NOSパージシステム

NOSパージシステム（英: NOS purge system）はエンジン熱や外気温でNOSボンベが熱せられ、ボンベ内の亜酸化窒素が膨張した場合に通常圧力に戻すためにNOSのエア抜きをするためのシステムのことである。

パージシステムが搭載されたスバル・インプレッサ

行為自体のことはNOSパージ（英: NOS purge ）と呼ぶ。^[1][2]

元々はドラッグレースのマシン性能の向上に開発されたシステムだが、現代では視覚的な演出に使われることもある^[2]。

目的

映画「ワイルド・スピード」でNOSバージ搭載車として登場した日産・スカイラインGT-R

NOSパージキットを装備することにより、NOSボンベとニトロソレノイド(電磁弁)間の供給ライン内に存在する可能性のある気体状の亜酸化窒素を排除することが可能になる。これにより、スロットル全開時に液状の亜酸化窒素が確実にインテークマニホールドへ噴射することが可能になる。またこの操作を行うことで、システム起動時に所定の量・密度の亜酸化窒素を正確に噴射し、タイムラグの排除も可能になる。^[3][4][5]

また映画「ワイルド・スピード」シリーズの影響もあり、亜酸化窒素が霧状に放出されることから視覚的演出としても人気がある^[6]。

仕組み

NOSボンベの一例

1. ボンベから配管へ — NOS搭載車では、ボンベは配管やバルブを通じてノズル (インテーク側) につながっている。^[7][8]
2. パージバルブの作動 — パージ操作を行うと、ニトロソレノイドなどで配管内の亜酸化窒素を大気中へ排出する。これで配管内の不要な気体がほとんど除かれる。^[9]
3. 液状亜酸化窒素の到達と安定 — 気体が除かれた配管内に、亜酸化窒素 がボンベから配管を通ってノズル付近まで満たされる。これによって、噴射時に 気化する亜酸化窒素が適正密度で流れ、燃焼室に供給される。^[10]
4. NOS噴射時の安定性確保 — パージをしないで気体のまま 亜酸化窒素を噴射すると、気体は液体に比べて密度が低いため適切な酸素量・燃料量が得られず、一時的な不安定な加速 (ノッキング、パワーロス) を起こす可能性がある。パージによりこれを防ぐ。^[11][12]

法律上の扱い(日本)

NOSパージシステムの法律上の扱いについて法律で直接の制限はされていないが、以下の項目に該当する可能性がある^[13]。

• 高圧ガスの取り扱い(高圧ガス保安法)^[14]
• 構造変更の扱い(構造等変更検査)^[15][16]
• 吸入目的での亜酸化窒素の無許可販売・使用(医薬品医療機器等法)^[17]
• NOx排ガス基準(自動車排出ガス基準)^[18]

その他

• パージによって発生するミストに視覚的演出としてパージライトといわれるLEDが使われ、ミストに色を加えることがある。^[19]