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Damn Small Linux
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Damn Small Linux (DSL) は、x86パーソナルコンピュータ向けのLinuxディストリビューションである。このディストリビューションは、GNU GPLとその他のFOSSライセンスの下で提供されている。DSLは古いPCのハードウェア上でGUIアプリケーションを実行できるように設計されているが、実際の動作要件は古いオリジナルバージョンとモダンな最新版の間で大きな差異がある。

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概要
大容量のKNOPPIXを逆に極限まで縮めたLinuxのOSで、サイズは50MBほどで、日本語バージョンでも150MBを切る。最低16MBのメモリがあれば動くとされ、64MBあれば立派に動く。 さらに、単なるHDD救済用のディストリビューションとは違い、シンプルなデスクトップで必要とされる基本的な機能はほとんど備えている。
歴史
DSLは当初、ジョン・アンドリュースによって構想され、開発・保守されていた。5年間、ロバート・シングレデッカーもコミュニティに参加し、MyDSLシステム、DSLコントロールパネル、そしてその他の機能を作成した。彼ら主要開発者の間で問題が発生した後、シングレデッカーは(彼自身の説明によれば)プロジェクトから追放された[4] 。彼は現在、2008年4月に自身が制作を始めたTiny Core Linuxの開発を続けている。
DSLは当初、Knoppixの軽量版である22MBのModel-Kをベースとしていたが、その後すぐにKnoppix本体をベースとするようになり、リマスタリングや改良がはるかに容易になった。現在、このディストリビューションはDebianとantiXをベースとしている[5]。
オリジナルのDSL 当初、DSLは486マイクロプロセッサと8メガバイト(MB)のRandom Access Memory(RAM)という非常に小さい構成のマシンをサポートしていた。そのLive CD自体のサイズはわずか50MBであった。50MBという小さなサイズにどれだけの数のソフトウェアを詰め込めるかという実験として始まったこのプロジェクトは、最終的に完全なLinuxディストリビューションへと発展した。Bootable business card、USBメモリ、各種メモリーカード、Zipドライブなど、容量の小さいデータ記憶媒体にもインストールできた。
このバージョンのDSLは2012年に開発が終了し、最後の安定版リリースは2008年であった[6]。
モダンなDSL
2024年、DSLのRC版が公開された。これは12年ぶりのリリースとなった。この新たなバージョンではシステム要件がやや高くなり、最小のディスクサイズの要件も700MBとなっているが、依然として古い32ビットシステムをサポートしている。このバージョンはKnoppixではなく、antiXをベースとしている。
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システム要件
DSLは主にx86アーキテクチャのPCをサポートするよう設計されている。旧バージョンの最小システム要件は、Intel486プロセッサと8MBのRAMだった。DSLは、486プロセッサと16MBのRAMを搭載したシステムで、Dilloによるウェブブラウジング、簡単なゲームの実行、音楽再生などが可能なことが実証されていた。Mozilla FirefoxやOpenOffice.orgなどのオプションのアドオンを使用する場合は、より高いシステム要件が必要になる。
機能
要約
視点
2008年11月18日にリリースされたDSLバージョン4.4.10には、以下のソフトウェアが含まれていた。
- テキストエディタ: Beaver、Nano、Vim
- ファイルマネージャ: DFM、emelFM
- グラフィック: mtPaint(ラスター画像エディタ)、xzgv(画像ビューアー)
- マルチメディア: gphone、MPEG-1およびビデオCD(VCD)対応のXMMS
- オフィス: Siag Office(表計算ソフト)、スペルチェッカー付きTed(文書作成)、Xpdf(PDFビューア)、AbiWord、Gnumeric
- インターネット:
- Webブラウザ: Dillo、Firefox、Netrik
- Sylpheed(メールクライアント)
- naim(AOL Instant Messenger(AIM)、ICQ、IRCクライアント)
- AxyFTP(File Transfer Protocol (FTP)クライアント)、BetaFTPD(FTPサーバー)
- Monkey(Webサーバー)
- Server Message Block(SMB)クライアント
- Rdesktop(Remote Desktop Protocol (RDP)クライアント)、Virtual Network Computing(VNC)ビューア
- その他: DHCPクライアント、Secure Shell (SSH)およびSecure copy protocol (SCP)クライアント/サーバー、Point-to-Point Protocol (PPP)、PPPoE、ADSLサポート、FUSE、Network File System (NFS)、SSHFS サポート、UnionFS、汎用およびGhostscript印刷サポート、PCカード、USB、Wi-Fiサポート、電卓、ゲーム、システムモニタ、多数のコマンドラインツール
DSLには、APT(Advanced Packaging Tool)をダウンロードしてインストールするためのスクリプトが組み込まれている。APTを有効にすると、ユーザーはDebianのリポジトリからパッケージをインストールできる。また、DSLは、MyDSLシステムを通じて、OpenOffice.orgやGCCなどの大規模アプリケーションからaMSNのような小規模アプリケーションまで、幅広いソフトウェアを提供している。MyDSLシステムでは、ソフトウェアをワンクリックで簡単にダウンロードしてインストールすることが可能である。MyDSLで提供されているファイルは拡張機能(英語: extensions)と呼ばれる。2008年6月時点で、MyDSLサーバーには900以上のアプリケーション、プラグイン、その他の拡張機能がホストされていた。
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ブートオプション
DSLでは、ブートオプションは「チートコード」とも呼ばれている。ハードウェアの自動検出が失敗したり、ユーザーがデフォルト設定(言語、キーボード、VGA、セーフモードグラフィック、テキストモードなど)以外の設定を使用したい場合などに、チートコードを使用する。DSLでは、起動プロンプトで1つ以上のチートコードを入力できる。何も入力しない場合は、デフォルトの設定で起動する。チートコードは、多くの自動検出機能やハードウェア設定に影響を与える。また、多くのチートコードはGUIにも影響する。チートコードの一覧は、起動時の画面およびDSL Wikiで確認が可能である。
MyDSLシステム
MyDSLは主にロバート・シングレデッカーによって管理・保守され、ibiblioやベルギーのBELNETなど、多くの組織によってホストされている。MyDSLには、通常版とテスト版という2つのエリアが存在する。通常版には日常的な使用に十分な安定性が確認された拡張機能が収録されており、アプリ、ネットワーク、システム、uci(Universal Compressed ISO - .uci形式の拡張機能は、RAM使用量を最小限に抑えるため個別のファイルシステムとしてマウントされる)などのカテゴリに分類されている。テスト版は、理論的には十分に動作するものの多数のバグが含まれている可能性のある、新しく投稿された拡張機能のためのエリアである。
バージョンと移植
公開年表
移植版と派生版
DSLは、Xbox(初代)向けにX-DSLとして移植された。X-DSLの使用には、改造されたXboxが必要である。Live CDとして起動することも、XboxのHDDにインストールすることも可能である。X-DSLのユーザーは、ファンタシースターオンラインに付属しているUSBアダプター(Xboxのメモリーカードスロットに接続し、USB 1.1ポートを1つ備えている)を使用して、USBメモリからX-DSLを起動することもできる。X-DSLはX11ベースのGUIで起動し、Xboxコントローラーを使用してマウスポインターを操作したり、仮想キーボードを使ってテキストを入力したりすることができる。X-DSLはFluxboxデスクトップ環境を採用しており、メール、ウェブブラウジング、文書作成、音楽再生などのソフトウェアが利用できた。X-DSLは、DSLと同じMyDSLサーバーから拡張機能をダウンロードすることでカスタマイズすることも可能であった。
Damn Small Linuxから派生したLinuxディストリビューションには、2005年にリリースされた囲碁ゲームを実行するCDイメージに使用されたHikarunix[9][10]や、Damn Vulnerable Linux、DSL-Nなどがある。DSL-Nはカーネルが2.4から2.6へ変更され、ソフトウェアの量が増やされた結果、イメージサイズが80MBほどに増量した派生であった。そのため動作もDSLほど軽量ではなく、開発者も「DSL-NはDSLではない」とした。
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Live USB
Damn Small LinuxのLive USBは、手動またはUNetbootinなどのアプリケーションを使用して作成できる[11] 。詳細は「ブータブルUSB作成ツール一覧」を参照。
現状
プロジェクトの発起人・主要開発者間の意見の相違と和解困難な対立を理由として、DSLの開発は長期間停滞し、プロジェクトの将来は不透明な状態が続き、多くのDSLユーザーを落胆させてきた[4] 。
2012年7月8日、最初の開発者であるジョン・アンドリュースは、DSLの新しいリリースが開発中であることを発表した。そして、一度はアクセス不能だったフォーラムを含むDSLのウェブサイトも復活した[12]。新バージョンである4.11の最初のリリース候補版(RC)は同年8月3日に公開され[13]、続いて同年9月26日に2番目のRC版が公開された。
2024年2月1日、DSL 2024 Alpha 1が発表され、プロジェクトのウェブページで公開された[14][15]。同年5月22日には、DSLフォーラムに「リリース候補版4が利用可能になりました」という投稿が行われた[16]。
脚注
関連項目
外部リンク
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