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胎児危険度分類
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胎児危険度分類(英語: Pregnancy category)は、医薬品による胎児傷害の危険性に対する見積もりであり、妊婦が用いた場合を想定している。つまり、人乳中へ移行した薬剤に対する危険性を扱うものではないし、医薬品に伴う全ての危険性を扱うものでもない。類似する分類として授乳危険度分類という指針がある。
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日本における公的な胎児危険度分類は存在しない。このため、国内の実地診療ではアメリカ食品医薬品局 (FDA) による分類や、オーストラリアの分類などを参考に判断されることが多い。添付文書における文言の僅かな差異は、胎児に対する危険度を含意する内容になっているが、統一的な危険性の階層化が成されていない。虎の門病院は独自の基準を公表している。
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アメリカ合衆国における基準
要約
視点
1979年、アメリカ食品医薬品局 (FDA)は、医薬品の胎児に対するリスク分類を導入した。これはスウェーデンで、その1年前に導入された分類基準を基礎にしている。
FDAの胎児危険度分類基準は以下のようになっている。(理解の助けになるよう、英語の成文を併記するので参照されたし。)
FDA分類の欠点の一つは、カテゴリーAとして定義される薬物に対して、非現実的な量の、しかも質の高いデータを要求している点である。その結果、他の国でカテゴリーAに分類される多くの薬剤がFDA分類ではカテゴリーCに含まれている。
新規PLLR規則
2014年12月3日、アメリカ食品医薬品局(FDA)は妊娠および授乳に関する添付文書への記載規則(Pregnancy and Lactation Labeling (Drugs) Final Rule (PLLR))を公表した。[1]この規則では従来 8.1 Pregnancy に記載されていた胎児危険度分類(Pregnancy Category)は削除されるとしている。この規則は2015年6月30日より施行され、これ以降に提出される処方薬およびbiological製品の添付文書はPLLRの新形式に従う必要がある。なお2001年6月30日以降に承認された処方薬およびbiological製品については徐々に変更を行うとしている。なお、一般用医薬品(OTC医薬品)については本規則は適用外である。
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オーストラリアにおける基準
オーストラリアはわずかに異なる分類を採用している。注意するべきなのは、カテゴリーBが細分されていることである。この分類はオーストラリア薬物評価委員会 (ADEC) の先天異常小委員会によって作られた。
カテゴリーBの亜分類は、危険性と投与による利益を考える上でのより多くの情報を供給しているが、それ自体として情報の信頼性の問題を伴っている。つまり、この亜分類は人間の情報を欠いているケースでは、動物実験のみに基礎を置く情報になるからである。さらに言うならば、カテゴリーBへの位置づけが、必ずしもカテゴリーCよりも安全であるとは言えないことに注意するべきである。
注意が必要であるが、カテゴリーDは妊婦への絶対禁忌ではない。必要に迫られ、注意して処方されることが有り得る。
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日本における基準
日本では、上述のように明確な分類はなされていない。添付文書やインタビューフォームには、
- 妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
- 授乳中の婦人には投与しないことが望ましいが、やむを得ず投与する場合には、授乳を避けさせること。
といった表現がほとんどとなっている。
国立成育医療研究センターの「妊娠と薬情報センター」が、厚生労働省の事業として平成17年(2005年)に設置され、相談・情報収集を実施している。問診票などの必要書類を郵送後、電話、全国46カ所の拠点病院にある「妊娠とくすり外来」への相談、主治医のもとでの相談が可能となっている。地域の病院や薬剤師会などでも相談は受け付けている。
「妊娠と薬情報センター」では、「授乳中に安全に使用できると思われる薬」「授乳中の治療に適さないと判断される薬」がリスト化されている。また、虎の門病院では毎週木曜日午後「妊娠と薬」外来を開設し、妊娠前、妊娠中、授乳中に内服している薬が胎児や赤ちゃんに対して及ぼす影響について医師が説明している[2]。
代表的な薬物のカテゴリー例
この記載は執筆時点の情報であり必ずしも最新の情報では無い可能性がある。新しい資料を参照することが望ましい。
前述のとおり日本には胎児危険度分類が無いので、類似する情報として授乳中の情報を併記した。
※, 妊娠と薬情報センターの「授乳中に安全に使用できると思われる薬」に記載があるものを「安全」と表記した。なお、「授乳中の治療に適さないと判断される薬」はアミオダロン、コカイン、ヨウ化ナトリウム(123I)、ヨウ化ナトリウム(131I)のみが記載されている。
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出典
関連項目
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