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オンコリスバイオファーマ
日本の東京都港区にある創薬バイオベンチャー ウィキペディアから
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オンコリスバイオファーマ株式会社(英:Oncolys BioPharma Inc.)は、ウイルス学を技術基盤とした日本の岡山大学発の創薬バイオベンチャーである。本社を東京都港区虎ノ門に置く。
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概要
京都薬科大学修士卒で小野薬品工業、日本たばこ産業に勤務した浦田泰生と、岡山大学教授の藤原俊義により、2004年5月18日に設立[1]。
2013年12月6日、東証マザーズに上場した。現在の代表取締役社長も浦田[2]。
がんや重症感染症の患者の救済、「未来のがん治療にパワーを与えよう(Powering Future Oncotherapy)」、「がんを切らずに治す」を標榜している[3][4]。
主な開発中(治験中含む)薬剤に「テロメライシン」を中心とする複数の治療薬がある。テロメライシン (OBP-301) は台湾のメディジェン(基亞生物科技股份有限公司、Medigen Biotechnology Corp.)と共同で研究開発・製造している腫瘍溶解ウイルス療法で、現在最先端のラインは第II相試験実施中の段階。また、販売中の検査薬に「見えないがんを可視化する」というコンセプトのウイルス検査薬「テロメスキャン」がある。
社内では創薬プラン開発を行い、一方製造、非臨床試験および臨床試験はアウトソーシングするファブレス経営を採用して経費と期間を短縮している[5]。開発データに基づく、薬剤候補の開発・製造・販売権が当社の商品である。中外製薬、Transposon Therapeutics, Inc.等に導出が進んでいる(別項#開発・製造・販売権の導出)。
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主なパイプライン(開発中薬剤)
要約
視点
主力の「がんを切らずに治す」テロメライシンの技術をベースに、オリジナルな OBP-301 からがん殺傷力を高めた第二世代テロメライシンOBP-702、および感染力を高めた OBP-405へ、そして第三世代は静脈に注入して全身のがんの治療をいっぺんに可能とするスーパーテロメライシン OBP-170□へと、次第に威力、影響力の強い商品になるよう、シリーズで企画・開発している。これらはフェーズ差をもちながらも、並行して進捗させている。
一方、これもテロメライシンをベースにして蛍光機能を付加した「見えないがんを可視化する」テロメスキャンは、OBP-401からOBP-1101に強化され、検査薬として販売され売上に寄与しはじめている。さらに、患部を可視化しながらの診断や治療への応用も研究されている[6][7][8]。
医薬品
- OBP-301(テロメライシン; Telomelysin)[9]
- OBP-702(Pfifteloxin)(別名:次世代テロメライシン、第2世代テロメライシン、武装化テロメライシン)[6][11][12]
- OBP-801[15]
その他:OBP-405(Telomelysin-RGD)(別名:次世代テロメライシン、第2世代テロメライシン)[11]、OBP-170□(スーパーテロメライシン)[16][17]、OBP-601(センサブジン; Censavudine)[18]、OBP-AI-004[19]
検査薬
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開発・製造・販売権の導出
OBP-301の開発・製造・販売権は、まず2016年11月30日、中国、香港およびマカオに関してハンルイ(江苏恒瑞医药股份有限公司)(略称:恒瑞)(Hengrui ; Jiangsu Hengrui Medicine Co., Ltd.)への導出(ライセンスアウト)とハンルイからの契約一時金受領(金額非開示)の契約を締結した[21]。さらに2017年12月15日、ハンルイからの第一回マイルストーン(開発進展に応じた報酬)の受領(金額非開示)に成功と発表した[22]。
2019年4月8日、中外製薬への日本国内の開発・製造・販売権導出と中外製薬からの契約一時金(5.5億円)受領に成功した。同日(一部地域を除く)全世界の開発・製造・販売権の独占的オプション権もオンコリスバイオファーマから中外製薬に付与した。中外製薬は本独占的オプション権を行使した場合、オンコリスに支払う総額は500億円以上で、それと別に販売ロイヤリティを支払うことが記載されている[23]。中外製薬はロシュグループであり、本オプション権の行使が待望されている。
2019年12月13日には、現在進行中のOBP-301の臨床試験で事前設定基準を満たしマイルストーンを達成したとして、中外製薬から契約に基づき第1回マイルストーンとして5億円を受領することになったことが発表され[24]、順調に進捗している。
先駆け審査指定の獲得
上市までのスピードアップとして、テロメライシン(OBP-301)は厚生労働省の先駆け審査指定制度[25] の対象品目への指定に応募し、2019年4月8日、指定を得た。
指定理由は募集要件を以下のとおり満たしたため:①正常細胞では増殖せず癌細胞を破壊する。画期性が高い。②従来の食道癌の放射線単独療法の治療効果は不十分。③本剤は国内での2つの臨床試験 (計17例) が実施され、高い有効性を示唆 (食道局所完全奏効率70.6%)。④本剤は国内外で臨床試験を実施中で、世界に先駆けて日本で承認申請予定」[26][27]
先駆け審査指定対象品目に選ばれたので、医薬品の審査は通常12カ月目標のところ、医薬品医療機器総合機構(PMDA)が行う事前評価の活用で6カ月目標に短縮される。
テロメライシンの日本国内導出に伴い、本指定を受けた申請者はオンコリスバイオファーマから中外製薬になった[28]。
誤解されがちであるが、制度として先駆け審査指定が受けられても、第III相試験が不要になるわけではない。「場合によっては第III相試験の結果の承認申請後の提出を認める」となっている[29]。これでも、通常は第III相試験が終わるまで承認申請できずに待つ期間が、オーバラップによって節約できることがある。
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事業所
- 本社
- 神戸リサーチラボ(兵庫県神戸市中央区港島南町6-7-4 神戸健康産業開発センター(HI-DEC) 2階)
- オフィス
- 検査センター
子会社
主要投資先
創立の経緯
→詳細は「浦田泰生 § 起業の経緯」を参照
社名の由来
- 社長の浦田によれば、当社は腫瘍溶解ウイルス療法を開発する会社なので、腫瘍(がん)を意味するラテン語の onco- と、溶かしてしまうことの lysisとから、「がんを殺す」とか「がんを溶かしてしまう」という意味でoncolysisという医学用語にしようとした。しかし、たいへん言いにくいので Oncolys(オンコリス) というちょっと可愛い名前にしてしまった、という[32]。
受賞
- 第5回日本バイオベンチャー大賞 文部科学大臣賞受賞(主催:フジサンケイ ビジネスアイ)(2007年9月)
- Licensing Executives Society (アメリカ、カナダ)年次総会 産官学連携部門 平成23年度 Deals of Distinction Awards 受賞: OBP-601(Censavudine)ライセンス導出に対して(2011年11月)
次世代の治療のビジョン
社長コラムに『がんを切らずに済ます』として記されている。
(略)当社のテロメライシンは,まず食道がんを狙い,初期の状態であれば侵襲性のない放射線治療と組み合わせることにより,切らずに食道がんを根治できる可能性が出てきました。
では,この先の治療はどうなるのでしょうか?私が考えるには,がんががんでなくなればいいのではないかということです。(略)新しい遺伝子編集の技術を使ったり,新しいメカニズムによってがん細胞からがんの性質をとことんなくしてしまえば,がんは体の中で「たんこぶ」のようなものになってしまいます。それが神経を圧迫していたり,臓器機能を阻害していなければ「たんこぶ」のまま放っておけばいいわけです。(略)当社はいま何人かの研究者と「がんを切らずに済ます」コンセプトを実現できるかどうかを模索しています。
— 浦田泰生社長、社長コラム■第61回(2017年12月22日)『がんを切らずに済ます』
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沿革
脚注
関連項目
外部リンク
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