受粉
花粉が柱頭に付くこと / ウィキペディア フリーな encyclopedia
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受粉(じゅふん)とは、種子植物において花粉が雌性器官に到達すること。被子植物では雌蕊(しずい、めしべ)の先端(柱頭)に花粉が付着することを指し、裸子植物では大胞子葉の胚珠の珠孔に花粉が達することを指す[1]。
花粉は葯と呼ばれる器官で形成される[2]。葯は通常は雄蕊(ゆうずい、おしべ)の先端にある[2]。裸子植物では葯は多数の花粉嚢が雄蕊の上に付く形で葯が形成され、被子植物では雄蕊の先端に葯壁で分離される形で2つの半葯から形成される[3]。葯が開くと花粉が外に放出され[4]、雌蕊に到達すると受粉・受精する[5]。同一個体内での受粉を自家受粉[6][注釈 1]、他の個体の花粉による受粉を他家受粉[注釈 2]という[6]。受粉過程でどのように花粉が移動するかによって、種子植物の受粉様式は花粉媒介者の助けを要しない自動自家受粉や[8]、媒介者の種類を冠した風媒、水媒、動物媒(虫媒、鳥媒など)などに分類できる[5]。裸子植物の大部分は風媒花である[9][注釈 3]。
被子植物では、自家不和合性・雌雄異熟 (dichogamy) ・異形花柱性といった自家受粉・自家受精を防ぐ機構が発達した植物種も存在する[12][13][14]。それらの機構は近親交配を妨げることにより、遺伝的多様性を維持する役割を持っていると考えられる[12]。
受粉[15][16][5]は英語"pollination"の翻訳語であり、ほかに授粉[17][5]・送粉(そうふん)[17][15][16][5]・花粉媒介(かふんばいかい)[18][19]の用語も用いられる[注釈 4]。受粉の研究は植物学・園芸学・動物学・生態学・進化生物学など多くの学術分野に関連しており、受粉に関する専門的な学術分野としては送粉生態学(花生態学・受粉生態学)、受粉生物学(送粉生物学)および花粉学"palynology"などがある。
以下、本記事では特に断りが無い限り、被子植物の受粉について記述する。被子植物では、受粉後に花粉から花粉管が伸び、それが柱頭組織中に進入して胚珠に到達し、卵細胞が花粉管の中の精核と融合することで受精が成立する。