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インターロイキン-2受容体
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インターロイキン-2受容体(英: interleukin-2 receptor、IL-2R)は、リンパ球など特定の免疫細胞の表面に発現しているヘテロ三量体型タンパク質であり、IL-2と呼ばれるサイトカインを結合して応答する受容体である。
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構成
IL-2が結合するIL-2受容体は、3種類のタンパク質のさまざまな組み合わせによって構成される。構成する3種類のタンパク質はそれぞれα鎖(IL-2Rα、CD25、Tac antigen)、β鎖(IL-2Rβ、CD122)、γ鎖(IL-2Rγ、共通γ鎖、γc、CD132)と呼ばれることが多い。β鎖、γ鎖は、それぞれ他のサイトカイン受容体の一部となる場合もある[1]:713。
さまざまな細胞種において、これら3つの受容体鎖は個別に異なる発現をしており、さまざまな組み合わせや順序で組み立てられることで、低親和性、中親和性、高親和性のIL-2受容体が形成される。α鎖はIL-2を低親和性(Kd ~ 10−8 M)で結合し、活性化されたリンパ球に発現している。β鎖とγ鎖の組み合わせはIL-2を中親和性(Kd ~ 10−9 M)で結合し、主にメモリーT細胞やNK細胞に発現している。3つ全ての受容体鎖が共に発現している場合に高い親和性(Kd ~ 10−11 M)でIL-2を結合する複合体が形成され、活性化されたT細胞や制御性T細胞上に存在する。中親和性と高親和性の受容体は機能的であり、IL-2が結合した際に細胞に変化を引き起こす[2]。
IL-2が高親和性受容体に結合した際に形成される安定な複合体の構造は、X線結晶構造解析によって決定されている。この構造は、IL-2がまずα鎖に結合し、その後β鎖がリクルートされ、最後にγ鎖がリクルートされるというモデルを支持している[2][3][4]。
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シグナル伝達
IL-2受容体を構成する3つの鎖は細胞膜を貫通して細胞内へ伸びており、細胞内部へ生化学的シグナルを伝達している。α鎖はシグナル伝達には関与しないが、β鎖はJAK1と呼ばれるチロシンキナーゼと複合体を形成し、γ鎖はJAK3と呼ばれる他のチロシンキナーゼと複合体を形成する。JAK1やJAK3は、IL-2がIL-2受容体の細胞外ドメインに結合することで活性化される。そしてその結果、MAPK経路、PI3K経路、JAK-STAT経路と呼ばれる3つのシグナル伝達経路が細胞内で開始される[2][3]。
IL-2が高親和性受容体に結合すると、リガンド-受容体複合体は迅速にインターナリゼーションされるため、シグナルが伝達されるのは短い期間のみである。その後、IL-2とβ鎖、γ鎖は迅速に分解されるが、α鎖は細胞表面へリサイクルされる。IL-2やその受容体の濃度によって、T細胞の免疫応答の速さ、強度や範囲が決定される[2][3]。
IL-2とその受容体は、主にT細胞に対する直接的作用によって、免疫やその寛容に重要な役割を果たしている。T細胞の成熟が行われる胸腺では、これらは特定の未成熟T細胞を制御性T細胞への分化を促進することで、自己免疫疾患を防いでいる。また、T細胞が抗原による刺激も受けた場合には、IL-2/IL-2RはエフェクターT細胞やメモリーT細胞への分化を促進する[2]。T細胞の免疫記憶の形成は抗原によって選択されたT細胞クローンの数や機能の拡張に依存しており、IL-2/IL-2Rはこうした役割を通じて細胞性免疫の持続に重要な役割を果たしている[2][3]。
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臨床との関係
出典
関連項目
外部リンク
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