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1.1.1-プロペラン
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[1.1.1]プロペラン ([1.1.1]propellane) は、有機化合物であり、最も単純なプロペランである。化学式C5H6またはC2(=CH2)3の炭化水素である。3つの三員環が1つのC-C結合を共有する分子構造を持つ。
[1.1.1]プロペランは、非常に歪みが大きい分子である。2つの中央炭素原子の結合は、逆四面体型であり、中央の結合の長さは160 pmである。結合の強さには議論があり、59-65 kcal/molから強度は全くないという説まである。ビラジカル状態のエネルギーは、80 kcal/mol高いと計算されている。この化合物は非常に不安定で、114℃になると、5分の半減期で自発的に3-メチレンシクロブテンに異性化する。歪みエネルギーは、102 kcal/molと推定されている。
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合成
[1.1.1]プロペランは、1982年にケネス・ワイバーグとフレデリック・ウォーカーによって、以下のスキームで初めて合成された[2]。
まず、ビシクロ[1.1.1]ペンタンの1,3-ジカルボン酸 1がハンスディーカー反応により対応するジブロミド 2に変換され、次に、N-ブチルリチウムとのカップリング反応が生じる。最終生成物 3は、-30℃でカラムクロマトグラフィーによって単離される。
しかし、ずっと単純な合成方法も発表されている[3]。その方法では、まず3-クロロ-2-(クロロメチル)プロペン 6のアルケン結合にジブロモカルベンが付加し、その後、メチルリチウムによって脱プロトン化され、求核置換反応が生じる 7[4]。単離はされず、-196℃の溶液中に留まる。
反応
酢酸付加
[1.1.1]プロペランは自発的に酢酸と反応し、メチレンシクロブタンエステルを生じる(上記の4)。
重合
中央のC-C結合が解離し、隣のモノマー単位と結合することにより、[1.1.1]プロペランは重合し、いわゆるスタファンを形成する[5]。
ギ酸メチルや過酸化ベンゾイルによってラジカル重合が始まり、様々なオリゴマーが生成する。N-ブチルリチウムとのアニオン重合では、完全重合生成物が得られる。ポリマーのX線回折により、繋がったC-C結合の結合長は、わずか148 pmであることが示された。
架橋した[3.3.1]プロペランとみなすこともできる1,3-デヒドロアダマンタンも同様に重合する。
出典
関連項目
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