デジタルミレニアム著作権法
1998年に成立した米国著作権法の改正立法 / ウィキペディア フリーな encyclopedia
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デジタルミレニアム著作権法(デジタルミレニアムちょさくけんほう、英: Digital Millennium Copyright Act、略称: DMCA)は、アメリカ合衆国 (米国) で1998年10月に制定・施行された連邦法であり[注 2]、合衆国法典 第17編に収録された著作権法 (17 U.S.C.) などを改正する立法である[3]。デジタル著作権管理 (DRM) の強化を目的とし、DMCA成立によって17 U.S.C. 第12章が新設されて、コピーガードを始めとする技術的保護手段の回避が禁止(英語版)された[3][9]。また、17 U.S.C. 第512条によって告知と撤回手続(英語版) (notice and takedown)[注 3]が規定され、著作権侵害コンテンツがウェブサイトなどに投稿された際の通報 (notice) と削除 (takedown) 手順および免責条件が明文化された[3]。
この記事は特に記述がない限り、アメリカ合衆国の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
正式題名 | To amend title 17, United States Code, to implement the World Intellectual Property Organization Copyright Treaty and Performances and Phonograms Treaty, and for other purposes. |
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頭字語(口語) | DMCA |
制定議会 | アメリカ合衆国第105議会(英語版) |
引用 | |
一般法律 | Pub. L. 105-304[1] |
Stat. | 112 Stat. 2860(1998) |
改廃対象 | |
改正し た法律 | 米国著作権法およびその関連法 |
改正した USCの編 | 第5編: 政府組織及び職員[2]:29、第17編: 著作権[3]、第28編: 司法及び司法手続[2]:44、第35編: 特許[2]:29 |
創設した USCの条 | 合衆国法典第17編 第512条、第1201–1205条および第1301–1332条[3]、第28編 第4001条[2]:45 |
改正した USCの条 | 合衆国法典第17編 第101条[2]:3、104条[2]:4、108[3]、112条[2]:30、114条[2]:32、117条[3]および701条[2]:29 |
立法経緯 | |
主な改正 | |
なし (著作権法等を改正するための法律であり、本法自体は改正の対象とならない) |
制定当時、著作物の無断デジタル複製やインターネットを介した海賊版流通などが増加傾向にあり[13]、このような技術的・社会的な変化を受けて、国際的にはWIPO著作権条約 (WCT) とWIPO実演・レコード条約 (WPPT) の2条約が1996年に署名された[7][8]。これら国際条約で謳われた義務を国内履行すべく米国はDMCAを成立させ[14]、世界に先駆けて法対応を強化した[13]。その背景には、ハリウッド映画業界を始めとするコンテンツビジネス事業者からの政治的圧力があったとされる[15]。
しかしDMCAによって著作権者により強力な支配権を与えたことから、著作物の利用者側に元来認められている表現の自由 (憲法修正第1条) や著作物の公正利用 (フェアユース) とのバランスが損なわれたとの批判も強い[16][17]。その結果、DMCA以降も米国内ではデジタル社会に対応した改正法案が複数提出されるも、廃案となる事態が繰り返された[注 4]。本項では関連判例も交えながら概観する。
米国DMCAと目的が類似する他国の法律としては、欧州連合 (EU) の情報社会指令 (2001年成立) やデジタル単一市場における著作権に関する指令(DSM著作権指令、2019年成立)、日本の特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダー責任制限法)などがある。