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留置場
逮捕後から起訴される前の被疑者を収容し、逃亡や証拠隠滅を防止することを目的とした警察署内の施設 ウィキペディアから
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留置場(りゅうちじょう)とは、逮捕した被疑者の身柄を収容する警察署内の施設。また、勾留状を執行された被疑者の大半についても勾留場所として留置場が活用されている[1]。起訴前段階における被疑者の勾留場所として留置場を充てる実務運用の根拠は刑事収容施設法15条にあり、代用刑事施設と呼ぶ[2]。
この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
概要
代用刑事施設
留置は、通常で2泊3日、長くても21泊22日が限界で、それ以上の取調べが必要な場合は、起訴し、法務省所管の刑事施設に身柄を移さなければならない。
ただし、刑事施設が定員を超過している場合や、警察が能率を優先させた場合などに、被留置者を刑事施設に移送せず、警察署内の留置施設に留め置かれる場合が多い。
これを代用刑事施設と呼び(刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律第15条)、司法機関ではなく警察官の監督下に置かれることから、自白の強要や冤罪を生みやすいと問題視する意見もある。
弁護人
弁護人(弁護士)は刑事弁護だけで生計を立てることが不可能であるため、他業務と並行して弁護も行っている。代用刑事施設は拘置所より場所・時間的に便利な面があるため廃止された場合に接見に行くことが難しくなるなど、弁護活動に障害が生ずる可能性もある。
代用刑事施設のある警察署は主要な街の中心にあるなど交通の便の良いところにあることが多いが、拘置所(拘置支所)や刑務所にある拘置区は街中にある所は少ない。
保護室
→詳細は「保護室」を参照
なお「泥酔者を保護するために留置場に入れられる」と勘違いしている人が見受けられるが泥酔者他の「要保護者」が入るのは「保護室」(いわゆるトラ箱)であり警察官職務執行法第3条第1項及び酒に酔つて公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律第3条第1項に基づく警察署内の施設であって、留置場とは全く別の施設である。なお、泥酔して何らかの犯罪に及んで逮捕された場合には、留置場に収容されることになる。
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留置場での生活
一日の流れ



- 06:30 起床・清掃・洗面
- 07:00 朝食
- 07:30 運動(官本および私物貸出)
- 部屋ごとに敷地内の運動場で行う。
- 電動髭剃り、爪切りが使用可能。
- タバコの喫煙については平成25年4月1日より全国の留置施設で禁煙となった[4]。
- 書籍は3冊までが場内に持ち込み可能。
- 入浴は週2回程度行われ、入浴日は運動と入浴を同時に行う。
- 入浴日は5日に1回以上が規定。大体は2週間で3回で運用されている。
- 洗濯は週1回程度行われ、警察官が場内に設置された洗濯機と乾燥機を使って洗濯する。
- 12:00 昼食
- 17:00 夕食
- 19:00 検室
- 当直の留置管理担当の警察官と、刑事課の刑事による部屋の検査。主に鉄格子、金網などを叩いて異変がないか調べられる。
- 20:30 洗面・就寝準備
- 21:00 就寝
- 本などを回収。
入場手続
衣服
物品の購入

- 洗面用具や便箋、切手などの指定された商品については「願箋」(がんせん)を提出し購入することが可能である。
- 被疑者の食事については警察署と契約した地元の仕出屋、食堂、弁当チェーン店等の業者が警察署に配達する弁当が提供される[6]。
- 被疑者の食事は警察側が用意することが法律で定められており、公費で提供されているため、警察署で出される弁当は「官弁」(かんべん)と呼ばれる[7]。
- 留置場で提供される官弁は、すべて無料である。被疑者の食費は留置場内の電気や水道といった光熱費と共に警察署の運営費用として計上されている[8]。
- 官弁の値段は1食400円前後で、検察庁に身柄が送られるまでは警察の管轄、身柄を送られた後は法務省の予算が充てられる[6]。
- 被疑者が官弁に不満があるなどの場合には自費で弁当を注文することも可能で、そうした注文弁当は「自弁」(じべん)と呼ばれる[7]。
接見

- 外部との接見は面会室で行う。
- 弁護人(弁護士)との接見に関しては秘密交通権が認められているため警察官の立会は行われずいつでも行うことができる。
- その他の外部者との接見に関しては指定時間内に警察官の立会いの下で行われる。
- 裁判所より接見禁止とされた場合は弁護人以外(ジャーナリストや家族)との接見が許可されない。
- 警察官立会いの接見の場合はたとえ外国人同士であろうと日本語の使用となる。
- 同様に外部との信書のやりとりも外国語によるものが認められない。
- 物品のやり取りを「交通」と称す。外部から内部への移動は「差入れ」、内部から外部への移動は「宅下げ」と称す。
- 差入れ可能な物品は警察署ごとに異なるが衣類や書籍、一部の日用品に限定される。
- 自殺防止のためヒモまたはヒモ状の物品はもちろん、女性用ブラジャーなども差入れることはできない。
- 薬も差入れることはできない。
- 留置場には常備薬が備えられており、警察官に申し出れば、風邪薬、下痢止め、頭痛薬などの簡単な薬を処方してもらえる[9]。
- あくまでも市販薬を処方するだけで、医療機関から処方してもらい日常的に服用している薬があれば、医療機関まで護送してもらい、医師に処方してもらうことになる[9]。
- 被留置者の診療は基本的に警察医が行い、警察医による診療が困難な場合は、警察署の判断で医療機関を選定している[10]。
- 医療費は警察署内ノ留置場ニ拘禁又ハ留置セラルル者ノ費用ニ関スル法律に基づき公費負担となるため、自由診療により行われている[10]。
検察送致
釈放
- 勾留期限が満了となる場合、私物を封緘した紙袋に入れ順送され、手続き完了後に検察庁にて釈放される。
- 検察による中間質問または裁判官による勾留質問で釈放となった場合、逆送された後に警察署にて釈放される。
その他


- 留置場の出入り口は分厚い鉄扉で施錠され、扉の開閉は警察官の監視下で行われる。収容者に開閉の様子が見えないように扉とは違う方向の壁に立たされる[5]。
- 収容者が生活する留置場の居室は、三畳程度の広さであり、基本的には雑居と言われる共同室で、6名ほどの定員となっている[12]。
- 居室内は畳、あるいはカーペットが敷かれ、トイレは周囲を壁で囲ったボックス型になっている[12]。
- 留置場は施設によって差があるものの、原則として成人男性、少年、女性はそれぞれ居室が完全に分けられている[13]。
- 刑事施設の中でも徹底した自殺防止対策が施され、厳しい衣類制限のほかにも、警察官が定期的に留置場内を隅々まで巡回し、居室内での収容者の様子を監視している[13]。
- 自殺や逃走などの危険性が高い収容者は「特異被留置者」、「特別要注意被留置者」に指定される。
- 特異被留置者の場合は巡回が強化され、扉を開閉する際にも鍵を強奪される危険を防ぐために複数の警察官で対応する。特別要注意被留置者は、警察官が居室の前に椅子を置いて24時間体制で対面監視を行う[14]。
- 毎日一定時間にニュースや音楽などラジオ番組を聴くことも可能[15]。
- 無料で新聞や備え付けの本を読むこともできる[15]。
- ただし収容者が関係した事件に関する記述は検閲(一部学説の定義による)により墨塗りとされる。
- 収容者は、名前ではなく留置番号で呼ばれる[5]。
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脚注
関連項目
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