隠者
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隠者(いんじゃ)とは、一般社会との関係を絶ち(隠遁)、生活する人のこと[1]。特にキリスト教や仏教など多くの宗教の宗教者、または宗教的背景をもった隠者が多数知られる。
キリスト教では、この言葉は宗教的信念、特に旧約聖書(つまり、40年間シンの荒野を放浪[2]して心境が変化したくだり(民数記第13章))に影響された砂漠の神学から隠遁生活を送った人々に使われる。
伝統的にキリスト教では隠遁生活[3]は修道生活の先駆けとみなされている。聖ベネディクトの戒律の1は4種類の修道僧の中に隠者を数えている。カトリック修道会の隠者に加えて、カトリック教会の宗教法(カノン603)では当該管区の司教の指示に従って隠者が奉献生活を送ることを認めている。同じことが米国聖公会を含む多くの聖公会でも認められている。聖公会のカノン法では自分の管区の司教に従い、司教の要求する準備計画に耐える者は生涯独身であることを誓う。彼らは隠者というよりむしろ独居者と言われる。めいめいの隠者が自分の管区の司教よりもむしろ別の司教を選んで付加的な心のよりどころとして、さらに必要ならば仲介人とする。
宗教的な文学でも世俗の文学でもしばしば「隠者」という言葉が人間不信者を含めて孤独な生活を送っているものをゆるく指して使われている。
近代の口語的な用法では、「隠者 (hermit)」という言葉は一般社会から離れた生活を送っているもの(世捨て人)や、社会的行事に参加していないものを指して使われる。