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恋をするなら (ビートルズの曲)
ビートルズの曲 ウィキペディアから
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「恋をするなら」(こいをするなら、原題 : If I Needed Someone)は、ビートルズの楽曲である。イギリスでは1965年に発売された6作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『ラバー・ソウル』に収録され、アメリカでは1966年に発売されたキャピトル編集盤『イエスタデイ・アンド・トゥデイ』に収録された。作詞作曲はジョージ・ハリスンで、作曲の面ではバーズの影響を受けていて、音楽評論家からは肯定的な評価を得ている。
本作は翌年にハリスンの妻となったパティ・ボイドに向けて書かれた楽曲で、3声のハーモニーとリッケンバッカー・360/12で演奏されたギター・パートが特徴となっている。『ラバー・ソウル』発売後に行なわれたイギリスツアーで演奏され、ビートルズのライブで演奏された唯一のハリスンの作品となった。
『ラバー・ソウル』と同日にホリーズによるカバー・バージョンが発売され、全英シングルチャートで最高位20位を記録したが、ハリスンはホリーズによるカバー・バージョンに対して否定的な評価をしている。後にステンドグラスやザ・キングスメンらによってカバーされ、ハリスンも1991年にエリック・クラプトンと行なった日本公演で演奏している。
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背景・曲の構成
ハリスンのインドの伝統音楽への関心の反映に加え[4]、「恋をするなら」はバーズの影響を受けた楽曲となっている。バースは、1964年に公開されたビートルズ主演の映画『ハード・デイズ・ナイト』に触発され、自分たちの音楽に対してビートルズの演奏スタイルなどを取り入れた[5][6]。1965年8月初旬にバーズとビートルズ間での交流が始まり[7]、同月下旬にハリスンはデヴィッド・クロスビーと会話をし、その中でシタール奏者のラヴィ・シャンカルの名が挙がった[8]。以降、ハリスンはインドの伝統音楽や古代のヒンドゥー教の教えへの関心を深めていき、1966年にはインドに渡ってシャンカルに師事してシタールの演奏を習得した[9][10]。
曲中におけるギター・パートはDのポジションで演奏され、本作についてハリスンは「世の中にごまんとあるDコードスタイルの曲。少し指を動かせばあのフレーズになる」と語っている[11]。フォークロック調の楽曲で[2]、一部インドの伝統音楽の影響が見られる[12]。なお、ハリスンはバースの「リムニーのベル」のリフに触発されて本作を書いており、ドラム・パートは同バンドの「シー・ドント・ケア・アバウト・タイム」から一部拝借している[13]。歌詞について、ハリスンは「(翌年に妻となった)パティ・ボイドに向けたラブソングとして書いた」と語っている[14][15]。
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レコーディング
アルバム『ラバー・ソウル』のレコーディング・セッションでは、プロデューサーのジョージ・マーティンが「『ラバー・ソウル』は、成長を続ける新しいビートルズを世界に向けて発表した初のアルバム[16]」と評するように録音技術の革新が行われた[17]。「恋をするなら」においては、『ラバー・ソウル』のためのセッションの最後にレコーディングされたレノン作の「ガール」と同様に、ギターのネックの中間ほどにカポタストをつけて演奏することで、楽曲により明るい印象を持たせた[18]。
「恋をするなら」のレコーディングは、1965年10月16日にEMIレコーディング・スタジオで開始され、同日にリズムトラックが1テイクで録音された[19]。本作のレコーディングでハリスンは、1965年製のリッケンバッカー・360/12を使用した[20]。ポール・マッカートニーは、「レイン」をはじめとした1966年にレコーディングされた楽曲でも確認できるオスティナートを多用したベース・パート[21]をリッケンバッカー・4001S[22]で弾いている。
10月18日にボーカルのオーバー・ダビングが行われた[23][24]。間奏やエンディングで聞けるハーモニー部分では、マッカートニーが高音部、レノンが低音部を歌っている。同日のセッションでリンゴ・スターはタンバリンのパートを加えた[23][24]。なお、本作のレコーディングに関して、「マーティンがハーモニウムを演奏した」とする文献も存在している[12]。
10月25日にモノラル・ミックスが作成され、翌日にステレオ・ミックスが作成された[25]。
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リリース・評価
「恋をするなら」は、1965年12月3日にパーロフォンから発売された[26]オリジナル・アルバム『ラバー・ソウル』のB面6曲目に収録された[27]。アメリカで発売された『ラバー・ソウル』では、当時の慣習により収録内容が変更されたことにより未収録となり[28][29]、翌年6月に発売されたキャピトル編集盤『イエスタデイ・アンド・トゥデイ』に収録された[30]。本作は、ハリスンがこれまでに書いた楽曲の中で最高の楽曲とされ[4][31]、オールミュージックのリッチー・アンターバーガーは本作と「嘘つき女」について「実に人々を奮い立たせる曲」と評し[1]、『ニュー・ミュージカル・エクスプレス』誌のアレン・エヴァンスは「テンポの速いアップビーター」「繰り返し聞きたくなる楽曲」と評している[32][33]。なお、マッカートニーは本作を「ハリスンがバンドのために初めて書いた“画期的”な曲」としている[34]。
1965年12月に行なわれたイギリスツアー以降、カール・パーキンスのカバー曲「みんないい娘」に代わるハリスンのボーカル曲として演奏され[35][36]、1966年に日本武道館で行われた来日コンサートでも演奏された。これにより、本作は1963年から1966年までのコンサート活動中に演奏された唯一のハリスンの作品となった[1][37][注釈 1]。また、『ラバー・ソウル』に収録された楽曲で、ビートルズ時代のライブで演奏された2曲のうちの1つともなっている[注釈 2]。ビートルズ解散後、ハリスンは1974年にシャンカルと共に行なったアメリカツアー[39]や、1991年にエリック・クラプトンと共に行なった日本ツアーでも演奏している[40]。
1995年11月にジュークボックス用に制作されたシングル盤『ノルウェーの森』のB面に収録された。また、本作はハリスンとEMIの契約が終了した1976年[41][42]に発売されたコンピレーション・アルバム『ザ・ベスト・オブ・ジョージ・ハリスン』にも収録されている[43]。
クレジット
※出典[12]
カバー・バージョン
要約
視点
ホリーズによるカバー
1965年10月下旬、ジョージ・マーティンから「恋をするなら」のデモ音源を受け取ったロン・リチャーズは、そのデモ音源をホリーズに提出した[46]。当時発売されていたホリーズのシングル曲の多くは外部のソングライターによって書かれていたが、ビートルズのメンバーの故郷であるリヴァプールとホリーズのメンバーの故郷であるマンチェスターが古くから対立関係にあったことから、バンド内ではビートルズの楽曲をカバーするか否かで意見が分かれていた[47]。その後、11月17日に3テイクでレコーディングが行われ、ビートルズ・バージョンが収録された『ラバー・ソウル』と同じ日にパーロフォンよりシングル盤として発売された[48]。
ホリーズによるカバー・バージョンは、全英シングルチャートで最高位20位を記録し[45]、ハリスンが作詞作曲した楽曲がチャートインした初の例となった[49]。しかしながら、当時のホリーズのシングル作品では最もチャート成績が芳しくない作品の1つとなった[50]。ハリスンは、ホリーズの作品について「最悪」とし、「即席バンドのように呼吸が合っていない」と語っている[51]。
その他のアーティストによるカバー
- ステンドグラス - 1966年にデビュー・シングルとして発売[52]。ステンドグラスによるカバー・バージョンについて、『ビルボード』誌は「印象的なデビュー作」「豪快で風変わりなバラード」と評している[53]。
- ザ・キングスメン - 1966年にシングル盤として発売。キングスメンによるカバー・バージョンについて、作家のスチュアート・シェーやロバート・ロドリゲスは「ブリティッシュ・フォークに対する典型的なアメリカ人の返答」と評している[54]。
- ヒュー・マセケラ - 1966年にシングル盤として発売。
- クライアン・シェイムス - 1967年に発売されたアルバム『Sugar & Spice』に収録[55]。
- タイプ・オー・ネガティヴ - 1999年に発売されたアルバム『ワールド・カミング・ダウン』に収録。「デイ・トリッパー」や「アイ・ウォント・ユー」とのメドレー形式としてカバー[56]。
- エリック・クラプトン - 2002年11月にロイヤル・アルバート・ホールで開催されたハリスンの追悼コンサート「コンサート・フォー・ジョージ」で演奏[57]。
- ロジャー・マッギン - 2002年12月に発売されたトリビュート・アルバム『Songs From the Material World - A Tribute to George Harrison』のためにレコーディングされたが、最終的に同作には未収録となり、2004年4月に発売されたのアルバム『Limited Edition』に収録された[58]。
- ネリー・マッカイ - 2005年に発売されたオムニバス盤『This Bird Has Flown: A 40th Anniversary Tribute to the Beatles' Rubber Soul』に収録。ラウンジ・ジャズ調のアレンジが施された[59]。
- ショー・オブ・ハンズ - 2006年に発売されたオムニバス盤『Rubber Folk』に収録[60]。
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脚注
参考文献
外部リンク
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