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歯車 (小説)

芥川龍之介の小説 ウィキペディアから

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歯車』(はぐるま)[注 1]は、芥川龍之介小説。『玄鶴山房』、『蜃気楼』、『河童』、『或阿呆の一生』と並ぶ晩年の代表作である。この時期の作品には自身の心象風景を小説にしたものが多いが、この作品もその一つと言える。執筆期間は1927年3月23日から4月7日までとされる。「話」らしい「話」はなく、芥川を自殺に追い詰めたさまざまな不気味な幻視、関連妄想が描かれている。芥川は1927年(昭和2年)服毒自殺を図るが、生前に第一章が雑誌「大調和」に発表され、残りは遺稿として発見された。遺稿中では唯一の純粋な小説である。

概要 歯車, 作者 ...
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あらすじ

「僕」は、知り合いの結婚披露宴に出席するため、東京のホテルに向かう。途中、レエン・コオト(レインコート)を着た幽霊の話を耳にする。その後、事あるごとに、季節はずれのレエン・コオトが現れ、「僕」は段々と不気味になってくる。披露宴後、そのままホテル[注 2]に逗留して小説を執筆しだしたとき、「僕」は、義兄がレエン・コオトを着て轢死したことを知る。

ときおり「僕」の視界には半透明の歯車が回るのが見える[注 3]。レエン・コオトだけでなく、復讐の神、黄色いタクシー、黒と白、もぐらもち(もぐら)、翼(飛行機)、火事、赤光など、過去の罪の残像とも、死の予告とも知れない現象が繰り返し現れていく。何者かに生命を狙われていると感じるようになった「僕」は怯え苦しみ、東京の街を逃げ回るように彷徨する。やがて東京に耐えきれなくなった「僕」はホテルを出て妻の実家へ帰るが、そこでも不吉な現象は続く。激しい頭痛をこらえて横になっていると、妻は「お父さんが死にそうな気がした」と言う[注 4]。「僕」はもはやこの先を書き続けることも生きていることも苦痛となり、眠っているうちに誰かが絞め殺してくれないだろうかと望む。

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評価

同時代の作家の複数名が芥川の最高傑作と評している。

一方で、書きすぎて雑音があるとする評(久米正雄宇野浩二徳田秋声)もある[5]

その他

2009年度第104回の医師国家試験において、視界に見えた「歯車」の表現から、その原因(病跡学)として片頭痛を選ばせる出題があった[6]

脚注

関連文献

関連項目

外部リンク

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