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文化的景観

人間が自然とともに生み出した景観 ウィキペディアから

文化的景観
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地理学生態学遺産研究などにおける文化的景観(ぶんかてきけいかん、英語: Cultural landscape)とは、人間が自然とともに生み出した景観を指す。景観とは既に現存する自然や人工の要素の集合体ではなく、自然と人為が関係しあっている様子、すなわち文化をも表現するという見方で、歴史的景観と表裏一体となっている。共存とは、庭園等の様に人間が自然の中に作り出した景色、あるいは田園や牧場のように産業と深く結びついた景観、さらには自然それ自体にほとんど手を加えていなくとも、人間がそこに文化的な意義を付与したもの(宗教上の聖地とされた山など)が含まれる[1]

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文化的景観としての世界遺産第1号となったトンガリロ国立公園

特に、世界遺産委員会の定義によれば、「自然と人間の組み合わせた作品を表す文化財」のことをいい、以下の三要素に分類される[2]

  1. 意匠された景観:庭園や公園、宗教的空間などの景観。
  2. 有機的に進化する景観:社会の様々な需要によって生まれ、自然環境と一体に成立した景観。
  3. 関連する景観:その土地の自然環境が宗教や学芸と深く結びついて、民族に大きな影響を与える景観。
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世界遺産

要約
視点

ユネスコ世界遺産委員会は、1992年に「世界遺産条約履行のための作業指針」に、文化的景観の概念を盛り込んだ[3]。分類上は文化遺産だが、自然的要素に特筆すべき点がある場合には複合遺産となる。

文化的景観を理由に登録された世界遺産の第1号は、トンガリロ国立公園ニュージーランド)である[1]。この物件は1990年に自然遺産として登録されていたが、マオリの信仰の対象としての文化的側面が評価され、1993年に複合遺産となった。

以降、文化的景観を登録名に関した物件は、「石見銀山遺跡とその文化的景観」(日本)、「スクルの文化的景観」(ナイジェリア)、「バーミヤン渓谷の文化的景観と古代遺跡群」(アフガニスタン)、「シントラの文化的景観」(ポルトガル)など枚挙に暇がない。また、登録名に文化的景観と冠していなくとも、「アルト・ドウロ・ワイン生産地域」(ポルトガル)や「フィリピン・コルディリェーラの棚田群」などの農業景観、巡礼の道として登録された「紀伊山地の霊場と参詣道」(日本)、国立公園であるにもかかわらず文化遺産として登録されている「シンクヴェトリル国立公園」(アイスランド)や「ホルトバージ国立公園」(ハンガリー)などは、いずれも文化的景観の範疇に属する。

逆に、1992年以前には文化的景観を理由とする登録は存在しなかったが、「ヴェルサイユの宮殿と庭園」(フランス)、「メテオラ」(ギリシャ)など、もしもその概念が存在していたならば、適用されていた可能性がある物件は複数存在している[3]

世界遺産に登録されている文化的景観の一覧

以下では世界遺産センターが公表している文化的景観のリスト[4]を基準にしつつ、世界遺産関連書籍でそのように位置づけられているものも含めている。

  • 特に出典の明記のないものは世界遺産センターのリストに掲載されている物件。
  • 地域区分は世界遺産センターの公式分類に基づく。
  • 登録年は文化的景観として登録された年。拡大登録などによって後から文化的景観と認められたものは、当初の登録年をカッコで示した。

アジア・太平洋

さらに見る 画像, 登録名 ...

アラブ

アフリカ

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ヨーロッパ・北アメリカ

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ラテンアメリカ・カリブ海

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日本

日本では、2005年4月1日に施行された改正文化財保護法第2条第1項第5号によって、文化的景観に関する規定が新たに盛り込まれ、文化庁内に設置された文化的景観の保存・整備・活用に関する検討委員会は「風土に根差し営まれてきた生活や生業を表す景勝地」との観点から、一次調査で農林水産業に関する候補地2311ヶ所を選出し、二次調査で502、最終調査で180に絞り込んだ後、66件を重要地域とし、その中から重要文化的景観を選定している[10]。現在は一次産業が主体であるが、将来的には例えば工業地帯ニュータウン商店街のような分野への応用も視野に入れている[11]

脚注

参考文献

関連項目

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