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給与等級 (アメリカ軍)

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給与等級 (pay grade)とはアメリカ軍の8個の武官組織(陸軍海兵隊海軍空軍宇宙軍沿岸警備隊公衆衛生局士官部隊海洋大気庁士官部隊)によって使用されている、軍人階級に基づく給与を決定する等級のことである。階級は八武官組織でそれぞれ異なるシステムが使用されているが、給与等級は統一されているため、異なる武官組織の軍人の間で素早く相手方の勤続年数や地位を把握することができる。軍人の基本給や手当等の資格を認定するために不可欠な要素となっている。

概要

要約
視点

給与等級は、下士官(E)、准士官(W)、士官(O)の3つのグループに分かれている。下士官の給与等級はE-1からE-9、准士官の給与等級はW-1からW-5、士官の給与等級はO-1からO-10となっている。ただし八武官組織において全ての給与等級が使用されているわけではなく、例えば沿岸警備隊はW-1からW-5全ての等級を使用できると法令に定められているがW-1とW-5の等級は使用されていない。海軍でも以前まではW-1の等級は未使用であり、空軍では1959年以降、新たな准士官の任命を中止している(空軍において最後の准士官が1992年に退役しているため、その年までは使用されていた。)。また、公衆衛生局士官部隊海洋大気庁士官部隊は、下士官と准士官の給与等級を使用することが認められているが、実際には未使用のままとなっている。なお八武官組織には含まれていないが、海事局(海事局に勤務する士官、アメリカ商船アカデミー(USMMA)と6つの国立海事アカデミーに職員及び教官として勤務する海事局士官)においても使用されている。しかし現在、下士官と准士の新規採用は行わず、士官のみとなっている。

給与等級O-1、O-2、O-3が適用される士官のうち、以前に下士官又は准士官として4年以上の累積勤務(現在勤務中であっても、既に除隊していても関わらず。)があるものは、給与等級O-1E、O-2E、O-3Eが適用される。ただし、この制度は該当士官の階級を決定する影響せず、単に以前の下士官や准士官としての経験と技術を認めるための報酬とインセンティブを決定するために使用される。この制度に該当するためには、累積でアメリカ軍現役として1440日間の勤務、または個人準備予備役(reserve inactive duty)としての1440日間の訓練を終えている必要がある。

下士官と士官の間に設定されている准士官の給与等級のうちW-1には、通常、昇進委員会を経ずに、国防長官や各省(陸軍長官海軍長官空軍長官)の長官が大統領から委任された権限を行使して昇進が決まる(実際に昇進委員会が昇進を決定するのはW-2以上となっている。)。もっとも大統領や国防長官、各省長官が昇進委員会を通して昇進を決定する場合もあるが、あまり一般的ではない。給与等級W-1になると准士官となり、法律や規制、組織における伝統的な慣習や儀礼において、士官と同等の特権を有する(憲法において全ての合衆国士官は大統領により任命されるべきことが規定されているため、このW-1に関する例外は統一軍事司法法典(USMJ)や軍法会議マニュアル(MCM)で定められている。)。

士官候補生海軍士官候補生は、大統領によって設置された4つの士官学校(陸軍士官学校海軍士官学校空軍士官学校沿岸警備隊士官学校)の学生であり、かつ、アメリカ軍の正規兵として、現役で奉仕しているが、下士官や准士官としての給与等級や階級は保持していない。アメリカの法律も、長い間、士官候補生や海軍士官候補生の給与等級を定めていない。これは「不完全な士官(inchoate officers)」の任命を定める憲法の条項によって、「定数外の士官(inferior officers)」として任命されるためである。従って最も下級の准士官に劣後し、下士官の階級よりも高い優先順位しか持たないと認識され、かつ、特定の場合を除いて他の軍人(他の士官候補生や海軍士官候補生を含む。)に対する指揮権限を、ほとんど完全に欠いている。あくまでも、士官候補生や海軍士官候補生は、リーダーシップやスキル開発のためアメリカ軍に奉仕しながら、限られた空間で訓練に服すことを任務としているためである。

海事局局長(運輸省)の許可によって、第5の士官学校であるアメリカ商船アカデミー(USMMA)の学生となった者も海軍長官の許可により、海軍予備役たる海軍士官候補生に任官することが可能である。さらに各省(陸軍長官海軍長官空軍長官)の長官は上級予備役将校訓練課程(ROTC)に所属する士官候補生海軍士官候補生を任命することができる。彼らは4つの士官学校(陸軍士官学校海軍士官学校空軍士官学校沿岸警備隊士官学校)に所属する士官候補生や海軍士官候補生とは異なり、予備役として入隊する。アメリカ商船アカデミーやROTCの学生は、特別な任務や許可を与えられることなく「不完全な士官(inchoate officers)」に任命される。4つの士官学校の学生と異なり、許可された訓練期間(通常はアメリカ商船アカデミーでは「シーイヤー(Sea Year)」と呼ばれる期間、またはROTCの場合は大学が夏休みの期間)のみ、それぞれの組織の「定数外の士官(inferior officers)」として現役として奉仕する。このような場合には、4つの士官学校の学生と同様に不明確な優先順位や給与等級の欠如を共有することになる。アメリカ商船アカデミーやROTCの内部要件を超えて(通常、彼らは公的な地位を有さない。)、より明白な根拠を持つことになり、4つの士官学校の学生と同様に、緊急時での軍隊の派遣や当局の要求がある場合などは、学生としての地位を超えて、部隊の指揮を執るなどの任務に就く可能性もある。

なお、所属を問わず士官候補生や海軍士官候補生の基本給は、月額1,217.10ドルで、これは2022年1月1日より適用されている。勤続年数が2年未満の給与等級O-1の士官の月額基本給の35%に相当する金額となる。

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NATO階級符号との対応

給与等級は、NATOの階級符号に対応している。給与等級E-1はNATO階級符号OR-1に、給与等級E-2はNATO階級符号OR-2に、それぞれ相当する。ただしO-1とO-2の給与等級は、NATO階級符号ではOF-1に対応するため、士官の給与等級はO-1を除き、NATO階級符号より数字が1つ大きくなっている。従ってO-3はOF-2に、O-4はOF-3に、それぞれ相当する。アメリカの准士官の給与等級(W-1からW-5)は、NATO階級符号でWO-1からWO-5に相当する。しかし、このカテゴリーのNATO階級符号は、アメリカが導入している唯一の例となっている。

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その他

かつて士官の最高位の等級としてO-11が存在したが、これは1981年にオマール・ブラッドレー陸軍元帥が死去した以来は使用されていない。現在は、O-10 (Five-Star General) が最高の給与等級とされており、アメリカ軍の士官について規定した合衆国法典第10編や、軍人の賃金に関する各種の文書の中でO-11に関する記述はなく、廃止されている。

公衆衛生局士官部隊では、2004年10月に「公衆衛生局士官部隊を長期的に支援するための准士官を設立するプログラム」を開始した。しかし2014年2月1日現在、プログラムは開発中である。

脚注

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