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火管
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火管(かかん、英: primer)は、外部からの機械的衝撃や電気信号などにより点火薬を作動させ、装薬(発射薬)を着火するための点火具の総称である。代表的には、撃針の衝撃で作動する撃発火管(percussion primer)と、電流で発火素子を加熱する電気火管(electric primer)、双方の機能を備える複合火管がある[1]。爆薬の起爆を目的とする雷管(detonator)とは目的・作動が異なる(火管=装薬点火、雷管=爆薬起爆)[1]。
用語と範囲
火管は火砲弾薬や迫撃砲弾、分離装填方式の砲用装薬、薬きょう式弾薬などで用いられる。電気信号で作動する場合はelectric primer(電気火管)と呼ばれ、別項も参照のこと(→電気火管)。代表的な撃発火管の例として、155 mm自走/牽引榴弾砲で用いられるM82がある[2][3]。
種類
- 撃発火管(percussion primer)
撃針(ファイアリングピン)などの衝撃で点火する。分離装填の砲では、装薬束の点火に用いられる(例:M82)[2]。
- 電気火管(electric primer)
電流でブリッジワイヤ等を加熱し点火薬を着火する。小~中口径カートリッジや航空機関砲などで用いられる(例:M52A3B1)[4]。
- 複合火管(combination primer)
電気・撃発の双方で作動可能な型式。
- 砲用火管(Pチューブ等)
歴史的には気密機能を備えたvent-sealing electric tube(Pチューブ)などがある[5]。
構造と作動
撃発火管は一般に「カップ(杯)」「アンビル(台)」「点火薬(プライミングコンポジション)」「ガスチェック/マガジン(黒色火薬等)」などで構成され、撃針の打撃で点火薬が作動し、火炎が点火薬槽→装薬へと伝播する[6]。電気火管では電橋(ブリッジワイヤ)等の発熱素子が点火薬を着火する[4]。
輸送における分類
国連危険物モデル規則に基づく輸送では、火管の多くはUN0044 "Primers, cap type"として区分され、通常は危険物クラス1.4Sで取り扱われる[7][8][9]。
日本の法令・用語
日本では、火管は火薬類取締法体系において火工品に区分され、製造・貯蔵・運搬・消費等が規制される[10][11]。防衛装備分野の用語は防衛省規格NDS Y 0001D「弾薬用語」に整理されている[1]。
代表例
歴史
19世紀初頭、雷帽(percussion cap)により火器の着火信頼性が飛躍的に向上した。雷帽はフルミネート系起爆薬を用い、後の火管・弾薬用雷管につながった[14][15]。
安全
火管は感度の高い点火薬を含み、衝撃・摩擦・静電気等に対し適切な取扱いが必要である。各種教範では、取り扱い時の衝撃回避や誤作動防止、安全装備等の注意が示されている[16]。
関連項目
脚注
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