方式
- →衆法は、この方式による。なお、衆法では、改正段落及び新条ごとに改行する。
- 例:「第一条のうち〇〇法第二条の次に三条を加える改正規定のうち「次の三条」を「次の二条」に改め、第二条の二第三項中・・・改め、同条第四項中・・・改める。↵第一条のうち〇〇法第二条の次に三条を加える改正規定中第二条の三を削る。↵第一条のうち〇〇法第二条の次に三条を加える改正規定のうち第二条の四中・・・改め、同条を第二条の三とする。↵第一条のうち〇〇法第三条の改正規定中・・・改める。」(「↵」は、改行を意味する。)[109]
- 「のうち」が複数の「のうち」又は「中」にかかる場合には適宜「のうち、」とする方法
- →閣法及び参法でこの方式が用いられる[110]。なお、参法では、改正段落ごとに改行するが、新条ごとの改行はしていないようである。
- 例:「第一条のうち第二条の次に三条を加える改正規定中「次の三条」を「次の二条」に改め、同改正規定のうち、第二条の二第三項中・・・改め、同条第四項中・・・改め、第二条の三を削り、第二条の四中・・・改め、同条を第二条の三とする。↵第一条のうち第三条の改正規定中・・・改める。」
- この原則を貫き、「のうち、」を用いない方式
また、閣法及び衆法では「第一条中〇〇法第二条の改正規定」のように当該柱書きの条名・項番号に続けて、被改正法令の題名(件名)から引用することとされているのに対し、参法では条・項立てでない改正規定の場合と同様に、単に「第一条中第二条の改正規定」と引用するものとされている。
段落レベルの改正
段落の特定
おおむね次のような形式による。
なお、次の点に留意する必要がある。
- 連続する改正段落の引用について
- 閣法では、一括して引用する場合が多い。例:
- 第一条から第三条までの改正規定
- 第一条の改正規定
- 衆法では、各改正要素及び改正段落ごとに引用する。この際、改正要素同士を「及び」で、改正段落同士を「並びに」で結ぶ。例:
- 第一条第一項の改正規定及び同条第二項の改正規定、第二条の改正規定並びに第三条の改正規定
(第一条の改正規定、第二条の改正規定及び第三条の改正規定) - 第一条第一項の改正規定及び同条第二項を同条第三項とし、同条第一項の次に一項を加える改正規定
(第一条の改正規定)
- 第一条第一項の改正規定及び同条第二項の改正規定、第二条の改正規定並びに第三条の改正規定
- 参法でも、一括して引用することがある。例:
- 第一条の改正規定から第三条の改正規定まで[事例 60]
(第一条の改正規定、第二条の改正規定及び第三条の改正規定) - 第一条の改正規定
(第一条第一項の改正規定及び同条第二項を同条第三項とし、同条第一項の次に一項を加える改正規定)
- 第一条の改正規定から第三条の改正規定まで[事例 60]
- 閣法では、一括して引用する場合が多い。例:
- 複合的改正規定の引用について
- 衆法では、各改正要素を単位として改正規定を特定する。なお、規定の移動及びこれに伴う他の規定の削り又は加えは、一の改正要素とみなすことに留意する必要がある。
- 例えば、「第一条を削り、第二条を第一条とし、同条の次に一条を加える改正規定」を分解して、「第一条を削る改正規定、第二条を第一条とする改正規定及び同条の次に一条を加える改正規定」のように表現することはできない。
- 参法では、段落レベルの改正にあたっては、段落を「改正規定」の単位として引用する。ただし、要素レベルの改正にあたっては、各要素を「改正規定」の単位として引用すれば足りる。
- 衆法では、各改正要素を単位として改正規定を特定する。なお、規定の移動及びこれに伴う他の規定の削り又は加えは、一の改正要素とみなすことに留意する必要がある。
改正の方法
衆法では「~改正規定の次(前)に次のように加える」と、参法では「~改正規定の次(前)に次の改正規定を加える」として、当該新設する改正規定を(その溶け込み後の配字にしたがって)記載する。閣法では、厚生労働省管轄の法令を除き、おおむね「次のように」を用いている。
いずれにせよ、「次(前)に」とする以上当該直前又は直後の改正規定の段落全体を捉えてする必要があろう。 特定した段落の改正は、おおむね次のように行う。
なお、全部改めについては、次の点に留意する必要がある。
- 改正前後で改正の種類が変わっても構わない。例えば、次のような場合が考えられる。
- 規定の全部を改める改正規定を規定の一部を改める改正規定に改める場合
- 規定を削る改正規定を規定の一部を改め、当該規定を移動する改正規定に改める場合
- 改正前後で段落の数が増減しても構わない。例えば、次のような場合が考えられる。
- 「第一条第七項を同条第八項とし、第六項の次に一項を加える改正規定」を、「第一条第七項を同条第九項とし、同条第六項を同条第七項とし、同項の次に一項を加える改正規定及び第一条第五項の次に一項を加える改正規定」に改める場合
- 改正前後の改正対象の異動について
- 衆法では、改正前と改正後とで、改正対象に異動が生じても構わない。
- 例えば、第一条の改正規定を第三条の改正規定に改めるなどである。
- 参法では、改正前と改正後とで、改正対象がおおむね対応する必要があるとする。
- 例えば、第一条の改正規定を第一条第一項の改正規定及び同条第三項の改正規定に改めることはできる。しかし、第一条の改正規定を第三条の改正規定に改めることはできない。
- 衆法では、改正前と改正後とで、改正対象に異動が生じても構わない。
新規定の改正
当該改正規定により全改され、又は加えられる規定(以下「新規定」という。)の改正には、当該部分の全部又は一部を改める場合、移動する場合、削る場合及び加える場合がある。
新規定の特定には、通常の規定に準ずる引用を行う方式と、通常の規定とは異なる引用を行う方式とがある。
これらについても、徹底的にどちらかのみを用いるとは限らず、例えば、新規定中の字句については後者の例により、新規定の移動については前者の例によるものもある。
通常の規定に準ずる引用を行う方式
衆法・参法及び閣法のいずれにも例がある。
各新規定の引用は、「~改正規定中第一条(第二項第三号)」などのように、最初に改正規定を特定した上で、通常の規定の場合と同様に引用する。
おおむね次のような形式による。
通常の規定とは異なる引用を行う方式
閣法に見られる方式である。
新規定を「第〇条に係る部分」等と引用するのは、当該部分は、被改正法令に溶け込むまでの間はあくまで「被改正法令に溶け込んだら第〇条になるはずの部分」に過ぎず、「第〇条」それ自体ではないためと考えられる。
おおむね次のような形式によるが、単純な字句レベルの改正や新規定が大部になる場合を除いては、当該改正規定全体を改める形になることが少なくない。
要素レベルの改正
各段落に含まれるそれぞれの改正要素を単位とする改正には、全部又は一部を改める場合、削る場合及び加える場合がある。
各要素の引用は、基本的に段落の場合と同様に行う。
要素の全部又は一部を改める場合には、当該要素を特定して、『第一条第二項の改正規定中「甲」を「乙」に改める』のようにカギ括弧で引用して行えばよい。
削る場合には、当該要素のみを特定して「第一条第二項の改正規定を削る」とする例と、段落全体として引用して、『第一条の改正規定中「、同条第二項中・・・改め」を削る』や「第一条第二項の改正規定及び同条第三項の改正規定中「第一条第二項中・・・改め、同条第三項」を「第一条第三項」に改める』などとする例がある。
加える場合には、その直前の要素又は当該段落全体を特定して、『第一条第二項の改正規定中「・・・改め」の下に「、同条第三項中・・・改め」を加える』のように行う。
改め文方式の改善の試み
要約
視点
このように、日本では、従来より、国及び大部分の地方自治体で、改め文方式による法令の改正が行われてきた。
しかし、改め文で記述された法令は、対象となる既存の法令のうち、どの部分をどのように改めるかを逐語的に記述したものであることから、(既存の法令の条文を知らなければ)改め文を読むだけでは、その改正の内容や、改正後の条文の内容を知ることが難しい。
このことから、改正の内容を分かりやすくするための工夫として、国では、新旧対照表[113]を作成し、一部改正法令案の参考資料とするとともに、各府省庁等のホームページに掲載している。
地方公共団体でも、新旧対照表を作成するところが多く[114]、その中には、さらに進んで公報自体に新旧対照表を併載するところもある。
それならば、最初から新旧対照表自体を一部改正法令としてしまおうというのが、新旧対照表方式の基本的な発想である。
なお、法案の資料としての新旧対照表については、日本以外にも、韓国や中国、台湾などで作成されている。また、ドイツでも、民間レベルで法令の新旧対照表を提供しているサイトがある(例)。これに対し、アメリカでは、法令案の修正の場合において、いわゆる「見消し」を作成することが規則で定められている(例)[115]。
全文改め方式
アメリカでも、同様の問題意識から、「1845年ルイジアナ州憲法」を皮切りに、多くの州の憲法に一部改め方式を禁止する規定が置かれるに至っており(Edward D. Summers 1979)[116]、これらの州では、当該条文又は法令全体を全部改正する形で行う、いわゆる全文改め方式が取られている。
この全文改め方式は、字句レベルの変更の場合にも、規定(SectionやChapter)レベルの改正を行うという点以外には、通常の改正方式と変わるところはない。
一方で、全文改め方式による州の中には、全文改め後の条文について、字句の削りを角括弧+打消線により、字句の加えを太字により表示する方式を取るものがあり、ミズーリ州の場合には、次のような改正方式が取られる[117]。
A.L. 2023 H.B. 417 Section A. Sections 160.2705 [...] and 340.387, RSMo, are repealed and sixteen new sections enacted in lieu thereof, to be known as sections 105.1600 [...], 160.2705 [...], and 620.2500, to read as follows: [...]. 160.2705. 1. [ (1) [...]; (2) [...]; (3) [...]; [ (4) [...]; and (5) One adult high school to be located in a county with more than seven hundred thousand but fewer than eight hundred thousand in habitants, or a contiguous county. 2. [...]. EXPLANATION— Matter enclosed inbold-faced brackets [ |
なお、日本でも、全文改め方式を検討した事例はあるものの[118]、現在のところ正式に採用された例はない。
用字用語
要約
視点
既存の法令の一部として溶け込む部分の用字用語は、次のようにする。
用字
共通(文語体・口語体)
被改正法令における表記にかかわらず、既に新字体(「灯」・「縄」を含む[例規 32][例規 33]。)になっているものとして引用する。これにより改正後の条文において新字体又は旧字体が混在することとなっても差し支えない。もっとも、例えば「綜合」の「綜」のような類いは、旧字体ではない(異字種である)から、地の文のまま引用する。
なお、地名・人名等の固有名詞については、一般に、このような取扱いの対象とならないものとされるが、沖縄及びこれを含む語については、固有名詞であっても既に「縄」となっているものとして引用することとなっている[例規 33]。
例:
- [改正前]・・・會長は・・・會長が・・・
- [改正後]・・・會長は・・・会長又は副会長が・・・
- [改め文]「会長が」を「会長又は副会長が」に改める。
文語体の法令
被改正法令における表記にかかわらず、既に濁点又は半濁点が付いているものとして引用する。これにより改正後の条文において濁点又は半濁点の有無が統一されないこととなっても差し支えない。
例:
- [改正前]第〇条 ・・・スルヲ得ス、第×条 ・・・スルヲ得
- [改正後]第〇条 ・・・スルヲ得ス、第×条 ・・・スルヲ得ズ
- [改め文]第×条中「得」を「得ズ」に改める。
口語体の法令
仮名遣い・送り仮名
被改正法令における表記にかかわらず、常に現行の仮名遣い又は送り仮名の基準による。これにより仮名遣いや送り仮名が混在することとなっても差し支えない。
拗音又は促音に用いる「や・ゆ・よ・つ」の大小
拗音又は促音に用いる「や・ゆ・よ・つ」については、従来大書きされてきたが、昭和63年12月に召集される通常国会に提出する法律及び昭和64年1月以後の最初の閣議に提案する政令から、小書きに変更されたところである[例規 34]。
これについては、改正後の字句は被改正法令における表記に従い、大書き又は小書きとする。
なお、(準用・読替え適用における)読替規定の場合にも、改め文の場合と同様にその読替先の法令における大小に合わせることとなる。したがって、これらの読替規定の一部として溶け込む部分については、被改正法令全体における大小ではなく、当該読替先の法令における大小に合わせることとなる[119]。
もっとも、固有名詞については、その固有名詞における表記に従う。
傍点
戦後の一時期に制定された法令では、表外漢字であるためにその全部又は一部を仮名書きとした語については、その仮名書きとした部分に傍点を付することとされていた[例規 35][例規 36]。このように傍点が付いた字句を改正する場合にも、地の文にしたがって傍点を付して特定する。
横書き
字句の縦書き又は横書きは、地の文のまま引用する。
例:所得税法等の一部を改正する法律(平成31年法律第6号)第1条中所得税法別表第1から別表第4までの改正規定。同法では、字句を加える場合に「次に」と表現している。
なお、横書きの改め文で縦書きの字句を引用する場合も同様である。
用語
改め文と関連するもの
要約
視点
施行期日
改正規定単位の施行期日を定める場合(逐次施行)
一部改正法令では、一の柱書きに属する改正規定のうち一部のみについて、その施行期日を早め、又は遅らせることがある。これは、新規法令で、特定の条文の施行期日のみを早め、又は遅らせる場合があるのと同様である。
この場合に各改正規定を特定する方法は、基本的には、改正規定の改正の場合と同様であるが、各改正規定の更に一部を特定する場合の方式に違いが見られる。
改正規定の改正場合には、各改正規定中の「字句」を絵的に捉えて操作する(改正する)ため、改正規定は大体特定できていればよい。これに対して、施行期日を定めるための改正規定の特定では、各改正規定、あるいは各改正規定のうちの更に特定の「一部改正法令としての効力」を観念的に捉え、その施行期日を定めることとなる。このため、改正規定の更に特定の「効力」を具体的に特定する必要がある[120]。このような違いから、改正規定の改正と、施行期日の規定とでは、その特定の方法に違いが生ずることがある。
特定の方法が異なる場合の顕著な例を挙げれば、次のとおりである。
- ある改正規定のうち、特定の字句の改正に係る部分のみを引用する場合
- 改正規定の改正の場合には、「第〇条第〇項の改正規定」等のように、改正規定のレベルまで特定してしまえば、後はカギ括弧で引用し改正すれば足りる。
- これに対して、施行期日規定の場合には、カギ括弧での引用がないので、直接当該字句の改正に係る部分まで特定する必要がある。このため、「第〇条第〇項の改正規定(「甲」を「乙」に改める部分に限る。)」等の表現を用いる。
- 連続する数個の規定を改め、又は加える改正規定のうち、一部の規定に係る部分のみを引用する場合
- 改正規定の改正の場合には、例えば「第〇条の次に〇条を加える改正規定(第×条に係る部分に限る。)」等のように、改正規定に含まれる新規定さえ引用してしまえば、後はそれを改正するだけである。
- これに対して、施行期日規定の場合には、当該新規定だけが効力を生じても仕方がないので、当該規定を改め、又は加える効力まで含めて、「第〇条の次に〇条を加える改正規定(第×条を加える部分に限る。)」等のように引用することが多い。
- なお、規定の移動や削りの場合についても、同様に考えることができる。
- ある規定を改め、移動する改正規定のうち、当該規定を改める部分のみを引用する場合
- 改正規定の改正の場合には、改めと移動が別段落であれば、単に「第〇条の改正規定」と引用すれば足りる。また、同一段落でも、一部改正の場合には「第〇条の改正規定中」と引用すれば足りる。
- これに対して、施行期日規定の場合には、単に「第〇条の改正規定」とすると、実質的な意味での第〇条の改正規定(移動を含む。)を指すのか、形式的な意味での第〇条の改正規定(移動を含まない。)を指すのかに疑義が生じるおそれがあるとされる。
- このため、例えば、「第〇条を改め、同条を第×条とする改正規定(第〇条を改める部分に限る。)」[121]や「第〇条の改正規定(同条を第×条とする部分を除く。)」のようにして、その範囲を明示することがある。
同一の法令を数条(項)にわたって改正する場合(二段ロケット)
同一の法令の同一の規定を施行期日を異にして数回にわたって改正する場合等のように、改め文の逐次施行や経過措置によっては、その処理が難しい場合には、同一の法令について、数条(項)にわたって改正する方式を取ることができる[例規 37]。
調整規定
数個の一部改正法令又は附則改正法令により、同一の法令を改正する場合に必要となることがある。
その成立時期が逆転する場合
C法の一部を改正するA法案(先施行)と、A法によるC法の一部改正を見越して、その改正後のC法の一部を改正するB法案(後施行)が同じ国会に提出された場合において、B法の施行時までにA法が成立したとき(継続審査を経て別会期で成立した場合[122]を含む。)は、両法の成立の前後にかかわらず、B法の施行により、A法による改正後の条文について所期の改正が行われる扱いである。
一方で、A法案が審議未了廃案となった場合において、B法の施行時までにA法案と同旨の法律案を再提出するときは、当該法律案中に、「B法第〇条の規定は、第×条による改正後のC法の規定を改正する法律としての効力を有しないものと解してはならない」旨を規定する取扱いとなっている[123]。
その施行期日が同日となる場合
C法の一部を改正するA法の施行と、同じくC法の一部を改正するB法の施行が同時となる場合には、先に成立したA法によるC法の改正を前提として、B法によるC法の改正が行われるとされる[124]。したがって、このような場合でも、両法の施行期日をずらしたり、調整規定を置いたりする必要はない。
もっとも、溶込みの順序を明確にする観点から、このような状況があらかじめ想定される場合に、B法附則に「この法律及びA法に同一の法律の規定についての改正規定がある場合において、当該改正規定が同一の日に施行されるときは、当該法律の規定は、A法によってまず改正され、次いでこの法律によって改正されるものとする。」旨の調整規定を置いた事例もある[125][126]。
その施行期日の逆転が想定される場合
C法の一部を改正するA法案が既に国会に提出されている場合に、同じくC法の一部を改正するB法案を国会に提出する場合には、A法案が成立することを前提としてB法案を立案することが通常である。
ところで、A法案の国会での成立の時期が見通せない場合においては、B法の施行期日がA法の施行期日よりも前又は後であることを前提として立案した上で、これらの施行期日が逆転した場合に備えた調整規定を置くことがある。
また、A法案が既に成立している場合でも、その施行期日が不確定期限[127]である等の事情により、その期限の到来の前後が見通しがたいときには、同様の取扱いがなされることがある。
この調整規定のパターンとしては、次のようなものがある。
附則改正法令の失効等
一部改正法律及び附則改正法律は、当該改正規定の施行により一部改正の効力が生じ、これにより、被改正法律の規定は、不可逆的に改正される。
したがって、当該附則改正法律が、その期限の到来により失効したり、廃止されたりした場合であっても、そのために同法による一部改正の効果に影響が及ぶことはない。
読替規定
読替規定は、ある規定において他の規定を適用し、又は準用する場合において、一定の理由により当該他の規定の一部を変更する必要がある場合に置かれる。
読替規定は、特定の規定中の文言を逐一カギで捉えて変更していくという点で改め文と類似しているが、次の点で異なる。
- どれだけ条が多くても基本的には一文で書き切る。このとき、読替規定があまりにも長くなるような場合には、表による読替えを行うことがある。
- 最後に一回だけ読み替える等の旨を記す。
- 同一の読替えは、対象規定の前後にかかわらず、最初の出現位置でまとめて行う。
例えば、例のように、第四項の読替えの後に第三項の読替えが続くこととなっても構わない。 - 字句を削り、又は加える必要があるときは、前後の字句とともに読み替える方式による。
なお、 厳密に、法令中の規定の一字一句を改正していく改め文と異なり、適用・準用の場合の読替えは、あくまでもその規定の当てはめにあたって必要な規定内容の加工を行うに過ぎないことから、読み替えられる字句の全てを読替規定中に書き切る訳ではないことに留意する必要がある[129]。
官報正誤
官報正誤参照。
諸外国の事例
要約
視点
韓国
日本法を継受した韓国では、わが国と概ね同様の方式によって法令の改正を行っている。詳細は、韓国の改め文方式を参照
わが国の改め文と異なる点としては、次のようなものがある。
- 改正の諸原則
- 改正規定の接続の際、その接続形を交互に変える。
例:「第1条を削除し(하고)、第2条を第1条にして(하며)、同条(従前の第2条)中「甲」を「乙」にし(하고)・・・」 - 「~に改める」の代わりに「~にする」とする。
例:「第〇条を次のようにする」『第〇条中「甲」を「乙」にする』 - 「うち」に該当するものを用いない。
- 「段」や「本文」、「各号以外の部分」(=各号列記以外の部分)を常に明記する。
- 改正規定の接続の際、その接続形を交互に変える。
- 規定の改正
- 加え又は全部改めの後で規定を区切らない。
例:「第一条第一項を次のようにし、同条第三項を第四項にして、同条に第二項及び第三項を各々次のように新設する」という改正規定に続けて、改正後の第一項から第三項までをまとめて掲げる。 - 移動の後にその一部又は全部を改めることができる。
例:「第一条第二項を第三項にし、同条に第二項を次のように新設して、同条第三項(従前の第二項)を次のようにする」、『第一条第二項中「甲」を「乙」にし、同項を第三項にして、同条に第二項を次のように新設する』、『第一条第二項を第三項にし、同条に第二項を次のように新設して、第三項(従前の第二項)中「甲」を「乙」にする』 - 規定の一括移動は、改正前・改正後の標記部分を範囲により示す。したがって、最初又は最後の規定のみを別個に移動する必要はない。
「第一条及び第二条を各々第二条及び第三条にする」、「第一条第二項から第五項までを各々第四項から第七項までにする」
なお、枝番号の移動と枝番号でないものの移動とは、必ず別に示すこととされている。 - 規定の加えは、加えられる規定の位置を直接明示してする。後段やただし書についても同様である[130]。
例:「第〇条に第〇項を次のように新設する」 - 規定の削りは、「削除する」とする。これは、わが国の「削る」に該当する表現である。
例:「第〇条を削除する」 - 規定の欠番を認める一方で、形骸残し削除は行わない[131]。
なお、欠番となった箇所に再び規定を加える場合には、通常の新設と同様に、「第〇条を次のように新設する」とすればよい。 - ただし書(後段)を全改して、後段(ただし書)とする場合には、「第一条第二項ただし書(後段)を後段(ただし書)にして次のようにする」とする[132]。
- 加え又は全部改めの後で規定を区切らない。
- 字句の改正
- 字句の削り・加えが廃止され、現在はいずれも「改め」方式による。
例:『第〇条中「甲、乙」を「甲」にする』『第〇条中「甲」を「甲、乙」にする』
- 字句の削り・加えが廃止され、現在はいずれも「改め」方式による。
英米法
「削り」については、英国法及びオーストラリア法では「omit」を、アメリカ法では「strike」(の現在分詞)を、カナダ法及びニュージーランド法では「repeal」を用いる。
「加え」については、英国法、アメリカ法、オーストラリア法及びニュージーランド法で共通して「insert」を用いる。カナダ法では、「add」を用いるようである。
「改め」については、英国法では「substitute」を用い[133]と、カナダ法及びニュージーランド法では「replace」を用い[134]とする。なお、米国法やオーストラリア法では、「削り」と「加え」を組み合わせて表現する[135]。また、英国法でも文脈により削り+加え方式によることがある[136]。
また、これらの国では、長い字句を引用するのに「"A" and all that follows through "B"」、「all the words after "A"」や「for "A" to the end」と引用したり、同一規定内に同一の字句が数個含まれる場合に『2つ目に現れる「A」("A" the second place it appears)』や『「B」の後最初に現れる「A」("A" the first place it appears after "B")』と引用したりすることがある。
中国
注釈
事例
例規
法令整備会議
法令審査メモ
関連文献
関連項目
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