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V速度
航空機の規則速度を表すための航空用語 ウィキペディアから
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V速度 (英語: V-speeds)とは、すべての航空機に存在する規則速度を定義するために用いられる航空用語のことである[1]。これらの速度は飛行試験中に航空機設計者と製造業者によって算出され、その後、航空機の型式証明試験で政府の飛行検査官によって正式に決められる。一般的にV速度を用いることは、航空安全、航空機の性能、またはその両方を最大限に高めるためのベストプラクティスと見做されている[2]。


一般航空などの航空機に使用されている対気速度計では、V速度を示すために対気速度が書かれた上から弧線及び線で色分けされている。上図で説明すると、下端にある緑色の弧線はフラップを格納した状態での失速速度を、白色の弧線はフラップを完全に展開した状態での失速速度を示しており、いずれも最大重量時の失速速度となっている[3][4]。黄色の弧線は航空機が通常飛行する際の速度を決めた範囲であり、赤線のVNEは超過禁止速度を示している。
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規約
最も一般的なV速度は政府の航空法に基づいて定義されている。アメリカでは連邦航空規則またはFARとして知られている連邦規則集のタイトル14に定義されている[7]。カナダではカナダ運輸省が作成した航空情報マニュアル (AIM)第26条にV速度が定義されている[8]。FARの23条、25条及びそれに相当するV速度の定義は航空機の設計または認証であり、航空機を運用可能にするものではないとされている。
主なV速度
要約
視点
以下のV速度は規制によって定義されている。一般的にこれらは機体の重量、天候や風向きといったフライト時の状況によって左右されるが、説明を簡潔にするために一部を省略している。
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その他のV速度
以外のV速度は特定の航空機にのみ適用され、規制によって定義されていない。
マッハ数
制限速度がマッハ数になる時には音速で表される。例えば、VMO:最大運用制限速度。MMO:最大運用制限音速となる[7][8]。
V1の定義
V1(ヴィーワン、ブイワン。英語: Decision Speed)は、エンジン故障認識速度、離陸決定速度、離陸決心速度と呼ばれ、特に多発飛行機において、エンジンが故障したりタイヤが破裂したりするなど、別の問題が発生したとしても離陸を続けなければならない速度のことである[9]。
この速度は航空機の種類によって異なる。また、機体の重量、滑走路の長さ、フラップの設定、エンジン推力、滑走路の表面状況などによっても変化する為、離陸前にパイロットが設定しなければならない。V1を超えてから離陸を中止すると、滑走路内で停止することが出来ずに滑走路をオーバーランするため離陸中止(RTO; Rejected Take-Off)はできない、もしくは推奨されない[34]。
言い換えれば、離陸決心速度を超えた場合は、必ず離陸しなければならない。V1到達後の離陸滑走中に臨界発動機(故障した場合に、飛行性能に最も悪影響を与えるエンジン[10])が不作動になるトラブルがあった場合は離陸操作を継続し、上空で引き返すかどうかを判断することになる。
おおよそジェット機での V1 は 140 - 180 KIAS(ノット指示対気速度)、小型プロペラ機では 40 - 60 KIAS 程度となっている。
2人乗務の場合には、片方の操縦士が速度計を見ながら呼びかけを行ない(「 V1(決心速度到達)」「VR(機首上げ)」「V2(上昇開始)」)、これに合わせて、操縦桿を握る操縦士が上昇操作を行なう。
V1は、管轄区域によって定義される内容が異なる。
- アメリカ連邦航空局は、「飛行機を加速停止距離内で停止させるために、パイロットが最初の行動 (ブレーキを掛け、推力を減少させ、スポイラーを展開する)を取らなければならない離陸時の最高速度である。またパイロットが離陸を継続し、離陸後も十分に上昇できるなど、離陸における最低速度も意味する。」としている[7]。
- カナダ運輸省は、「V1は『重要なエンジン故障の認識速度』と定義し、この定義が航空機の安全性を危険にしない限り、運用者は航空情報マニュアルで概説されている他の定義も、採用することが出来る。」としている[8]。
- 日本国運輸安全委員会は、「離陸滑走中、1発動機が不作動になった場合に離陸を継続するか中止するかを決定をするための速度であり、 離陸重量、フラップ角、滑走路状態及び推力により決定される。」としている[35]。
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事故
- 福岡空港ガルーダ航空機離陸事故 - 離陸決心速度を超過していたにもかかわらず離陸を中止したため、滑走路をオーバーランした事故。
- 東亜国内航空機米子空港オーバーラン事故 - 離陸決心速度に達して離陸操縦を行ったにもかかわらず、操縦桿の不具合(昇降舵の動作不良)によりやむを得ず離陸中止しオーバーランに至った事故。
- LAPA 3142便離陸失敗事故 -フラップを展開せずに離陸を試みたが、離陸決心速度を越える速度で離陸を中止したため滑走路をオーバーランに至った事故。
脚注
参考文献
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