尊厳死
ウィキペディア フリーな encyclopedia
「尊属殺」とは異なります。 |
尊厳死(そんげんし、英語: death with dignity)とは、人間が人間としての尊厳 (dignity) を保って死に臨むことであり、インフォームド・コンセントのひとつとされる[1]。安楽死や蘇生措置拒否 (DNR) と関連が深い。
尊厳死と安楽死(euthanasia)の区別は、国によって判断が様々である。例えば医師による自殺幇助(Physician-Assisted Suicide/PAS)は、米国では尊厳死に含まれるが、日本では安楽死に含まれるのが通常である[2][3]。日本国内に限った場合でも定義が混乱しているケースがある[2][3][4]。日本に絞って言えば、「尊厳死」は延命治療の停止(消極的安楽死)を指すとの見解が一般的である[2]。
末期がん患者など治癒の見込みのない人々が、クオリティ・オブ・ライフ (quality of life, QOL) と尊厳を保ちつつ最期の時を過ごすための医療がターミナルケア(end-of-life care、終末期医療)である。QOLを保つための手段として、胃瘻の除去、苦痛から解放されるためにペインコントロール技術の積極的活用が挙げられる。無意味な延命行為の拒否 (DNR) については、実際に死を迎える段階では意識を失っている可能性が高いため、事前に延命行為の是非に関して宣言するリビング・ウィル (living will) が有効な手段とされる。
後述のように当人の意思さえあれば尊厳死が法制化されている国がある一方で、国民的な支持はあるものの日本では事前に本人による嘆願・希望で治療を止めたことで、親族などから殺人だと訴えられる可能性がある。日本では尊厳死を認める法律がなく、当事者本人が尊厳死を事前に希望する自発的安楽死を認めるべきとの声は多い[5][6][7]。