アンドロクタシアー
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アンドロクタシアー(古希: Ἀνδροκτασία, Androktasiā)は、ギリシア神話の女神である。長音を省略してアンドロクタシアとも表記される。その名前は「殺人」を意味する。
ヘーシオドスの『神統記』によると、不和と争いの女神エリスの娘で[1]、ポノス(労苦)、レーテー(忘却)、リーモス(飢餓)、アルゴス(悲歎)、ヒュスミーネー(戦闘)、マケー(戦争)、ポノス(殺戮)、ネイコス(紛争)、プセウドス(虚言)、ロゴス(空言)、アムピロギアー(口争い)、デュスノミアー(不法)、アーテー(破滅)、ホルコス(誓い)と兄弟[2]。これらの神々はいずれも人々に害をなす、様々な災いの擬人化であり、アンドロクタシアーが神話に登場することは稀である。
ヘーシオドスの作と伝えられる『ヘーラクレースの楯(英語版)』では、鍛冶神ヘーパイストスがヘーラクレースのために制作した楯の表面に、ホマドス(どよめき)、ポノス(殺戮)とともに、アンドロクタシアーの燃えさかる姿が描かれたと語られている[3]。