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補体依存性細胞傷害

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補体依存性細胞傷害(ほたいいそんせいさいぼうしょうがい、: complement-dependent cytotoxicity、CDC)は、IgG抗体およびIgM抗体のエフェクター機能である。抗体が標的細胞(細菌やウイルスに感染した細胞など)の表面抗原に結合すると、これらの抗体に結合したタンパク質C1q英語版によって補体系の古典経路が作動し、膜侵襲複合体(MAC)が形成され、標的細胞が溶解することになる。

補体系は、ヒトのIgG1、IgG3、IgM抗体によって効率的に活性化され、IgG2抗体では弱く、IgG4抗体では活性化されない[1]

治療用抗体[2]や抗体断片[3]が抗腫瘍効果を発揮するための作用機序の一つである[4][5]

CDCアッセイの利用

要約
視点

治療用抗体

抗腫瘍性の治療用抗体を開発するには、標的細胞を殺すためのCDC誘発能力を含む、抗体のエフェクター機能をin vitro で分析する必要がある。古典的なアプローチは、抗体を標的細胞および補体源(血清)と共にインキュベートすることである。その後、いくつかの方法で細胞死を測定する。

放射能法
CDC測定の前に標的細胞を51Cr英語版で標識すると、細胞溶解(細胞死)時にクロムが放出され、その放射能量を測定する[6][7]
生細胞の代謝活性の測定(生細胞染色)
標的細胞を抗体や補体とインキュベートした後、細胞膜を透過する色素(カルセイン英語版AM[7][8]レサズリン[6][9]など)を添加する。生きている細胞はこれを代謝して、フローサイトメトリーで検出できる不透過性の蛍光生成物を作る。この生成物は、代謝が不活発な死細胞では形成されない。
放出された細胞内酵素の活性測定
死細胞が酵素LDHGAPDHなど[6])を放出し、その基質を加えると色の変化が起こり、通常は吸光度蛍光の変化として定量される。
死細胞の染色
(蛍光)色素が死細胞の損傷した細胞膜を通して死細胞内に入り込む。例えば、ヨウ化プロピジウム英語版は死細胞のDNAに結合し、フローサイトメトリーで蛍光シグナルが測定出来る[6]

HLA型判定・交差適合試験

CDC検査は、臓器や骨髄の移植に適したドナー、すなわちMHCであるHLA表現型が一致するドナーを見つけるために行われる[10]。まず、患者とドナーのHLA表現型を決定するために、HLA型判定が行われる。適合する可能性のあるペアが見つかると、患者が移植片拒絶反応を引き起こす可能性のあるドナー特異的な抗HLA抗体を産生することを排除するために、交差適合試験が行われる。

CDC方式のHLA型(血清型)では、特徴付けられた同種間ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体から成る抗HLA抗体のバッチを使用する。これらの抗体は、患者またはドナーのリンパ球および補体源と1つずつインキュベートされる。死細胞の量(つまり陽性結果)は、死細胞または生細胞の染色によって測定される。最近では、CDC型判定に代わって、PCRによってHLA分子のヌクレオチド配列を特定する分子型判定が行われている[10]

CDC法は通常、交差適合試験に用いられる。基本的には、患者の血清をドナーのリンパ球とインキュベートし、ウサギの補体を加えた後に2回目のインキュベートを行う。死細胞の存在(陽性)は、ドナーがこの患者に適していないことを意味する。検査感度を上げるためには、最小培養時間の延長、抗ヒトグロブリン英語版(AHG)の添加、補体添加前の未結合抗体の除去、T細胞B細胞のサブセットの分離などの改良が可能である。CDC交差適合試験以外にも、より感度が高く、補体非活性化抗体も検出できるフローサイトメトリー交差適合試験もある[11]

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関連項目

参考資料

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