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経験主義の二つのドグマ
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「経験主義の二つのドグマ」(けいけんしゅぎのふたつのドグマ、Two Dogmas of Empiricism)は、アメリカの哲学者 W・V・O・クワインの論文。1950年にアメリカ哲学会で講演として発表された。その後、1951年には雑誌『The Philosophical Review』(英語版)に掲載され、1953年には論文集『論理的観点から』に収録された[1][2]。
概要
ルドルフ・カルナップに代表される論理実証主義の立場を「経験主義」と呼び、その考えに2つの非経験的なドグマ(根拠のない主張)が含まれているとして批判するという内容である。そのドグマは次の通りである。
- 分析的な真理(意味に基づく真理)と総合的な真理(事実に基づく真理)の間には明確な区分がある(英語版)
- 還元主義(有意味な言明は、直接経験を指示する語を基盤とした論理的構成物と等値であるとする考え)が成り立つ
クワインは、この2つのドグマを捨て去ることで、思弁的形而上学と自然科学の間の境界をぼやけさせ、また、プラグマティズムへの転換がなされると主張する[3]。
背景
クワインがハーバード大学の講師を務めていた1940年、彼は同僚であるカルナップらとともに研究会を定期的に開いていた。研究会でカルナップの著書『意味論序説』(Introduction to Semantics)の草稿を検討することになった際、クワインは分析命題に対する疑念を表明した。このことがきっかけとなり、分析命題をめぐる論争が数回に渡って続けられた[4]。分析命題に関するカルナップの立場は「規約による真理」または「規約主義」(英語版)と呼ばれるものである。規約主義は、ルイス・キャロルの対話篇『亀がアキレスに言ったこと』で指摘された無限後退の問題を抱えており、クワインの疑念もこれに関連するものであった[5]。
構成
本論文は次の6つの節から構成される[6]。
- 分析性の背景
- 定義
- 交換可能性
- 意味論的規則
- 検証理論と還元主義
- ドグマなき経験主義
脚注
参考文献
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