表面粗さ
ウィキペディア フリーな encyclopedia
表面粗さ(または単に粗さ、英: surface roughness)とは表面性状の尺度の一つ。物体の表面形状を理想表面と比べたとき、鉛直方向の偏差がどれだけあるかで計られる。偏差が全体に大きければ表面は粗く、小さければ滑らかである。通常、粗さとは測定された表面形状のうち短波長で空間周波数の高い成分を指す(表面計量学(英語版))。しかし、実用的には周波数に加え振幅が分からなければ表面を評価することはできない。
現実の物体間の相互作用は粗さに左右される。ふつう粗い表面は滑らかな表面と比べて摩耗が激しく、摩擦係数は大きい(トライボロジーを見よ)。また、表面に不均一な部分があるとクラックや腐食の核生成サイトになりうるため、粗さは機械部品の性能を計る指標ともなる。その一方、表面が粗いと接着性が良くなることもある。
多くの場合表面は滑らかな方が望ましいが、工業的に粗さを制御するのは困難である。表面粗さを低減すると、生産コストはふつう指数関数的に増加する。これが部品の性能と低コストを両立させられない原因となることが多い。
粗さがわかっているサンプル(粗さ比較板)と触って比べるだけでも粗さを測定することはできるが、一般的に表面粗さ測定にはプロファイロメータが用いられる。プロファイロメータには接触式(主にダイヤモンド触針による)および非接触式(白色光干渉計など)がある。
場合によっては、適度な粗さが求められることもある。たとえばタッチパッドのような製品では、光沢表面にしてしまうと反射がまぶしかったり指が滑ったりするので適度な粗さが必要である。このような場合、振幅と空間周波数の両者が重要になる。