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地形等高線照合

巡航ミサイルの航法方式の一つ。 ウィキペディアから

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地形等高線照合(ちけいとうこうせんしょうごう、英語: Terrain Contour Matching, TERCOM)は、地形の輪郭を利用して慣性航法装置(INS)を補正する技術[1][2]

原理

慣性航法装置(INS)は外部からの情報に頼らずに航法を行えることから、ミサイルの誘導方式として適している一方、経過時間とともに必ずドリフトがあり、位置精度が悪くなっていくという特性がある[3]。終末航程で他の誘導方式を併用する場合、中間航程での航法の役割は、ミサイルが終末航程で誘導方式の切り替えを行えるような誤差範囲に誘導することであり、通常はINSのみでそれに足る精度を発揮できる[3]。ただし巡航ミサイルのように射程が長く飛翔時間が長い場合は途中で補正する必要があり、衛星航法GPS)や地形照合(Terrain-Aided Navigation)が多く用いられる[3]

TERCOMは、地形照合の手法の一種である[2]。地形とはいわゆる地図と垂直面すなわち断面図であり[3]、TERCOMは、地形の垂直輪郭を基に地理的位置を特定できるという前提に基づいている[2]。TERCOM技術を用いる場合、まず飛翔予定ルート上の地形を正方形のます目で区切り,それぞれの高度をミサイル内蔵コンピュータに記憶させておく[1][2]。飛翔中、ミサイルは電波高度計を用いて地形の垂直輪郭を測定し、上記のシステム内蔵情報と照合することで、飛翔体の現在位置を特定することができる[2]

TERCOM技術で用いられる標高プロファイルは、従来の地形照合技術で用いられていたレーダー反射率マップと比べて安定した信号であり、反射率や天候、季節的な影響を受けにくく、信頼性が高いという利点がある[2]。一方で、全ての地形で機能を発揮できるわけではなく、地形が粗く一意性が強い場所が望ましいという特性がある[2]。この特性を踏まえ、国家画像地図局(現在の国家地理空間情報局)は1978年から1992年にかけてTERCOMマップセットを製作し、これらのマップセットは湾岸戦争において使用された[2]。TERCOM技術による航法が実際に用いられたのは1998年が最後となっているが、トマホーク巡航ミサイルではその後も利用可能な状態が維持されており、GPSへのジャミングの脅威増大を受けて、再び重視されるようになっている[2]

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DSMAC

DSMACDigital Scene Matching Area Correlator)は、地形情報を用いてミサイルの飛翔位置を特定するという点でTERCOMと共通するが、こちらは飛翔中に撮影した画像を用いる技術である[2]。撮影した画像を二値化し、ミサイル内蔵コンピュータに記憶された参照画像と相関アルゴリズムで比較することで、飛翔位置を特定する[2]

脚注

参考文献

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