認知症
認知障害の一種 / ウィキペディア フリーな encyclopedia
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「認知障害」とは異なります。 |
認知症(にんちしょう、英: Dementia、独: Demenz)は認知障害の一種であり、ヒトの脳の後天的な器質的障害により、いったん正常に発達した知能・知性が不可逆的に低下する状態である。初期段階は周囲にも、老化による物忘れと混同されやすいが、どれかが並行して起きる(物忘れに自己対処出来ない、物忘れしたこと自体を忘却、妄想・幻覚、依存、徘徊、攻撃的行動、睡眠障害、介護への抵抗、異食・過食、抑うつ状態など)。人によって症状は様々であり、発症前より怒りっぽくなったり、不安な性格になったり、異常な行動が見られるようになる[1][2][3][4]。
認知症 | |
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正常な高齢者(左)と、アルツハイマー病罹患高齢者(右)の脳比較。 | |
概要 | |
診療科 | 神経学, 精神医学 |
頻度 | 3.8 to 4% (アジア), 6.1 to 6.3% (ヨーロッパ), 6.4 to 6.6% (アメリカ州), 2.5 to 2.7% (アフリカ) |
分類および外部参照情報 | |
ICD-10 | F00-F07 |
ICD-9-CM | 290-294 |
DiseasesDB | 29283 |
MedlinePlus | 000739 |
Patient UK | 認知症 |
MeSH | D003704 |
本項では主にヒト(人間)について記述するが、認知症は人間以外の動物(犬や猫など)でも発症する。狭義では「知能が後天的に低下した状態」の事を指すが、医学的には「知能」の他に「記憶」「見当識」を含む認知障害や「人格変化」などを伴った症候群として定義される[1][3]。これに比し、先天的に脳の器質的障害があり、運動の障害や知能発達面での障害などが現れる状態は知的障害、先天的に認知の障害がある場合は認知障害という。単に老化に伴って物覚えが悪くなるといった誰にでも起きる現象は含まず、病的に能力が低下して性格の先鋭化、強い承認欲求、理性的思考力衰退、被害妄想を招く症状を指す[5][6]。
日本において、この病はかつて痴呆(ちほう)と呼ばれていた。しかし、日本では、2004年に厚生労働省の用語検討会によって「認知症」への言い換えを求める報告がまとまった。これを受けて、まず行政分野および高齢者介護分野において「痴呆」の語が廃止され「認知症」に置き換えられた。各医学会においても2007年ごろまでにほぼ言い換えがなされている。朝鮮半島では漢字が義務教育から廃止されたため、「痴呆(症)」という漢字が問題にならず、現在もそのままである(詳細については#名称変更の項を参照)。日本では物忘れと混同されやすいため、物忘れ外来という認知症かもと思った際の専門が設置されているところがある[7]。
認知症は70歳以上人口において2番目に多数を占める障害疾患である[8]。全世界で3560万人が認知症を抱えて生活を送っており[6]、その経済的コストは全世界で毎年0.5-0.6兆米ドル以上とされ、これはスイスの国内総生産 (GDP) を上回る[9][6]。患者は毎年770万人ずつ増加しており[6]、世界の認知症患者は2030年には2012年時点の2倍、2050年には3倍以上になるとWHOは推測している[10]。
現在の医学において、認知症を治療する方法はまだ見つかっていない[11][12]。安全で効果的な治療法を模索する研究が行われているが、その歩みは難航している[12]。
予防も、知的活動や他人とのコミュニケーション、身体運動などにより試みられており、日本では日本認知症予防学会が組織され、アルツハイマー症に名を残すドイツの医学者アロイス・アルツハイマーの誕生日である6月14日を「認知症予防の日」と定めている[13]。
老化に伴う脳の器質的障害とともに、身体のいずれかが機能不全を起こすことが多かったため社会問題化することはなかった。近年では身体の老化による障害は投薬などにより機能をある程度維持することが可能になったが、脳の機能は投薬などでは劣化を防ぐことができなかったために顕在化した。