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人生

人間がこの世で生きることや、生きている時間、経験などのこと ウィキペディアから

人生
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人生(じんせい)とは、がこの世で生きていくこと[1]。人が、この世に生きている間[1]。あるいは、この世で生きている間に経験することなどである。「人の一生」「生涯」などとも言う[1]

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女性の人生。(1849年、米国)

人生観

人生に対する見方や、人生の意味の理解のしかたを人生観という。

ハーバード大学での人生研究

ハーバード大学で、複数名の研究者の共同研究によって、75年以上かけて、総計700名ほどの人生を調査し、肉体的および心理的な健康状態を追跡する研究が行われた[2]。調査したのは、2つの人間群で、ひとつはボストン在住の貧しい男性 456名(1939年~2014年)で(Glueck Study)、もうひとつはハーバード大学を1939~1944年に卒業した男性268名である(Grant Study)。この調査は非常に長期にわたり、複数名の研究者がリレーして行われた[2][3]。 研究者らが特に関心があったのは、ひとつには、人生の早期の心理的特性や生物学的プロセスの中でどのようなものが、人生の後期(80代や90代など)の人生のありかた・しあわせ(well-being)に影響を与えるか、ということであり、もうひとつは子供時代や大人時代の経験のどのような側面が晩年の親密な人間関係に影響するかということと、晩年の婚姻状態は身体的健康や幸福とどのような関係にあるのか、ということであった[3]。 あえて2つの性質の大きく異なったカテゴリに属する人々を追跡調査することで、家庭環境・子供時代・心理的傾向(心理的自己防御メカニズム)のうち、どの変数が、人生に幸福・健康・良い婚姻状態・良い歳のとりかた、をもたらす傾向があるのか明らかにでき[3]、また同時に、どの変数が、身体的不健康、心理的不健康、不幸な結婚、晩年の人生の調整不足をもたらすのかも明らかにできる、と考えた[3]

その時代ごとに可能な技術を用いて研究を行い、たとえば以前は血液成分分析を使って、脳診断ができる時代になってからはそれも利用し、もちろん当人の自己申告も記録し、また研究者が研究対象となった人々と接触し聞き取りも行った[2]。脳画像診断や、遺伝子検査も追加したのである[3]

ハーバード大のStudy of Adult Developmentの責任者のRobert Waldingerによると、この75年以上におよんだ研究によって判ったことは、質の良い人間関係こそが他の要素群を超えて、人生の後期おける幸福と健康に大きく作用しているという[2]

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人生の成功

要約
視点

人生の成功をどう考えるかは人によって異なるが、人生の成功は一つの要因で決まるものではなく、いくつもの要素が重なり合って生じることがわかる[4]

主観的幸福感

主観的幸福感は結婚や友人関係、職業上の成果、健康といった人生の多様な成功指標と正の関連を示しており、場合によっては幸福感が後の人生の成功を予測する証拠も報告されている。したがって幸福の促進は個人の人生の長期的な成功にとって重要な資源となり得る[5][6][7][8][9]

律儀性

律儀性は学業成績や職務遂行などの安定した予測因子であり、計画性・自制心・持続力といった側面を通じて成果に寄与する。近年注目されるグリットについてのメタ分析は、グリットが人生の成功に寄与する一面を持つ一方で、その多くは律儀性と重複しており、グリット単独の独自効果は限定的であると結論づけている。実務上は律儀性を育む介入(目標管理・自己調整スキルの訓練など)が有効であることが示唆される[10]。とはいえ、人生の成功は単に日々の小さな成功の積み重ねではなく、むしろより複雑で非線形のパターンに従うものである[11]

外見と人的資本

外見は面接や短期的な評価の場面で有利に働くことがあるが、人生の長期的な成功を説明するには専門性・実績・ネットワークといった人的資本の蓄積が不可欠である。外見は一要因にすぎず、人生の持続的成功の基盤はスキルと関係構築にある[12][13]

知能と背景要因

知能は教育や職業的地位、収入といった社会経済的成果を予測する強い因子である一方、親の社会経済的地位や学校での成績など背景要因も重要で、人生の成功を説明するには複数の要因を一緒に考えることが望ましい[14]

接近志向と学習志向

達成を目指す接近志向の目標は人生の成功と正に関連する一方、失敗回避を主とする回避志向はしばしば負の関連を示す。競争や評価中心の状況は不安や回避的プロセスを誘発し、長期的な内発的関心や自己調整を阻害し得るため、教育や組織では習得志向・増分マインドセット(成長志向)を支援する方策(学習過程の可視化、失敗を学習に位置づけるフィードバック、具体的な成長目標の設定)が効果的であることが示されている。自己効力感や学習への没入がこれらの効果を仲介する可能性もある[15][16][17][18][19][20]

完璧主義

完璧主義については一様ではない。完璧主義を「高い基準を追求する側面」と「不安や懸念を伴う側面」に分けて解析しており、前者は成績などと正の関連を示すことがあるのに対し、後者はむしろ不利に働く傾向があると報告されている。したがって「完璧主義=悪」という単純化は妥当ではなく、どの側面を測っているかが重要である[21][22]

名声志向の問題点

名声(評価や注目)を主要な目標とすることは、曖昧で遠隔的な成果を追い求めるため、日々の有効なプロセスや持続的動機づけを損ない、結果的に人生の成功を損なう可能性があるという批判的考察がある。したがって名声志向を抑え、具体的な技能習得や段階的目標に焦点を当てるプロセス志向が推奨される[23][24][25][26]

金銭志向・物質主義の問題点

測定しやすい成果(売上・生産性など)は金銭志向で伸びることがあるが、長期的で多面的な人生の成功(幸福、良好な人間関係、持続的な成長)を検討すると、お金を最優先にすることはむしろ逆効果になる可能性が高い[27][28][29]

出典

関連項目

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