水性均質炉
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水性均質炉(すいせいきんしつろ)とは、水に溶かした核分裂性物質の塩(通常硝酸ウラニルや硫酸ウラニル)を燃料とした原子炉である。核燃料が冷却材かつ減速材である水と均質に混ざっているため均質と名づけられている。水は重水でも軽水でもありうるが、純度が高くある必要がある。硫酸ウラニルを使った重水性均質炉は天然ウランによって臨界状態を達成することが出来るため、濃縮ウランは必要ない。軽水も水性均質炉でも1ポンド(454グラム)未満のプルトニウム239もしくはウラン233で運用することができる。
その自己制御性と、反応度の急増への対応能力は際立っており、非常に安全でありうる。カリフォルニアのサンタスザーナ野外実験所で、アトミックス・インターナショナル(英語版)は、1940年に「運動エネルギー実験」"The Kinetic Energy Experiments"と呼ばれる一連の実験を行った。1940年代終わり頃ばね仕掛けの制御棒を数ミリ秒で原子炉から引き抜き、その出力は100Wから1MW程度になったが、何の問題も起きなかった。なお、日本原子力研究開発機構の燃料サイクル安全工学研究施設には、水性均質炉を使った過渡臨界実験装置TRACYがあり、大きな反応度を印加できるようになっている。
水性均質炉は中の水が沸騰しているように見えることからウォーターボイラー型原子炉と呼ばれることがあるが、実際はその泡は、放射線や、核分裂片による水の放射線分解で生じているものである。水性均質炉は、自己制御性が高く、高中性子束で管理が容易であることから、広く研究炉としてよく使われたが現在運用されているものは多くは無い。腐食性があるため、硫酸溶液を使った炉は、トリウムによるウラン233増殖炉に限られている。硝酸ベースの溶液(硝酸ウラニルなど)ではステンレス鋼に対して殆ど腐食性の問題は起きない。