RNA結合タンパク質
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RNA結合タンパク質(RNAけつごうタンパクしつ、英: RNA-binding protein)は、細胞内の一本鎖または二本鎖RNAに結合するタンパク質で[1]、リボヌクレオタンパク質複合体の形成に関与する。RBPと略されることもある。RNA結合タンパク質には、RNA認識モチーフ(RRM)、二本鎖RNA結合ドメイン、ジンクフィンガーなど、さまざまな構造モチーフが含まれる[2]。RNA結合タンパク質は核内にも細胞質にも存在する。成熟したRNAの大部分は核外へ比較的迅速に搬出されるため、核内のRNA結合タンパク質の大部分は、ヘテロ核リボヌクレオタンパク質(hnRNP)と呼ばれる、タンパク質とpre-mRNA(mRNA前駆体)の複合体として存在する。RNA結合タンパク質は、細胞機能や輸送、局在化などさまざまな過程に重要な役割を果たす。特に大きな役割を果たすのは、スプライシング、ポリアデニル化、mRNAの安定化、局在化、翻訳など、RNAの転写後の過程の制御である。真核生物の細胞では多様なRNA結合タンパク質が約500の遺伝子にコードされており、それぞれが固有のRNA結合活性とタンパク質間相互作用を持つ。RNA結合タンパク質の多様性は、進化の過程でイントロン数の増加とともに大きく増大した。その結果、真核細胞はエクソンをさまざまな組み合わせで利用できるようになり、それぞれのRNAに固有のリボヌクレオタンパク質が形成される。RNA結合タンパク質は遺伝子発現の転写後調節(英語版)に重要な役割を果たしているものの、体系的な研究が行われているタンパク質は比較的少数である[3][4]。