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箙 (数学)

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箙 (数学)
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数学、特に結合代数表現論において(えびら)あるいはクイバー: quiver)とは、多重辺とループを許す有向グラフのことである。P. Gabrielフランス語版によって1972年に導入された[1]代数的閉体上の任意の有限次元代数は、ある箙から定まる道代数の商代数と森田同値になる (Gabriel)。

定義

集合 V, E と写像 s, t: E V が与えられたとき、組 Q = (V, E, s, t)という[2]。このとき V の元を頂点E の元をあるいはという。また辺 α E に対して頂点 s(α)始点t(α)終点という。 (V, E)(Q0, Q1)(I, Ω) とも書かれ、s, tout, in とも書かれる。

頂点集合 V と辺集合 E が共に有限集合のとき、箙 Q有限であるという。また、各頂点を出入りする辺が有限個であるとき、箙は局所有限であるという。

辺の列 α1, , αn E が条件 t(αi) = s(αi + 1) (1 i < n) を満たすとき、辺の列 α1, , αnという。このとき n 1道の長さ、頂点 a = s(α1)道の始点b = t(αn)道の終点という。この道を記号で以下のように表す。

ここで、頂点 v V のことを便宜的に長さが 0 の(自明な)道といい、その始点と終点は v と定める。上と同様にこれを (v||v) と表す。

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道代数

要約
視点

Q に対して、長さ 0 以上の道からなる集合を基底とする k 上の自由線型空間kQ とおく。ここで道 (a|α1, , αn|b)(c|β1, , βm|d) に対して以下のように積を定める。

この代数 kQ道代数: path algebra)という[3]

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頂点集合 V{1, , n}, 辺集合 E{α1, , αn1}, s(αi) = i + 1, t(αi) = i とおく。通常、箙 Q = (V, E, s, t) は以下のように図示される。

このとき、道代数 kQn 次下三角行列のなす代数と同型である[4]

また頂点集合 V を一点集合 {1}、辺集合 E{α1, , αn}, s(αi) = 1, t(αi) = 1 とおく。このとき、道代数 kQ自由代数 kx1, , xn と同型である。

箙の表現

(I, Ω)表現とは,I-次数付きベクトル空間 (Vi)i I と線型写像 (φα: Vout(α) Vin(α))α Ω の組である.

この表現 V が有限次元であるとは,各ベクトル空間が有限次元であることであり,このときその次元ベクトル dim V とは (dim Vi)i I のことである。

2つの表現の間のは適切な整合条件を満たす線型写像の組であり、表現の全体はアーベル圏をなす。

とくに oriented cycle をもたない有限な箙については,その単純加群直既約射影加群、直既約移入加群が極めて容易に分類できる。

有限群群環の場合と同様、箙の表現から道代数の表現を作ることができ、逆に道代数の表現から箙の表現が得られる。

有限次元代数の表現論との関係

有限な箙 Q のすべての辺から生成される道代数 kQ両側イデアルR とおく。このとき、道代数 kQ の両側イデアル I認容的: admissible)であるとは、

となる自然数 m 2 が存在することをいう[5]

代数的閉体 k 上の任意の有限次元代数 A に対して、有限な箙 Q とその道代数 kQ の認容的イデアル I が存在して、有限次元代数 A は商代数 kQ/I森田同値である[6]

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ガブリエルの定理

ガブリエルの定理は、有限な箙の表現とディンキン図形とを結びつける[7]

脚注

参考文献

関連項目

外部リンク

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