JOYSOUND(ジョイサウンド)はエクシング(ブラザー工業グループ)が運用する業務用通信カラオケのシリーズの総称。ロゴマークは「JOYSOUND」の2つ目の「O」の中心に「・」が付いている。DAM・UGAと並べてJOYと略称されることもある。
JOYSOUND(ジョイサウンド)直営店、カラオケボックスチェーンについては、エクシングの子会社である「スタンダード (企業)」の記事をそれぞれ参照のこと。
着メロ、SNS「うたスキ」などのコンテンツと連携したサービスを行っている。特に「うたスキ」で行われている「リアルタイムリクエスト」との連携によって、特定歌手のマイナーソング、東方Projectアレンジ曲などをはじめとする同人楽曲、ニコニコ動画のアマチュア楽曲やVOCALOID楽曲が他社よりも多数配信されているという特徴を持つ。「うたスキ」会員数は2014年9月8日に1000万人を突破した。
最新機種「JOYSOUND X1」の配信曲数は、業界最多の35.5万曲以上[1]である。
ガイドボーカルは全楽曲だが、尚、これは人間の歌唱ではなくシンセサイザー機能のボーカルとなっており、ガイドボーカルはすべてオリジナル歌手が歌っているものではない。歌っているのは新木友里等の歌のプロたちが歌っている(外国人歌手の曲も含めて日本人が歌っている)。
本サービス開始のきっかけは、ソフトベンダーTAKERUの開発者である安友雄一のもとへ、とある音楽学校の教師がTAKERUを通じてDTMを普及させたいと相談しに来たことである[2]。
この教師の制作したMIDIデータはTAKERUを通じて販売されたものの、サービス展開当時、パソコンと音楽の両方に精通している人は限られていたため、ほとんど売れなかった[2]。
また、当時のカラオケはレーザーディスクが一般的だったが、収録可能な曲数が限られていた上、新曲の追加ペースが遅いという課題があった[2]。
安友は、これらのMIDIデータがナローバンドで配信できるほど小さいことに気づき、カラオケでの利用を思いついた[2]。
JOYSOUNDはTAKERUにカラオケ用楽曲配信の中継機という機能を付与する形で誕生した[2]。
初期のJOYSOUNDでは、ブラザーのサーバーからISDNでTAKERUに楽曲データを送り、電話回線経由でTAKERUから通信カラオケ機器へダウンロードする形で運営された[2]。
このような方法がとられた理由として、当時のISDNでは接続時にデータを受け取る側の電話番号が変わってしまうことに由来する。電話番号の変更は機器を設置する店側にとって大きな打撃となるため、通信回線が遅い電話回線をあえて選んだ[2]。
安友は2016年の「日経TRENDY」とのインタビューの中で、TAKERUを通じて通信速度が遅い環境でデータを送信する知見を得たため実現できた」と振り返っている[2]。
選曲リモコン
JOYNAVI
- JR-70[43]
- 2003年1月中旬発売。楽曲検索機能付きのリモコン。対応機種はHyperJoy、HyperJoyV2。
キョクNAVI
- JR-100[44]
- 2004年11月発売。対応機種はHyperJoy、V2、CelebJoy、CelebJoyHearts、HyperJoyWAVE。タイトーの業務用通信カラオケ「Lavca」でも使用されている。
- 業界初となる無線LANによる通信を採用。これにより操作時にコマンダの赤外線ポートへ向ける必要がなくなり、360°全方位からの通信が可能となった。
- CDのジャケット写真の表示や映像コンテンツの試聴、歌詞表示などの機能を備える。ゲームもプレイ可能。
- 本体カラーはシルバー。2004年度グッドデザイン賞受賞。新譜データの配信は2012年3月をもって終了。
- JR-100II
- 2006年11月発売。対応機種はHyperJoyV2、CelebJoy、HyperJoyWAVE、CelebJoy Hearts、JEWEL。
- カラオケSNS「うたスキ」に対応。歌詞モニタ機能では、通常のモニタに表示される歌詞テロップがキョクNAVIでも閲覧することができる。JR-100同様、ゲームのプレイが可能で、間違い探しやパズルゲームなどがプレイできる。
- 本体カラーはホワイト。OSはWindows CE 5.0を採用。新譜データの配信は2016年7月をもって終了。
- JR-100s
- 2006年11月、JR-100IIと同時発売。対応機種はHyperJoyV2、CelebJoy、HyperJoyWAVE、CelebJoy Hearts、JEWEL。
- 本体カラーはホワイト。2006年度グッドデザイン賞受賞。新譜データの配信は2016年7月をもって終了。
- JR-200X
- 2009年11月発売。同時発売の「CROSSO」に完全対応。
- FeliCa対応ICカードまたはおサイフケータイのデータ領域にログイン情報を記録することで、次回以降はICカードをかざすだけで「うたスキ」にログインできる機能「かざしてログイン」が追加された。また画面下部のシートキーが拡張され、予約曲がワンタッチで確認できる「予約確認」ボタン、演奏中の楽曲情報や曲間映像に関する情報を確認できる「i(アイ)情報」ボタンなどが追加された。
- 本体カラーはブラック。OSにはWindows CE 6.0を採用。
パセラなどで使用されるΣsystem用の「ΣNAVI」、カラオケの鉄人で使用される「カラ鉄NAVI」など、主に統合カラオケシステムにおいて、キョクNAVIと共通のハードウェアを使用したリモコンが使われる例が多い(多くはJR-100がベース)。
キョクナビ
- JR-300 / JR-300(BK)
- 2011年5月30日発売。「キョクNAVI.s(JR-100s)」およびBMBから引き継いだUGAの「UGA NAVI GUEEN(BT-SN02)」の後継として発売。ロゴも一新され、表記も従来の「キョクNAVI」から「キョクナビ」となった。画面構成は「CROSSO」と同時発売された「キョクNAVI(JR-200X)」を踏襲した。
- 対応機種は、JOYSOUNDではHyperJoy V2以降すべてのJS(JS-FWを除く)、BJ、XJシリーズ/UGAの全シリーズ(楽宴シリーズを除く)で使用可能(JS-FX5のみ非対応)。
- 発売当初の対応機種は旧機種のみであったが、バージョンアップにより「JOYSOUND f1」にも対応した。「JOYSOUND f1」の環境では、従来の「かざしてログイン」の他に、JOYSOUND ID(メールアドレス)でのログインも可能になった。また、従来はパソコン上からのみ検索が可能だった「うたスキ動画」の検索がキョクナビからも行えるようになった。
- カラオケ機器としては初めて、OSにAndroid(組み込み用Android)を採用しているほか、データベースシステムには日立ソリューションズの組み込み機器向けデータベース/ファイルシステム「Entier」を採用し、検索時間の高速化が図られている。
- 本体カラーはホワイト、ブラック(2015年7月1日追加)。
- JR-500
- 2017年発売。JOYPadシリーズとは異なり、廉価モデルにあたる。7インチ液晶を搭載したことによる本体サイズの小型化が図られており、JR-300用バッテリーチャージャー(JR-300BC)と互換性を持つ。三洋テクノソリューションズ鳥取製。
- 対応機種は、JS-F1、JS-F1v、JS-FR、JS-FRv、JS-FX、JS-FX2、JS-FX5、JS-NX、JS-NX2、JS-WFR、JS-NXW。
- JR-550
- JR-500の後継機種。
- 対応機種は、JS-F1、JS-F1v、JS-FR、JS-FRv、JS-FX、JS-FX2、JS-FX5、JS-NX、JS-NX2、JS-WFR、JS-NXW。
キョクナビ(JR-300)
ホワイト
キョクナビ(JR-300)
ブラック
JOYPadキョクナビ
- JR-P1000
- 2015年7月上旬発売。「JOYSOUND MAX」と同時発売した。対応機種は、JS-F1、JS-FR、JS-FX、JS-FX2、JS-NX。
- NECの全面技術協力の下で開発され、10.1インチワイド液晶タッチパネルで軽く、防水・防塵性に優れている。NECが業務用に販売していた端末「AGT10」をベースにしているため、音量調節ボタンと電源ボタンが存在するが、いずれも押しても全く反応しない。
- JR-300やJR-200X同様「かざしてログイン」も使えるほか、手軽に楽器演奏が楽しめる「いますぐミュージシャン」、子供向けアプリとして「タッチ!うごくちずこっき」を搭載している。
- 本体カラーはブラックのみ。
- JR-P2000[45]
- 2017年4月20日発売。JR-P1000のリニューアルモデル。
- 対応機種は、JS-F1、JS-FR、JS-FX、JS-FX2、JS-FX5、JS-NX、JS-NX2、JS-H1、JS-H1W。
- 三洋テクノソリューションズ鳥取製で、完全オリジナル設計となった。従来ではカメラによるQRコードでのペアリングのみだったのを赤外線ペアリングに対応した。また、一体型のスタンドでタブレットを立てかけられるようになり使い勝手を向上させている。
- JR-P3000[46]
- 2023年11月13日発売。UIがバージョンアップされた新モデル。
- サイドメニューを搭載し、トップページのデザインが変更された。対応機種はJS-FX10のみ。
- 寸法はJR-P2000と全く同じで、20g軽量化された。
JOYPadキョクナビ
(JR-P1000)
JOYPadキョクナビ
(JR-P2000)
JOYPadキョクナビ
(JR-P3000)
その他周辺機器
セットトップボックス(ST-1)
2008年10月発売。「HyperJoy WAVE」の機能を拡張する周辺機器で、「うたスキ動画」「アフレコ」など2008年秋以降に追加された新機能を利用するために必要となる。本体と動画撮影用のカメラがセットとなっている。OSにはWindows XP Embeddedを採用した。
サウンドエフェクター(GB-1)
2012年6月発売。「JOYSOUND f1」で、ギターやベース等の音を雑音なく録音したり、チューニングやコード表示などのサポート機能を利用するために必要となる。USBによりJOYSOUND f1から給電する。対応機種はJS-F1。
セッションボックス(GB-10)
2015年7月発売。「JOYSOUND MAX」と同時発売した。ギター2系統の他、AUX1系統が搭載され、ドラムや携帯音楽プレーヤーなどの音をスピーカーより出力可能にした。また、ギター2系統のエフェクトを個別に設定できる機能を搭載。これにより本格的なバンド演奏が楽しめるようになった。対応機種はJS-FX、JS-FX2、JS-FX5。
セットトップボックス(ST-1)
サウンドエフェクター(GB-1)
注釈
音源はJOYSOUNDシリーズもUGAシリーズも所謂GSフォーマットに準拠している為に引き継がれた曲はMIDIの楽譜が共用されており、それによってUGAと同一の演奏で再生される。一方で、引き継がれず改めてCROSSO以前のJOYSOUND機種に対応させるため同一曲で新規に作られたものもあり、それらの曲はUGAとは異なる打ち込みのためUGAとは異なる演奏となっている。
特に演奏中のテロップ類の表示タイミングはおおむねUGAシリーズ準拠に変更されている。この変更に伴い、従来機種では演奏開始時に曲名・歌手名と共に表示されていた作曲者・作詞者等の表示はUGAシリーズ同様演奏停止及び演奏終了時の表示に変更された。曲によっては楽曲発表年も同様に演奏停止及び演奏終了時に表示される。ただし、曲を予約した際に演奏開始までおよそ何分かを表示する機能は引き継がれなかった。
- 通信カラオケ
- エクシング
- UGA (カラオケ) - BMBが製造していた通信カラオケ(BMBはエクシングに吸収合併され消滅)。実質的に縮小傾向。一部機能や収録曲はJOYSOUNDにも引き継がれている。
- Lavca - タイトーが製造していた通信カラオケ。エクシングに事業譲渡して消滅。JOYSOUNDの「キョクNAVI」を使用していた。
- ソフトベンダーTAKERU - サービス初期にサーバーを共用していた。
- CeVIO - ガイドボーカル機能のボイスが「Color Voice Series」としてCeVIO Creative Studio用のボイスライブラリとして発売されている。