場の生成消滅演算子
に対し、

で定義される相関関数を1粒子密度行列という。ここで、期待値<…>は密度演算子
による対角和
で与えられるものである。1粒子密度行列の対角成分
は、粒子数密度である。一方、非対角成分
は、系が純粋状態の場合には、ある状態から位置
にあった粒子を消し、位置
に加えた状態への確率振幅に相当する。
ここで、非対角成分において、2点
の距離が離れた極限で

を満たすとき、系は非対角長距離秩序(ODLRO)を持つという。こうした性質は1粒子密度演算子の最大固有値が全粒子数のオーダー程度に大きいことを意味する。固体結晶の持つ対角的な長距離秩序とは本質的に異なり、ODLROは量子力学的なコヒーレンスで生じる長距離相関によってもたらされるものである。
1粒子密度行列の振る舞いを具体的に見るために、場の演算子を、

と波数
でフーリエ展開すると、系が空間的に一様で並進対称性を持てば、1粒子密度行列は

と表すことができる[4]。但し、
であり、第二式から第三式の移行では、波数
の成分とそれ以外の成分の項を分けている。
とする極限をとると第二項の指数
は激しく振動し、打ち消しあいゼロとなるため、

が成り立つ。粒子数密度
を一定に保ったまま、全粒子数
と体積
を無限大とする熱力学的極限で、
が消えずに残り、ODLROが現れるには、
が粒子数に比例して増えなくてはならない。フェルミ粒子系の場合、パウリの排他律により、
であるから一粒子レベルではODLROを持たない。一方、ボース粒子系の場合、波数
の状態にボース=アインシュタイン凝縮すると、全粒子数に比例して
が増えるため、ODLROが生じることになる。