治安機関

治安機関（ちあんきかん、英語: Public security agencies）とは、国家や地域社会の安全および秩序を維持し、犯罪の予防、鎮圧、および国民の生命・財産の保護を任務とする行政機関の総称である。

法執行機関との区別

治安機関は、法律を強制執行して犯罪を摘発する「法執行機関（Law Enforcement Agency）」と概念的に重なる部分が多いが、以下の点で区別される。

• 目的の広範性：法執行機関が法律の適用と犯人の逮捕という具体的な法的結果を主眼とするのに対し、治安機関は社会の平穏や国家の安全維持という、より広範で抽象的な安全保障を主目的とする。
• 活動領域：法執行機関が事後の捜査・検挙に重点を置く一方で、治安機関はテロ対策、諜報（インテリジェンス）、重要人物の警護（SP）など、事前の予防・抑止や情報収集に大きな比重を置く。
• 法的強制力の有無：法執行機関には警察のように逮捕権・捜査権を持つ組織が該当するが、治安機関には公安調査庁のように、逮捕権を持たずに情報の収集・分析のみを専門に行う情報機関も含まれる。

主な役割と任務

• 公共の安全と秩序の維持：大規模な催事やデモにおける雑踏警備、交通の安全確保など、混乱を未然に防ぐ活動を行う。
• 国家安全保障と警備：テロリズムや内乱、外国勢力による工作活動の防止。
• 身辺警護：国家元首や政府首脳などの安全を確保する任務。
• 沿岸・国境警備：海上の治安維持や不法入国、密輸の阻止。

日本における主要な治安機関

• 警察（警察庁・都道府県警察）：法執行と治安維持の両面を担う中心的な機関。
• 海上保安庁：海上の治安維持および法執行を担う。
• 公安調査庁：破壊的団体等の調査を行う、法執行権を持たない治安・情報機関。
• 出入国在留管理庁：国境の安全管理を担う。

関連項目

• 治安