1914年ウェールズ教会法

1914年ウェールズ教会法（1914ねんウェールズきょうかいほう、英語: Welsh Church Act 1914^[1]）は、イギリスの法律。同法により、イングランド国教会のウェールズとモンマスシャーにおける教区が分離独立して国教としての役割を終え、代わりにウェールズ聖公会が設立された。同法はウェールズの主流派でイングランド国教会への税金支払いに不満を感じていた非国教会派が長らく要求してきた改革であり、自由党が支持し、保守党が反対した^[2]。

1914年ウェールズ教会法

英: Welsh Church Act 1914
議会制定法
イギリス議会
正式名称	An Act to terminate the establishment of the Church of England in Wales and Monmouthshire, and to make provision in respect of the Temporalities thereof, and for other purposes in connection with the matters aforesaid.
法律番号	1914 c. 91
適用地域	連合王国
日付
裁可	1914年9月18日
発効	1920年3月31日 1914年停止法（英語版）により
他の法律
改正	1919年ウェールズ教会(収入)法（英語版） 1938年ウェールズ教会(改正)法（英語版） 1945年ウェールズ教会(墓地)法（英語版）
関連	1869年アイルランド教会法（英語版） 1914年停止法（英語版）
現況: 改正済み
法律制定文
改正法の改訂条文

1914年ウェールズ教会法は論争を呼ぶ施策であり、庶民院を通過したものの貴族院での可決は1911年議会法（英語版）に基づいて行われた。同法により、ウェールズ聖公会は十分の一税を徴収できなくなるものの、教会、資産や教会所属地（英語版）は維持した^[3]。また、イングランドおよびウェールズではなくウェールズとモンマスシャーにのみ適用する法律は当時としては数少なく、その意味でも政治と歴史上の重要性を有した^[4]。

イングランドとウェールズの境界にある小教区20か所ではイングランド国教会の境界に関する住民投票（英語版）が行われ、ランシリン（英語版）以外の19か所が全てイングランド国教会に残ることを選択した。また、貴族院への影響としては、イングランド国教会から離脱した教区の主教は聖職貴族としての貴族院議員の議席を失った。

1914年8月に第一次世界大戦が勃発したため、1914年アイルランド統治法（英語版）とともに9月18日に国王裁可を受けたものの、同時に1914年停止法（英語版）にも裁可が与えられ、停止法に基づきウェールズ教会法とアイルランド政府法は終戦まで施行されないこととなった。そして、ウェールズ教会法は戦後の1920年3月31日に施行され、イングランド国教会のウェールズにおける教区の大半がウェールズ聖公会として独立、ウェールズ大主教（英語版）率いる6主教区という形となった。

1911年議会法（英語版）に基づき制定された法律としては1914年アイルランド統治法（英語版）と並ぶ1件目であり、1911年議会法が次に適用されたのは35年後の1949年議会法、77年後の1991年戦争犯罪法（英語版）となる^[5]。