モット・アンド・ベーリー
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モット・アンド・ベーリー(英: Motte-and-bailey)とは、モットと呼ばれる小高い丘の上に設置された木製または石造のキープと、矢来(英語版)や防御用の堀(英語版)などで囲まれた中庭若しくはベーリー(英語版)とで構成された西洋の要塞施設のことである。
このタイプの城は、特別なスキルを持たない未熟な労働者でも比較的容易に建築することができ、また軍事的にも強力な城であった。そのため、北ヨーロッパ地方でよく造られたこの城は、10世紀後半から11世紀にかけてノルマンディーやアンジュー地方からドイツ地方にまで広がった。またノルマン人はモット・アンド・ベイリー形式の城をイングランドやウェールズ地方に広め、それが12世紀から13世紀頃にはスコットランドやアイルランド、ネーデルラントやデンマークに伝播していった。
イングランドにおけるモット・アンド・ベイリー形式の城の著名な例としてよく挙げられるのはウィンザー城である。13世紀の終わり頃には、当時の新たな様式の城に取って代わらたが、モット・アンド・ベイリー形式の城で用いられていた土塁は今でも多くの国々で目立った存在となっている。